GeForce RTX 3090の性能レビュー&ベンチマークをDDIYerが検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
「GeForce RTX 3090」は、NVIDIAが2020年9月に発売した最新のGPUです。RTX 30シリーズの先駆けとなるRTX 3090は、まさに「ウルトラハイエンド」と呼んでも過言ではない性能を誇っています。
最高スペックのゲーミングPCを自作したいなら、ぜひGeForce RTX 3090を検討すべきです。決して安価なグラボとは言えませんが、価格に見合うだけの圧倒的なパフォーマンスを得られるでしょう。
今回はNVIDIA「GeForce RTX 3090」について、スペックやDDIYerのユーザーによる実機計測したベンチマーク結果を交えて紹介します。DDIYerが集まるDigital DIYerはこちら!
GeForce RTX 3090とは
「GeForce RTX 3090」は、NVIDIAが2020年9月より展開している、GeForce RTX 30シリーズの最高峰モデルです。最新のGDDR6Xメモリを24GBも搭載している点や、10496基ものCUDAコア数を備えていることが大きな特徴。
現在は多くのゲーマーが4K環境の構築を目指していますが、RTX 3090はそれを凌駕する8Kにも対応できるほどのスペックです。そんなGeForce RTX 3090について、まずは下記5点の観点から特徴やスペックを探っていきましょう。
- GPUエンジンの仕様
- メモリの仕様
- テクノロジサポート
- GeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080の違い
- GeForce RTX 3090とGeForce RTX 2080 Tiの違い
なお、スペックの参照元はこちらの公式サイトとなります。
GPUエンジンの仕様
GeForce RTX 3090のGPUエンジンの仕様は次のとおりです。
スペック | |
---|---|
NVIDIA CUDA® コア数 | 10496基 |
ベースクロック | 1.40GHz |
ブーストクロック | 1.70GHz |
他のモデルとの比較は後ほど行いますが、RTX 3090のクロック周波数はそれほど高いわけではありません。しかし、特筆すべきなのはCUDAコア数です。これはCPUのコア数やスレッド数に相当するもので、RTX 3090は驚異的な10496基!
GPUもCPUと同じように、単純にコア数でスペックは決まりません。しかし、シェーダーつまりグラフィックの描画などGPUで行う処理においては、並列処理が極めて重要です。そのため、コア数の多さは強力な武器となります。
メモリの仕様
GeForce RTX 3090に搭載されているメモリの仕様は次のとおりです。
スペック | |
---|---|
標準メモリ構成 | 24GB GDDR6X |
メモリインターフェイス幅 | 384ビット |
VRAMを24GBも搭載しているGPUは他にありません。しかも、現状最も高速なデータ転送が可能なGDDR6Xを採用しています。さらに注目すべきなのが、メモリインターフェイス幅が384ビットもあるということ。
メモリインターフェイス幅は、VRAMが一度に転送できるデータ量を示します。単純にこれだけでスペックを判断できるわけではありませんが、384ビットの帯域幅は非常に魅力的。最新のGDDR6Xメモリの速度との相乗効果で、高速な処理能力を発揮してくれます!
テクノロジサポート
GeForce RTX 3090のテクノロジサポートは次のとおりです。
スペック | |
---|---|
レイ トレーシング コア | 第2世代 |
Tensor コア | 第3世代 |
NVIDIA アーキテクチャ | Ampere |
Microsoft DirectX® 12 Ultimate | 〇 |
NVIDIA DLSS | 〇 |
PCI Express Gen 4 | 〇 |
Resizable BAR | 〇 |
NVIDIA® GeForce Experience™ | 〇 |
NVIDIA Ansel | 〇 |
NVIDIA FreeStyle | 〇 |
NVIDIA ShadowPlay | 〇 |
NVIDIA Highlights | 〇 |
NVIDIA G-SYNC® | 〇 |
Game Ready ドライバー | 〇 |
NVIDIA Studio ドライバー | 〇 |
NVIDIA GPU Boost™ | 〇 |
NVIDIA NVLink™ (SLI-Ready) | 〇 |
Vulkan RT API、OpenGL 4.6 | 〇 |
HDMI 2.1 | 〇 |
DisplayPort 1.4a | 〇 |
NVIDIA エンコーダー | 第7世代 |
NVIDIA デコーダー | 第5世代 |
R Ready | 〇 |
現状でNVIDIA側が提供しているテクノロジーはすべてサポートしています。注目点は「NVIDIA NVLink™ (SLI-Ready)」をサポートしていること。これは「NVIDIA SLI」の発展形で、グラボを2枚接続して1枚のグラボのように使える技術です。
残念ながら、RTX 30シリーズは基本的にSLIに対応しておらず、SLIを使えるのは「NVIDIA NVLink™」に対応しているRTX 3090のみ。SLIに対応しているソフトは少ないですが、対応している場合はRTX 3090のモンスタースペックがさらに引き立つでしょう。
GeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080の違い
カタログスペックについて確認したところで、他のモデルとの比較を行ってみましょう。まずは下位モデルの「GeForce RTX 3080」との比較です。下位モデルといっても、RTX 3080も一流のハイエンドモデル。それほど大きな差があるのでしょうか?
