マンガ家・志水アキさんが実践!作画の密度が上がる&マンガに特化した機能とカスタマイズのしやすい「CLIP STUDIO PAINT」で繊細な表現を実現【PR】
今回は、連載中のコミック『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』2巻が発売されたばかりのマンガ家、志水アキさんにご登場いただきました。普段から「CLIP STUDIO PAINT」を使ってマンガを描いているという志水さん。いつも使っている「CLIP STUDIO PAINT」の便利な使い方や制作環境のこだわりについてを、イラストを描く工程とともにご紹介します。記事の後半では、志水さんがイラストを描きはじめてマンガ家になった経緯などについてもお伺いしました!
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志水アキさん
マンガ家、イラストレーター。京極夏彦原作の『魍魎の匣』や『姑獲鳥の夏』など、著作多数。現在は少年マガジンエッジで『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』を連載中。『犬神re.birth』1巻が2020年10月20日に発売になったばかり。
Twitter:@SHIMZAK
目次
「CLIP STUDIO PAINT」でラフを描くことで効率化
志水さんは、以前から「CLIP STUDIO PAINT」でマンガ制作をされているそうです。「ネームはアナログでやって、作画はCLIP STUDIO PAINTで行います。デジタル作画の魅力は何度でもやり直しができることですね」
作画をデジタル化したのはいつごろかと伺うと「8年前からだと思います。はじめは違うソフトを、トーン処理などに使っていました。そのあと新しくCLIP STUDIO PAINT EXがでて、わりとすぐに乗り換えました」とのこと。
その理由は、「みんながデジタルにしだしたので、その時流に乗った感じです」と笑います。「使ったらスピードが上がるかなって効率化のためにCLIP STUDIO PAINTを使い始めたのですが、本当に使ってよかったと思ってます」
下書きをしながらその理由を説明してくれます。「時間がすごく早くなったわけではないのですが、作画の密度が上がって、その分たくさん手を入れられるようになったからです。自分のほしい線もデジタルになってからだいぶ拾えるようになったので、そういう点でもCLIP STUDIO PAINTにして本当によかったです」
「ソフトのUIがマンガ制作に特化されていて、欲しい機能が揃っていて、カスタマイズもしやすいから、とにかく使いやすいです」と絶賛。
「CLIP STUDIO PAINT」で線画の自由度が広がった
お話を伺いながらも手を進める志水さんは、わずか10分程度で下書きを仕上げ、ペン入れを開始します。そのスピードに驚いていると、「下書きを細かく描いて、ペン入れも細かく描くと二度細かく描かなくちゃならないので、下書きはわりと早いんです。慣れたキャラなら下書きもしないでペン入れすることもあります」とのこと。
ペン入れについて、「CLIP STUDIO PAINTを使うようになり変わったことがありますか?」と尋ねると、「アナログだとインクとペン先のコンディションで、すごく絵が左右されたので、少しストレスが溜まっていました。でもCLIP STUDIO PAINTだとそういうことがなく安定して描けるのがいいですね」と、環境に左右されずに描けるメリットを示してくれます。
さらに「太い線を描くときもそんなに力を込めなくていいので、腱鞘炎からも開放されていいことずくめです。多いときは月に100ページくらい描くときもあるので、手への負担が軽くなって本当に良かったです」と言います。
ほかにも便利な点を次々と。「デッサンの狂いを見るのに、左右反転にしたりするんですが、アナログだと紙を重ねて透かしてみたりしてました。そういうことをしなくても簡単に反転してチェックできるので便利ですよね」
左右反転してデッサンのバランスをチェック
バランスを見てもとの絵に修正を入れている
「あと、わたしは筆圧が強いので、下書きも濃くなるんですね。アナログのときはペン入れのときに、ペンなのか下書きなのかがわかりにくくなって、消しゴムをかけたときペンを入れ忘れた箇所があるといった失敗に気づくこともありました。CLIP STUDIO PAINTだと、下書きを薄く表示できるので、そういうミスもなくなります。薄い下書きのうえに、さらに濃い下書きで修正してからペン入れといったこともできますし」
