GeForce RTX 2070の性能レビュー&ベンチマークをDDIYerが検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
「GeForce RTX 2070」は、NVIDIAが2018年10月に発売したグラフィックボードです。RTX 20シリーズのミドルハイクラスという位置づけのRTX 2070は、高いパフォーマンスと手に入れやすい価格を実現しました。
近年話題になっている「レイトレーシング」や、高速なアンチエイリアシング処理を実現するために、専用の「RTコア」と「Tensorコア」を搭載していることも大きな魅力です。特に、レイトレーシングはRTX 20シリーズの目玉と言えるでしょう。
今回はそんな「GeForce RTX 2070」の特徴やスペックについて、上位機種や後継機種との比較、さらにはDDIYerのユーザーによる実機計測も交え詳しく紹介していきます。DDIYerが集まるDigital DIYerはこちら!
GeForce RTX 2070とは
「GeForce RTX 2070」とは、NVIDIAが2018年10月に販売を開始した、「GeForce RTX 20シリーズ」のミドルハイモデルです。「TU106」を採用した「Turing」アーキテクチャを採用しています。
型番的には「GeForce GTX 1070」の後継機種ですが、「GTX」から「RTX」に名称が変わっています。RTは「レイトレーシング」を示し、RTXシリーズは「レイトレーシングに対応できるグラボ」という意味があるようです。
つまり、RTX 2070の魅力はレイトレーシングや、それを実現できるだけの高いスペックということになります。これらの点を踏まえて、GeForce RTX 2070のスペックを次の5つの観点から比較検証していきましょう。
- GPUエンジンの仕様
- メモリの仕様
- テクノロジサポート
- GeForce RTX 3070とGeForce RTX 2070の違い
- GeForce RTX 2070とGeForce RTX 2080、GeForce RTX 2080 Superの違い
なお、RTX 2070には「ファウンダーズエディション」と「リファレンス仕様」の2種類が提供されているため、両者のスペックをご紹介します。
GPUエンジンの仕様
GeForce RTX 2070のGPUエンジンの仕様は次のとおりです。
ファウンダーズエディション | リファレンス仕様 | |
---|---|---|
NVIDIA CUDA® コア数 | 2304基 | 2304基 |
RTX-OPS | 45T | 42T |
Giga Ray/秒 | 6レイ/秒 | 6レイ/秒 |
ベースクロック | 1410MHz | 1410MHz |
ブーストクロック | 1710MHz | 1620MHz |
引用元:https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/rtx-2070/
GeForce RTX 2070のコア数は、GTX 1080の2560基より少しだけ少ない2304基なので十分です。RTX-OPSやGiga Ray/秒はレイトレーシングのスペックを示すものなので分かりづらいですが、「RTX」を名乗るだけあってレイトレーシングに十分な性能を持っています。
ベースクロック周波数は1410MHzと少し控えめですが、ファウンダーズエディションの場合はブーストクロックが1710MHzです。これは先代GTX 1080の1733MHzに肉薄するレベルなので、GTXのハイエンドモデルクラスのスペックがあると言えるでしょう。
メモリの仕様
GeForce RTX 2070に搭載されているメモリの仕様は次のとおりです。
ファウンダーズエディション | リファレンス仕様 | |
---|---|---|
メモリ速度 | 14Gbps | 14Gbps |
標準メモリ構成 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
標準メモリ構成 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリインターフェイス幅 | 256ビット | 256ビット |
メモリ帯域幅 | 448GB/秒 | 448GB/秒 |
引用元:https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/rtx-2070/
GeForce RTX 2070のメモリ仕様は、どちらのバージョンでも同じです。高速なGDDR6メモリを8GB備えているので、フルHD(1080p)やWQHD解像度(1440p)の解像度であれば、最高画質設定でもまず不足することはないでしょう。
メモリの帯域幅に関しては、先代ハイエンドGTX 1080の320GB/を大幅に上回り、フラッグシップGTX 1080Tiの484GB/sに肉薄します。GPUエンジンだけではなくメモリの性能でも、前世代のハイエンドクラスに相当すると言えるでしょう。
テクノロジサポート
GeForce RTX 2070のテクノロジサポートは次のとおりです。