GeForce RTX 3090 | GeForce RTX 3080 | 比較 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere | Ampere | 同じ |
コードネーム | Ampere GA102 | Ampere GA102 | 同じ |
タイプ | デスクトップ | デスクトップ | 同じ |
発売日 | 2020年9月24日 | 2020年9月16日 | 8日新しい |
シェーダープロセッサの数 | 10496 | 8704 | +1792 |
コア周波数 | 1400MHz | 1450MHz | -50MHz |
Boost周波数 | 1700MHz | 1710MHz | -10MHz |
トランジスタの数 | 283億 | 283億 | 同じ |
製造プロセス | 8nm | 8nm | 同じ |
消費電力(TDP) | 350W | 320W | +30W |
テクスチャリングの速度 | 556.0GTexel/s | 465.1GTexel/s | +90.9GTexel/s |
Tensorコア数 | 328 | 272 | +56 |
RTコア数 | 82 | 68 | +14 |
VRAM帯域幅 | 936.2GB/s | 760.3GB/s | +175.9GB/s |
理論性能(単精度) | 35.58TFLOPS | 29.77TFLOPS | +5.81TFLOPS |
引用元:https://technical.city/ja/video/GeForce-RTX-3090-vs-GeForce-RTX-3080
クロック周波数は下位モデルのRTX 3080の方が高いですが、これはRTX 3090のCUDAコア数が非常に多く、1個コアあたりの消費電力が下位モデルより低いためです。GPUの演算能力を示す大切なスペックは、「理論性能(単精度浮動小数点演算性能)」になります。
RTX 3080が29.77TFLOPSであるのに対し、RTX 3090は35.58TFLOPSなので、理論上は1.2倍の性能となります。NVIDIA Titan RTXの理論性能が16.31TFLOPSだったことを考えると、順当な進化を遂げていると言えるでしょう。
さらにVRAM帯域幅を見ても、理論上RTX 3090はRTX 3080の1.2倍ほどの速度でデータを転送できることが分かります。Tensorコア数やRTコア数もRTX 3090の方が明らかに多いので、RTX 3090のスペック上での優位性は確実です!
GeForce RTX 3090とGeForce RTX 2080 Tiの違い
下位モデルとのスペックを比較した後は、直系の先代モデルである「GeForce RTX 2080 Ti」との比較も行ってみましょう。世代が進んでどれほどの進化を遂げたのでしょうか。
GeForce RTX 3090 | GeForce RTX 2080 Ti | 比較 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere GA102 | Turing TU102 | 新世代へ進化 |
タイプ | デスクトップ | デスクトップ | 同じ |
発売日 | 2020年9月24日 | 2018年8月27日 | 約2年新しい |
シェーダープロセッサの数 | 10496 | 4352 | +6144 |
コア周波数 | 1400MHz | 1350MHz | +50MHz |
Boost周波数 | 1700MHz | 1545MHz | +155MHz |
トランジスタの数 | 283億 | 186億 | +97億 |
製造プロセス | 8nm | 12nm | -4nm |
消費電力(TDP) | 350W | 250W | +100W |
テクスチャリングの速度 | 556.0GTexel/s | 420.2GTexel/s | +135.8GTexel/s |
Tensorコア数 | 328 | 544 | -216 |
RTコア数 | 82 | 68 | +14 |
VRAM帯域幅 | 936.2GB/s | 616.0GB/s | +320.2GB/s |
理論性能(単精度) | 35.58TFLOPS | 13.45TFLOPS | +22.13TFLOPS |
引用元:https://technical.city/ja/video/GeForce-RTX-2080-Ti-vs-GeForce-RTX-3090
明らかな進化を遂げていることが分かりますね。RTX 3090のCUDAコア数はRTX 2080 Tiと比べて6144個も増えていて、約2.4倍になっています。Tensorコア数は少し減っていますが、演算性能自体が大幅に向上しているため問題にはなりません。
VRAM帯域幅や理論性能(単精度浮動小数点演算性能)の進化は圧倒的で、理論上は2.6倍の性能があるということになります。さすがにレイトレーシングや8Kに対応できる性能というだけあって、まさにウルトラハイエンドクラスのグラボですね!
