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    AMD Radeon RX570は、根強い人気があるGPUの型番の一つ。基本的には新しく発売された後継機種ほど高性能で人気が高まりやすいのですが、RX570については長期ユーザーが一定数存在し、中古市場でも値が高騰しています。そこで今回は、今なお支持を集めるRX570の性能と実機計測も交え詳しくご紹介します。
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Radeon RX 570の性能レビュー&ベンチマークをDDIYerが検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測

  • DATE
    2021.06.25
  • WRITTEN BY
    amarunba

ゲーミングPCにおいて重要なパーツと言えばグラボ。このグラボの有無が、ゲーミングPCである事の条件と言っても過言ではありません。
基本的には新しく発売された後継機種ほど高性能で人気が高まりやすいです。ですが2017年に発売されたAMD Radeon RX570は、根強い人気がある型番の1つです。長く使い続けるユーザーが一定数存在し、中古市場でも「高騰している」と言っても良いほどの値が付いています。

なぜそれほどまでに人気が続いているのか?今なお支持を集める「RX570」の性能とDDIYerのユーザーによる実機計測も交え、紹介していきます。DDIYerが集まるDigital DIYerはこちら!

Radeon RX 570とは

Radeon RX570はAMDが2017年より販売したGPUの一種。コードネームは「Polaris 20 XL」です。内部的には2016年に販売したRX470のマイナーチェンジ版で、主にクロック数が引き上げられたことでゲームでの性能が向上しました。

この当時、AMDは「マルチGPU」を売り出してコスパの良さをアピールしていました。
つまり「ハイエンドのGPU1枚を買うよりは、RX480やRX470あるいはRX580やRX570を2枚買えば、より良いパフォーマンスを実現できる上にお釣りが出る」ということです。

実際に一部のベンチマーク結果では、RX480を2枚差したパソコンが良いスコアを出す場合もありました。ただマルチGPUは対応しているゲームタイトルが当時は少なかったのも事実です。とはいえミドルクラスの単体GPUとして見ても十分な性能でもあり、2021年になっても需要があるGPUです。

GPU

RX570 RX470
演算ユニット 32 32
プロセッサ数 2048 2048
コアクロック 1168MHz 926MHz
ブーストクロック 1244MHz 1206MHz
ROP 32 32

ナンバリング的には前世代となるRX470を比較対象としましたが、内部構造的には同一のものであるという事がわかります。

違いがあるとすれば各動作クロック数であり、全体的にオーバークロックを行ったRX470がRX570となったというイメージです。

メモリ

RX570
メモリ速度 7Gbps
ビデオメモリサイズ 8GB/4GB
メモリタイプ GDDR5
メモリインターフェイス 256-bit
最大メモリ帯域幅 224GB/s

使用されているメモリはGDDR5で、これは当時としては標準的なビデオメモリーです。
注目したいのはその容量で、最大8GBのモデルがあります。2021年時点の水準で見ても、大きな容量と言えます。

要件

RX570
ボード電源 150W
推奨電源ユニット 450W

使用する際の要件についてですが、電源の推奨容量があり、定格450W以上の物が推奨となっています。

グラボとしての消費電力は150W。これは補助電源8pinを1本使う程度で、比較的容量の小さい電源でも動かすことが可能です。

Radeon RX 570のベンチマーク性能比較

ベンチマークソフトを提供しているPassMarkのサイト上には、GPUのスコアとランキングが掲載されています。RX570はスコア6967、ランキングは157となっています。

このランキングを参考に、RX570と他のAMD Radeonのグラボを見てみましょう。

Radeon RX570 Radeon RX560 Radeon RX590 Radeon RX5500
ベンチマークスコア 8,006 3,626 9,606 8,493
ベンチマーク順位 142 289 108 131
価格(※1) $599.99(65,998円) $415.00(45,650円) $799.99(87,998円)
コストパフォーマンス(※2) 13.34 15.25 12.01