ファウンダーズエディション | リファレンス仕様 | |
---|---|---|
リアルタイム レイ トレーシング | 〇 | 〇 |
NVIDIA DLSS 2.0 | 〇 | 〇 |
NVIDIA® GeForce Experience™ | 〇 | 〇 |
NVIDIA Ansel | 〇 | 〇 |
NVIDIA Highlights | 〇 | 〇 |
NVIDIA G-SYNC™ Compatible | 〇 | 〇 |
Game Ready ドライバー | 〇 | 〇 |
Microsoft® DirectX® 12 Ultimate、Vulkan API、OpenGL 4.6 | 〇 | 〇 |
DisplayPort 1.4、HDMI 2.0b2 | 〇 | 〇 |
HDCP 2.2 | 〇 | 〇 |
NVIDIA® GPU Boost™ | 4 | 4 |
VR Ready | 〇 | 〇 |
USB Type-™ と VirtualLink™4向けのデザイン | 〇 | 〇 |
NVIDIA Encoder (NVENC) | 対応(Turing) | 対応(Turing) |
引用元:https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/rtx-2070/
GeForce RTX 2070のテクノロジサポートは、どちらのエディションでも同じです。特筆すべきは「レイトレーシング」と「DLSS」に対応しているところでしょう。レイトレーシングとは、光の反射をシミュレートして現実的な色彩表現を行う技術です。
レイトレーシング自体は古くからありましたが、膨大な処理を必要とするため、ゲームのリアルタイム描写で採用することは不可能でした。しかし、NVIDIAのRTXシリーズでようやく夢の技術を実現可能となり、RTX 2070にはそのための専用コアが搭載されています。
また、DLSSは「ディープラーニング」技術を活用して、アンチエイリアシング処理を後続に行う技術です。RTX 2070にはDLSS専用の「Tensorコア」が搭載されており、AIを駆使してアンチエイリアシング処理を効率化できるようになりました。
GeForce RTX 3070とGeForce RTX 2070の違い
GeForce RTX 2070の基本的なスペックについて確認した後は、他のモデルとの比較検証を行いましょう。まずは後継機種の「GeForce RTX 3070」との比較です。次世代機との性能差はどれくらいあるのでしょうか?
実は、RTX 3070は驚異的な進化を遂げており、RTX 20シリーズのフラッグシップモデルである「RTX 2080 Ti」と同等のスペックを誇ります。アーキテクチャが新世代となり、CUDAコア数やクロック周波数なども大幅に向上しているのです。
RTX 2070とRTX 3070の比較については、下記のページで詳しく解説しています。両者のスペックの違いが気になる人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
GeForce RTX 2070とGeForce RTX 2080、GeForce RTX 2080 Superの違い
次はGeForce RTX 2070のベンチマークスコアやコストパフォーマンスについて、比較検証を行ってみましょう。今回は同世代の上位機種である「RTX 2080」と「RTX 2080 Super」と比較してみます。その結果は次のとおりです。
GeForce RTX 2070 | GeForce RTX 2080 | GeForce RTX 2080 SUPER | |
---|---|---|---|
ベンチマークスコア | 16106 | 18625 | 19502 |
ベンチマーク順位 | 34 | 18 | 15 |
標準価格(※1) | 113,300円 | 110,000円 | 78,430円 |
コストパフォーマンス(※2) | 15.64 | 18.63 | 27.35 |
(※1)標準価格は1ドル110円の為替レートで換算したものです。なお、現在の国内価格とは異なる場合があります。
(※2)コストパフォーマンスは標準価格をベンチマークスコアで割ったものです。数値が高いほどコスパが良いことを示します。
ベンチマークソフトには「3D Mark」というベンチマークを使用しています。これらの上位機種は、いずれもCUDAコア数やクロック数が増えているため、RTX 2070よりもハイスペックです。
しかも、コストパフォーマンスを見ても、3機種の中で最上位の「RTX 2080 SUPER」の方が高いことは興味深いです。発売からすでに2年以上が経過しているため、RTX 2080 SUPERの価格が落ち着いてきているのでしょう。
【実機検証編】GeForce RTX 2070のCPU性能・ゲーミング性能
GeForce RTX 2070のスペックについて確認したところで、実際のゲーミングパフォーマンスを検証していきましょう。ユーザーから寄せられた情報や意見を元にして、スペックの評価を行っていきます。
GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G × AMD Ryzen7 5800X