ただし、スペックの大幅な向上と引き換えに、消費電力が100Wも高くなっています。とはいえRTX 3090はウルトラハイエンドモデルなので、その点は仕方ないことかもしれません。消費電力が350Wあっても、ゲーマーならノドから手が出るほどのスペックでしょう。
【実機検証編】GeForce RTX 3090のCPU性能・ゲーミング性能
ここまでは、GeForce RTX 3090の基本スペックや他機種との比較を行ってきました。しかし、気になるのは実際のパフォーマンスですよね。そこで、ユーザーから寄せられた声を元にして、リアルなスペック評価を行っていきましょう!
AORUS GeForce RTX™ 3090 XTREME WATERFORCE WB 24G × Intel(R) Core(TM) i9-9900KS
Digital DIYerユーザーの「beagle」さんは、「AORUS GeForce RTX™ 3090 XTREME WATERFORCE WB 24G × Intel(R) Core(TM) i9-9900KS」の構成でPCを組んでいます。
詳しい構成は次のとおりです。
パーツ | 構成 |
---|---|
CPU | Intel® Core™ i9-9900KS |
グラボ | AORUS GeForce RTX™ 3090 XTREME WATERFORCE WB 24G |
メモリ | F4-4000C19D-32GTRS |
ストレージ | 960 EVO M.2 MZ-V6E1T0B/IT、SSD 660p SSDPEKNW020T8X1 |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS XI APEX |
CPUクーラー | EK-AIO 360 D-RGB |
PSU | AX1600i CP-9020087-JP |
ケース | Phanteks Enthoo Elite |
この構成でのスペックに関する「beagle」さんのコメントは次のとおりです。
主な用途は3画面4Kでのゲーム(原神やDestiny2)です。その他はPhotoshopとIllstratorでのクリエイティブ作成になります。3画面4Kはピクセルサイズで言うと11520x2160となり、非常に膨大な描画範囲になります。GPUはほぼ100%で常時回すことになり、そのため空冷ではなく、水冷のGPUを搭載しています。併せて電源も1600W(コンセント仕様的には1200Wくらいで頭打ち)にしてあります。
RTX 3090の性能を最大限に発揮しているようですね。3画面4Kを達成できているというのは驚くべきことでしょう。これは8K(7680×4320)を大幅に上回る11520×2160の解像度に相当するので、気の遠くなるほどのスペックを要する膨大な描画範囲です。
しかし、RTX 3090ならそんなことも可能なのです。さすがのRTX 3090もフル稼働状態になるため、1200Wくらいの余裕のある電源は必須。CPUもハイエンドモデルの「i9-9900KS」なので、最高のコンビネーションだと言えるでしょう。羨ましいほどのスペックですね!
Cinebench
CPUのパフォーマンスを計測する「Cinebench」は、マルチコアが12550、シングルコアが1294となりました。さすがに8コア/16スレッドのハイエンドモデルi9-9900KSなので、圧倒的なスコアを叩き出しますね。
ちなみに、i9-9900KSはベースクロックが4.0GHzで、ターボブースト時は全コアでなんど5.0GHzを出せることが保証されています。これほどのCPUスペックがあるからこそ、RTX 3090のパフォーマンスを最大限に引き出せるのでしょう。
FF15 ベンチマーク
ゲーミングのパフォーマンスを測定する「FF15 ベンチマーク」では、フルHDのフルスクリーン、標準品質設定で「15063」のスコアを達成しました。
ベンチマーク評価は「非常に快適」で、高品質なゲーミングを楽しめる環境であることが分かります。i9-9900KSとRTX 3090の構成は現状で最高峰に近いので、ほぼ満点に近いスコアなのではないでしょうか。
また、上記の画像のようにフレームレートは平均174前後で推移しています。FF15はかなり負荷の高いタイトルですが、それでもフルHDで180近いフレームレートを出せるのは驚異的ですね!
FF14 ベンチマーク
同じくゲーミングのパフォーマンスを測定できる「FF14 ベンチマーク」では、フルHDの高品質設定でスコアはなんと20000を超えました。21693というスコアは、現状ではRTX 3090くらいしか到達できないでしょう。
また、FF14ベンチマークではテキストファイルで結果を出力することもできます。その概要は下記のとおりです。
- SCORE: 21693
- 平均フレームレート: 188.0488
- 最低フレームレート: 62
- 評価: 非常に快適
- 非常に快適に動作すると思われます。お好みのグラフィック設定でお楽しみください。
注目すべき点はフレームレートです。平均値はなんと188を超えています。ゲームを快適にプレイするために必要なFPSは、一般的に60だと言われているため、この構成では3倍も高いフレームレートを出せることになります。これだけ余裕があれば安心ですね!