引用元:https://www.videocardbenchmark.net/gpu_list.php
(※1)価格は2021年5月末までに確認の取れた海外の参考価格と、それを1ドル=110円の為替レートで換算したものです。
(※2)コストパフォーマンスの数値は「ベンチマークスコア÷価格」で算出しており、数値の高い方が良好な結果を示します。

まずRX570の一つ下のグレードになる、RX560はスコア3667と半分ほどのスコア。RX570でフルHDゲーミングに適した性能と言われるので、その半分となるとRX560はあまりゲーム向けではないと言えます。

一方でRX500シリーズ最上位のRX590は、スコア9606と3割増しぐらいの性能。RX590はRX570と比べてプロセスルールが12nmと少し細かくなったモデルでもあるので、その点でも性能が向上しています。

RX5500ともなるとプロセスルールが7nmになり、14nmのRX570の半分になりました。実際にチップとしてのサイズや消費電力が小さくなったにもかかわらず、RX570やRX580よりも良いスコアを出す傾向にあります。このグラボは一般には流通していませんが、ビデオメモリーが最大8GBのRX5500XTと内部構造は同じ仕様のものです。

【実機検証編】 Radeon RX 570 のGPU性能・ゲーミング性能

マイニング性能が高いRX570ですが、本来はフルHDゲーミング対応のグラボです。肝心のゲーミング性能についてはどのようなものでしょうか。

今回は実際にRX570を使っているユーザーの方からお話を伺うことが出来ました。

Radeon RX 570 × AMD Ryzen7 3700X

実際のRX570のゲーミング性能はどの程度か?ここでDIGITAL DIYerユーザーであり、RX570を使用している、syruppさんの提供画像とコメントを参考にしたいと思います。

CPU AMD Ryzen7 3700x
GPU MSI Radeon RX 570 ARMOR 8G
メモリ Kingston DDR4 2666MHz 8GBx2 HyperX FURY RGB
ストレージ Western Digital WD Black NVMe SSD SN750 500GB
マザーボード ASRock B450 Steel Legend

syruppさんのコメントは以下の通りです。

「主な用途はApex Legendsなどのfpsゲームをする際に使用しています。最高画質でプレイはできますが、75fps程度なので、もっと性能のいいグラフィックボードへの買い替えも検討中です。基本的に動作も早く、ストレスなく使えるので満足しています。」

「もっと性能のいいグラフィックボードへの買い替えも検討中」とのこと。とはいえ用途がApex Legendsなどのタイトルということもあり、RX570はやや力不足と感じるのも致し方ない事かもしれません。

Apex Legendsは広いフィールドを舞台にしたバトロワ系FPSタイトルなので、フレームレートが高い方が有利であると同時に、遠方の敵を視認する上では画質が良い方が有利。つまりフレームレートと画質の両方が必要となります。

特に遠方まで見渡せる屋外で、煙幕なんかのエフェクトがあるシーンではフレームレートの落ち込みやすくなります。

Cinebench

グラボの性能と同時に重要になってくるのが、CPUの性能。こちらはCINEBENCH R23の計測結果です。Ryzen7 3700Xは8コア16スレッドのCPUなので、マルチコアのスコアが非常に高いです。

ゲームにおいて大きな影響を与えるのがシングルコア性能です。こちらは1265ptsとなっており、2021年時点でもそれなりに快適な数値と言えるでしょう。

FF15 ベンチマーク

FF15は4Kにも対応したグラフィックが売りのゲームタイトルで、RX570ではやや快適判定となりました。これは大体50~60fpsぐらいで推移した時ぐらいのスコア。