また「CLIP STUDIO PAINT」にははじめから330以上の豊富な種類のブラシが搭載されていますが、さらにユーザーなどが作成したブラシをダウンロードすることもできます。志水さんの愛用はしげペン*と丸ペンだそうです。
*しげペン:CLIP STUDIOで無料ダウンロードして使用できるペン。モノクロレイヤー専用で、1ピクセル以上でもアナログのようにかすれるペン。
ダウンロードして導入したしげペン
*丸ペン:初期設定で使えるペン。Gペンの方が太め、丸ペンの方が細めに設定されています。
さまざまな線が描ける丸ペン
「丸ペンは抜きが細くて、繊細な細い線も描けるけど、強弱もつけられるので好んでいます。アナログの丸ペンだとペン先が引っかかってしまって、失敗することもあるのですが、CLIP STUDIO PAINTだとそういうことがないですよね」と言います。さらに「デジタルなら、どこまでも細い線も描けるし、どこまでも太い線も描けるし、線の自由度が広がりましたね」と、デジタル作画の魅力を語ってくれました。
志水アキさんが「CLIP STUDIO PAINT」で作画する上でのこだわり
「CLIP STUDIO PAINT」を自在に操作する志水さんに、もうちょっとこんな機能があればいいのに、といった要望があるか伺いました。
「うーん、こうなったらいいのにはあまりないかなあ。機能にはかなり満足しています。アナログよりデジタルがいい、と言いつつも、あまり機能に頼りすぎず、アナログ感は残していきたいという気持ちがあるんです」
デジタルの便利さを利用しつつも、アナログの良さは残したいとのこと。
「たとえば諸星大二郎*先生の絵って、わりとざっくりしているじゃないですか。曖昧に描いている部分に怖さの肝があると思うんです。細かくキレイに描きすぎると怖さが薄れるんです。わたしもホラーよりのマンガを描いているので、アナログの有機的なものは残していきたいと思っています。」
*諸星大二郎:1970年『COM』にてデビューした日本を代表するマンガ家の一人。ジャンルを越えた多くの著名人の作品に影響を与えたといわれる。代表作に『妖怪ハンター』『西遊妖猿伝』などがある。
普段使用されているPC環境についてのこだわりも伺ってみました。「実用主義なのでWindowsを選んだ感じですが、こだわりはとくにないです。このPCもアシスタントさんに選んでもらって、環境を整えてもらっています。今使っている液晶タブレットも、アシスタントさんの知人がいらなくなったというのでゆずってもらったものです」と笑います。
いろいろお話を伺ううちに、今度は色塗りの作業に入ります。
色塗り作業。肌から色をつけていく
帯の色を決めるのに、どの色合いがいいのかをスライダーで色調整しながら決めている様子
基本の色を塗ったあとに、影をつけて立体感を出していく工程
志水さんは絵を仕上げていくうえで、どんなことに気をつけているのでしょうか。
「伝えたいものがちゃんと見る側に伝わっているかどうか、を気にしながらいつも描いていますね。このイラストも最終的には妖艶な感じに仕上げたいと思っているんです。それが伝わるように描いていきたいと思ってます」と言います。イメージを伝えることの大切さを意識されているそうです。
ついにイラストが完成!志水アキさんが「CLIP STUDIO PAINT」を使う理由
最終的な色塗りの工程などは仕上げていただいたあとに送っていただくことにしました。背景や着物の柄、影や光などを描き込んで仕上がったイラストがこちらです。下書きからはじめて、見事に妖艶なイメージのイラストが完成しました。
「CLIP STUDIO PAINT」を使いこなす志水さんが、もっとも便利だと思う機能について教えてくださいました。
「なげなわ塗り*ですね。ちょっとしたベタのところもさっと塗れますし、はみ出さないし、すごく便利でめちゃくちゃ多用しています」と教えてくれました。
*なげなわ塗り:ツールを選択してペンで範囲を描き、ペンを離すと自動的に選択した範囲内を塗りつぶせる機能。
なげなわ塗りツールを選択して範囲を選択
ペンを離すと選択した部分が塗られている
このような雰囲気のあるイラストを描かれる志水さんは、どのようにしてマンガ家になったのでしょうか?