Digital DIYerユーザーの「なおゆー」さんは、「GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G × AMD Ryzen7 5800X」の構成でPCを組んでいます。
PCの詳しい構成は次のとおりです。
構成 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen7 5800X |
GPU | GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G |
メモリ | Corsair Vengeance RGB Pro White DDR4-3200MHz 8GB×2 |
マザーボード | B550 Phantom Gaming-ITX/ax |
ストレージ | Samsung 980 PRO 500GB |
ストレージ2 | Crucial P1 1TB |
電源 | Corsair SF600 PLATINUM 600W |
ケース | CoolerMaster NR200P White |
CPUクーラー | NZXT Kraken X53 |
ケースファン | inwin Sirius Pure ×2 |
アクセサリ | LEDテープ SCYTHE ADD-ILLUMINACION |
この構成に関するなおゆーさんのコメントは次のとおりです。
主な用途はLightroomでの写真の現像、たまにゲームといった感じです。
CPUは8コア16スレッドでシングル/マルチ性能ともに高く、大量の写真の書き出しも非常に速く満足しています。
グラフィックボードについては重めのゲームをレイトレーシングオンにして最高画質でプレイするにはやや性能不足なので、RTX3000シリーズへのアップグレードも考えています。
この構成のPCは、「Lightroom」という画像処理ソフトの使用を主な目的として、制作されたようですね。こういったソフトではCPUのパフォーマンスが重要です。8コア/16スレッドの「Ryzen7 5800X」ということもあり、高負荷のソフトも快適に使用できますね。
ただし、RTX 2070については「高負荷のゲームを最高設定でレイトレーシングオンにはできない」とあります。さすがにRTX初代のミドルハイレンジモデルなので、そこまでの性能を求めることはできないかもしれませんね。レイトレ使用時は注意が必要です。
Cinebench
CPUのパフォーマンスを計測する「Cinebench」でのベンチマーク結果は、マルチコアは14134、シングルコアで1582となりました。さすがに最新の「Zen3」を搭載した8コア/16スレッドの「Ryzen7 5800X」なので、とても高いスコアを叩き出しますね。
引用元:https://www.maxon.net/ja/downloads/
ちなみに、「Ryzen7 5800X」のベースクロック周波数は3.8GHzですが、オーバークロック時は最大4.7GHzまで出せます。高画質のゲーミングに要求されるパフォーマンスも、この構成のPCなら十分に発揮できそうですね!
FF15 ベンチマーク
ゲーミングパフォーマンスを計測できる「FF15 ベンチマーク」では、フルHDの高画質設定で「7942」のスコアが出ました。スコアの評価値は「快適」です。
引用元:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
結果が最高の「非常に快適」ではないのが気になるところかもしれませんね。平均的なフレームレート値は下記の画像でも表示されているとおり、おおむね「74」前後で推移しています。
引用元:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
FF15はトップクラスに負荷が高いゲームなので、最高性能に近いグラボでないと高いスコアは出せないようです。とはいえ、RTX 2070はフルHDで60以上のフレームレートは安定して出せているので、必要十分なパフォーマンスを発揮できると言えるでしょう。
FF14 ベンチマーク
同じくゲーミングパフォーマンスを計測できる「FF14 ベンチマーク」では、フルHDの最高品質で「18468」のスコアが出ました。評価は最高の「非常に快適」です。
引用元:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
また、FF14ベンチマークでは結果が出た後に、テキストファイルにて詳細を出力することもできます。そのテキストファイルの記載内容の概要は次のとおりです。
- SCORE: 18468
- 平均フレームレート: 126.0253
- 最低フレームレート: 47
- 評価: 非常に快適
- 非常に快適に動作すると思われます。お好みのグラフィック設定でお楽しみください。
重要なのはフレームレートです。一般的に60以上のフレームレートが出ていれば、画面のカクつきが気にならず快適にゲームをプレイできると考えられています。平均フレームレートは約126なので、その倍の速度を出せるということです。とても高いスペックですね!