YouTubeの動画が60fpsという事を考えれば、映像としては十分に滑らかといえます。

FF14 ベンチマーク

FF14はFF15に比べて、やや軽い動作のゲームタイトルになります。こちらのベンチマークはレポート出力機能があり、平均と最低のフレームレートが確認できます。

そのレポートによれば平均フレームレートは73fps、最低フレームレートは25fpsになっていました。最低フレームレートは読み込み等が入ったほんの一瞬も計測されます。なので最低フレームレートが出た瞬間というのは認識出来ないレベルです。一方で平均フレームレートが73fpsだと、瞬間的に100fpsを超える場面もあります。

Radeon RX 570の特徴・性能評価

RX570は2017年に販売されたグラボです。2021年の時点では1~2世代古いグラボになりますが、今でも人気があります。では、なぜ人気なのかについて解説いたします。

フルHDゲームにおいて十分な性能

PCゲームのダウンロード販売を行っているプラットフォームの一つであるSteamでは、ユーザーの利用環境が毎月データ化されています。それが「Steamハードウェア&アプリケーション調査」です。

この調査によれば一番多く使われているグラボはGTX1060で、全体の9%程度を占めます。そこからGTX1050Ti、GTX1650、RTX2060と続いていくのですが、この傾向を見ると多くのユーザーはフルHDゲーミング対応グラボを使っていることになります。

RX570もフルHDゲーミングの環境においては、十分な性能を持ち合わせています。やや動作に不向きなタイトルもないわけではありませんが、それを補う値段の安さがありました。

流通量が多い

2017年頃に仮想通貨の採掘、いわゆるマイニングのブームが到来します。この時には投資対象として各種グラフィックボードが飛ぶように売れ、PCショップでは購入台数の制限があったほどです。

そのマイニング目的で最も売れたであろうグラボというのが、RadeonのRX400やRX500シリーズの70~80番台のグレードの物。つまりRX570も含まれます。

先にも述べた通り「ハイエンドのグラボではなく、RX480やRX470あるいはRX580やRX570を2枚買えば、より良いパフォーマンスを実現できてお釣りが出る」というのが、この当時のRadeonの特徴。マルチGPUはゲームには不向きでしたが、マイニングは複数台のグラボで運用するのが当たり前。マイニングを行うには最適なグラボだったのです。

その需要に対応するために生まれたのが、「マイニング向けグラボ」「例のグラボ」と言われる映像出力端子が省かれたRX400、RX500シリーズ。グラフィックボードなのに映像出力が出来ないという一見すると謎のPCパーツですが、マイニングにおいてはとても有効でした。

その後、仮想通貨の暴落によってマイニングブームは一旦終わります。「例のグラボ」を含んだ大量のグラボが中古市場に流れました。
この様な背景もあり2021年のマイニングブーム再燃に至るまで、RX570は様々な形で市場に流通しています。

マイニング性能が高い

では「何故マイニング性能が高いのか?」ですが、これはGPUのプロセッサ数が関係します。GPUにおけるプロセッサはNVIDIAでは「CUDA Core」、AMDでは「ストリーミングプロセッサ」と呼ばれ、他には「シェーダープロセッサ」とも呼ばれます。

仮想通貨は暗号化されているので、これを扱う際に暗号解読をする必要があります。この暗号を一番早く解読した人に成功報酬が支払われるというのがマイニングの仕組みであり、その解読を同時かつ大量にこなすにはプロセッサの数の力が必要となります。

RX570のプロセッサ数は2048。RX570は、一時期は2万円を下回る価格で販売されていました。プロセッサ数が物を言うマイニングにおいては、ハイエンドクラスのグラボに相当するコストパフォーマンスだったわけです。

まとめ

RX570は発売当初よりフルHDゲーミング対応グラボとして、非常にコスパも良いと評価されています。元々流通する数の多いミドルクラスグラボであったという事も、その後の根強い人気に拍車をかけました。

中古市場での高騰は、マイニングブームによる所の影響が大きいです。マイニングに関しては、2021年の水準で見てもコストパフォーマンスに優れています。映像出力端子が省かれた物まで登場したぐらいなので、マイニングという分野においてはこれ以上ない性能かもしれません。


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