「子どもの頃に読んでいたコロコロコミックの影響なのか、小学校低学年くらいから、当然漫画家になるもんだと思っていました(笑)。それで『15歳までにコロコロコミックでデビューするぞ』と思っていたんです。小学校3年生の頃には、自分が読むための漫画雑誌を自分で作ってました。当時は4本のかけもち作家だったんですよ(笑)」
その後も漫画を描き続け、20歳くらいのときに月刊マガジンに投稿をして奨励賞を受賞。その後、マンガ家の奥瀬サキ*先生のところでアシスタントをしたときに「自分の原作で漫画を連載してみない?」と言われ、デビューしたそうです。
「なので、担当編集にネームを直されてボツにされまくり、みたいな感じでのデビューではないんですよね」と笑います。
*奥瀬サキ:1986年、短編「座敷童子」でデビュー。代表作に『低俗霊狩り』、『コックリさんが通る』などがある。
現在連載中の『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』のコミックスも重版され絶賛発売中
志水さんの作品には、京極夏彦さんの小説などを原作や原案にしたものが少なくありませんが、こうした作品の作り方を伺いました。
「小説が原作ときは、今回はここまで描こう、と決めて、それを30ページに割り振ってネームにしています。たとえば京極先生の小説の場合なら、なるべく原作に忠実な方向であまりアレンジはせずに再現したいと思ってます。
逆に、『幻想水滸伝3』っていう作品は、ゲームが原案なので、バトルシステムを漫画に適した表現に変えていくという作業が必要でした。ストーリーもアレンジする必要がありましたね」
と、原案や原作によって、作り方が違うそうです。たとえば京極作品は独特の世界観があるのでマンガ化への苦労もあるのではないでしょうか。
「なにかがたくさんでてくるという表現があって、絵にするのが大変ということはあります。『部屋いっぱいの箱』とか『あたり一面の壺』とかは描くのが大変でした。わたしというより主にアシスタントさんですが(笑)。それもデジタルにしたかった理由のひとつで、今後はそういう絵もコピーアンドペーストで省力化できますね」
繊細なタッチやホラーの怖いタッチなど多彩な絵柄を描き分ける志水さんは、どのような作家の影響を受けてきたのでしょうか。
「好きな先生はいっぱいいますが、影響を受けたのは、たとえば藤原カムイ*先生かなあ。トーンに頼りすぎず線画ですべて表現するようなところにすごく影響を受けました。あとは短編を描いていた頃の奥浩哉*先生の絵柄にも影響を受けました。女の子の顎のラインがすごくいいなあ、と思っています。あとは『エアマスター』の柴田ヨクサル先生のストーリーなども好きでしたね。
そんなふうに、いろいろな作家さんから少しずつ影響を受けているっていう感じですね」
*藤原カムイ:1979年、第18回手塚賞佳作でデビューし、繊細な絵が特徴。代表作に『雷火』『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』など。
*奥浩哉:1992年の『変[HEN]』がデビュー作。その後SFバトルを軸にした『GANTZ』が代表作として知られる。
*柴田ヨクサル:1992年に『谷仮面』でデビュー。代表作『エアマスター』はTVアニメにもなった長期連載作品。
保護犬預かりの活動もされている志水さんの家では、作業の様子をわんちゃんが見守り中
志水さんの作品には独特なキャラクターも登場することが多いですが、キャラクターづくりではどのようなことをこだわっているのでしょうか?
「見た目でその人となりが表現できるようにしたいと思っています。体格とか姿勢とか服装とか筋肉の付き方とかで、その人の価値観や生活感がでてくるので、それを意識しています」
マンガ家として、これからマンガ家になりたいという人へのアドバイスも伺いました。
「今は昔よりもはるかに漫画を描きやすい時代になっていると思うんです。発表の場もいろいろ増えているので、気軽に始めてみるのがいいと思います。とにかく人に見てもらう機会を増やすことですね。個人のSNSで発表するでもいいですし、投稿などでもいいですし。人に見せることで上達していくので」
でも、職業として続けていきたいんだったら、と続けます。
「職業として続けるなら、コスト計算ができるようにしないとだめですね。『これだけ描けば生活できる』っていうプランが必要ですね。自分がこれだけ描けば破綻せずに暮らしていけるっている事業計画を立てましょう(笑)。アシスタントに依頼していると生活できなくなるなら、自分だけでできる作業スタイルに変えるとか。ほかの職業も同じですが、仕事ですから情熱だけでやっていけない部分もあります」と職業作家ならではのご意見も。
部屋にはリクガメの子どもがいて、庭では4匹のリクガメを飼育中。志水さんはカメのために家を建てたそう
最後に、今後ご自身でこんなことをしてみたいということはありますか?と尋ねました。「出版社などに頼らずに、自分で電子書籍などで本を出してみたらどうなるのか、というのは、一度やってみたい気がします。読者からの反響をダイレクトに数字で見てみたいというのと、自分ひとりでどこまでできるのかを試してみたいです」と語っていただきました。
インタビューと撮影をしながら、さらさらとラフを描き、ペン入れをして、さらに色つけもしてイラストを描いていただきました。使い慣れた「CLIP STUDIO PAINT」で、あっという間に作品ができあがっていくプロの技術に、取材スタッフがみんな驚きました。
志水さんのようにはできなくても、「CLIP STUDIO PAINT」は、マンガやイラストを描く人たちのあらゆるニーズに対応してくれる豊富な機能が魅力のグラフィックソフトです。
マンガやイラストをやってみたいと少しでも思ったら、まず「CLIP STUDIO PAINT」を手に入れて使ってみましょう。
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PHOTO BY_橋本 千尋