ただ、最低フレームレートが47というのは不安かもしれません。実はこの数値はたまたま負荷が集中した一瞬の数値なので、カクつきが気になることはほとんどないでしょう。RTX 2070は、フルHD解像度で非常に高いパフォーマンスを発揮できるグラボです!
GeForce RTX 2070の特徴・性能評価
GeForce RTX 2070のスペックやベンチマーク結果についてご紹介してきました。これまでの内容を踏まえて、GeForce RTX 2070の特徴やスペックの評価を行っていきましょう。RTX 2070の重要なポイントは次の3点です。
- GTX 1080よりも大幅に高いスペックがある
- レイトレーシングに初めて対応した世代のグラボ
- レイトレ活用や4K画質の最高設定には不安点も
GTX 1080よりも大幅に高いスペックがある
RTX 2070のスペックは、先代のハイエンドモデル「GTX 1080」を大幅に上回ります。まずレイトレーシング対応にともない、名称がGTXからRTXに変わりました。その上でプロセスは4nm縮小し、メモリバス帯域幅も128GB/s向上しています。
その結果、RTX 2070のパフォーマンスはGTX 1080より10%ほど向上しているようです。定価7万円前後で前世代のハイエンドモデルを上回るスペックを得られるのは、非常に大きなメリットだと言えるでしょう。レイトレーシング性能にも注目です!
レイトレーシングに初めて対応した世代のグラボ
RTX 20シリーズは、リアルタイムレイトレーシングに対応した初めてのグラボです。レイトレーシングの技術自体は、数十年前からある有名な技術でした。しかし、極めて写実的な表現が可能な一方で、極めて負荷が高いことから「夢の技術」と呼ばれていたのです。
2018年になり、ようやくリアルタイムでレイトレーシング演算ができるグラボが誕生しました。そのミドルハイクラスがRTX 2070です。しかも、レイトレ専用の「RTコア」も備えているため、他の処理を問題なくこなしながらレイトレを実現することができます。
レイトレ活用や4K画質の最高設定には不安点も
RTX 2070のスペックはミドルハイクラスとしては非常に高いレベルです。しかし、高負荷のゲームでレイトレを使いながら60FPSを出したり、4K画質で高画質設定でプレイしたりするのは難しい場合もあります。そこは新世代のRTX 30には及びません。
そのため、現状での最高スペックを追求するのであれば、RTX 3070やRTX 3080など最新の機種を採用する必要があるでしょう。とはいえ、RTX 2070でもDLSSを有効にすればパフォーマンスが上がるので、レイトレーシングも使いやすくなります。
まとめ
NVIDIAのグラフィックボード「RTX 2070」についてご紹介しました。前世代のハイエンドモデルを上回るスペックや、レイトレーシングに対応していることは大きな魅力です。ハイスペックなCPUと組み合わせれば、快適なゲーミングを楽しめるPCを構成できます。
一方で、すでに発売から2年以上が経過しているモデルなので、最高に近いスペックとは言い難いのが現状です。より高いパフォーマンスを追求するのであれば、最新のRTX 30シリーズを検討する方が良いでしょう。コスパを求めるならRTX 2070も有効な選択肢です!