なお、最低フレームレートは62なので、ギリギリのような気がするかもしれません。ゲームプレイ時は特に負荷が集中する瞬間があり、その一瞬だけFPSが62になることを意味します。しかし、最低値が62というのは通常まず考えられないほど高い数値です。
GeForce RTX 3090の特徴・性能評価
GeForce RTX 3090について、さまざまな観点からスペックの検証を進めてきました。これらを踏まえて、次の3つのポイントから最終的な評価を行っていきましょう。
- 現時点では最高峰のグラフィック性能を誇る
- ウルトラハイエンドモデルとしては低価格
- 下位モデルよりコストパフォーマンスなどが低い
現時点では最高峰のグラフィック性能を誇る
現在販売されているゲーム用GPUの中で、RTX 3090は最高峰のグラフィック性能を誇ります。CUDAコア数は初めて10000基を超えて、浮動小数点演算性能(単精度)は約35TFLOPSと圧倒的です。32ビット小数値(float)の加算もしくは乗算を、1秒間に35兆回も行えます。
こうした驚異的なスペックのおかげで、4Kだけではなく8Kまで視野に入れた環境を構築できます。さらに、リアルな映像表現に欠かせない「レイトレーシング」も、RTX 3090なら十分なパフォーマンスで実現可能になりました。
レイトレーシングは極めて負荷が高い処理で、前世代のGPUでは満足なフレームレートを達成するのが困難でした。まさにウルトラハイエンド級のグラボだと言えるでしょう。2021年時点で最高峰のグラフィック性能を体感したいのであれば、ぜひともRTX 3090を検討してみるべきです!
ウルトラハイエンドモデルとしては低価格
RTX 3090は通常のナンバリングモデルであるため、基本的には先代のRTX 2080Tiの後継機種と言えます。しかし、スペックの位置づけ的には「Titan」シリーズに相当する「ウルトラハイエンドモデル」です。定価も約25万円と圧倒的。
ところが、2018年末に発売された「Titan RTX」の定価は、なんと約32万円とさらに高額なものでした。先ほどもご紹介したように、RTX 3090のスペックはTitan RTXをも大幅に凌駕します。そのため、RTX 3090のコストは破格なように見えて、実はそうでもないのです。
後述するように、RTX 3090のコストパフォーマンスは決して良くありません。しかし、RTX 3090はウルトラハイエンドモデルなので、そもそもコスパを求める製品ではないのです。Titanクラスでこの価格を実現できたのは、むしろ魅力だと言えるでしょう。
下位モデルよりコストパフォーマンスなどが低い
RTX 3090とRTX 3080を比べると、確かにRTX 3090の方がスペックは優れています。しかし、価格がスペックの差に必ずしも見合っているわけではないのです。RTX 3090の定価は約25万円で、RTX 3080は約10万円。価格にして2.5倍もの差があります。
一方でスペックはどうなのかというと、前述したように理論値では1.2倍になります。実測値では1.1倍前後のようです。しかし価格は2.5倍なので、コストパフォーマンスは非常に悪いと言わざるを得ません。もうひとつ気になるのがワットパフォーマンスです。
下位モデルのRTX 3080も特に良いわけではありませんが、RTX 3070と比べるとワットパフォーマンスの悪さが目立ちます。RTX 3090は最高峰のスペックを目指す人には魅力的ですが、そうでない人にとってはRTX 3080やRTX 3070でも十分かもしれません。
まとめ
NVIDIAの「RTX 3090」は、ゲーミング用GPUとしては現在のところ最高峰の性能を誇ります。スペックを見ればそのパフォーマンスの高さは明らかで、先代モデルからも大幅な進化を遂げました。
10000を超えるCUDAコア数による圧倒的な演算能力や、専用コアによるレイトレーシング性能など、PCのフレームレートを最大限に高める構成が魅力的。ベンチマークを見ても、RTX 3090の高いスペックが引き立ちます。
RTX 3090はコスパが良くないため、一般的にはRTX 3080やRTX 3070を選ぶ方が良いかもしれません。しかし、最高のスペックを手に入れたいヘビーゲーマーなら、自作PC制作にぜひ検討してみることをおすすめします!