【2020年 はじめての自作PC 第5回】デザインも性能もパワーアップしたグラフィックカード
これまでは、“グラフィックカード”といえば、なんとなく「PCでゲームやクリエイティブをやる人が使うのね」のような感じでしたが、今やそれに「魅せるPCを作る人」が加わり、性能はもちろん見た目のポイントでもラインナップがたくさん増えました。
前回のはじめて自作から新たに登場したものには、NVIDIAの『GeForce RTXシリーズ』と、AMDの『Radeon RX 5000シリーズ』の大きく2つがあります。それでは早速それぞれを見ていきましょう。
さらにリアルな世界をPCで楽しめる『GeForce RTXシリーズ』
GeForce RTXシリーズの特徴は、なんといっても“リアルタイム・レイトレーシング”です。GeForce GTXには実装されていないこの技術、さっくり説明すると「リアルタイムでレイトレーシングを行う技術」。レイトレーシングとは、“光の伝わり方を物理法則に従ってシミュレーションする”技術で、私たちが普段目で見ている世界における“影”や“モノへの反射”、“光の屈折”などを、GPUにおける“RTコア”でリアルタイムに描写し、まるで本物と変わらないような表現を可能にします。そう、“めちゃくちゃリアルで没入感満載のCGが堪能できる”のです。もちろんこの“表現力”だけでなく、ゲームのリアルで応答性の高いモーションには欠かせない、高い演算能力(並列処理)も持ち合わせています。
GeForce RTXシリーズのラインナップ
そして、GeForce RTXシリーズの登場により、エントリーからメインストリーム向けの位置づけとなったGeForce GTXシリーズにも、“GeForce GTX 16シリーズ”が登場しました。RTXに比べると、リアルタイム・レイトレーシングの技術がなかったり、ビデオメモリやCUDAコア(並列演算用のコア)が少なかったり、とありますが、その分価格が抑えられています。もちろん、要件を満たしているゲームやソフトウェアでは問題なく使えますよ!
GeForce GTX 16シリーズのラインナップ
『Radeon RX 5000シリーズ』はPCI-Express Gen4 に対応
第3世代Ryzenプロセッサー、そしてX570チップセットで対応したPCI-Express Gen4、そしてほぼ同時に登場したRadeon RX 5000シリーズでも対応します。
Radeon RX 5000シリーズ登場時にうたわれたのが『RDNAアーキテクチャ』の採用です。英字とカタカナで「なんのこっちゃ?」という感じですが、要はグラフィックカードの計算中枢であるGPUの構造が新しいものになりました。新しくなったら性能が良くなるのが基本PCパーツですが、ここでもそれは同じで、主に省電力性や演算・視覚効果のパフォーマンスが向上となり、特にゲームでその恩恵が受けられます。
そしてRadeon には「Radeon Software Adrenalin Edition (最新は2020)」というソフトウェアがあり、ここでゲームの表現性や応答性を上げる数々の機能を実装しています。そしてAMDのコストパフォーマンスここでも!ということで、最上位でも6万前後というお値段です。
Radeon RX 5000シリーズのラインナップ
魅せるPCで大活躍!『PCI Express ライザーケーブル』
光るPCを見ていると、グラフィックカードの表面(ファンが見える面)が、ケースの底面に対して垂直に接続(いわゆる縦置き)・ディスプレイされているのをよく見ます。あれっていったいどうやっているのでしょうか?
グラフィックカードの表面がまるまる見えて、新しい視覚効果を生み出しています! |
公式サイト |
グラフィックカードをこの写真のように、“縦置き”設置するためには、
・PCI Express ライザーケーブル
・グラフィックカードの垂直マウントに対応したケース
が必要です。グラフィックカードの垂直マウントに対応したケースは、第2回で紹介していますので、ぜひご覧ください。
PCI Express ライザーケーブルは以下のようなものです。
ASUSのPCI Expressライザーケーブル。 |
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上図の写真だと、ケーブルの上側(コネクタ側)をマザーボードのPCI Express x16ポートに差し込み、反対側(ソケット側)にグラフィックカードを取り付けます。そして、グラフィックカード本体のブラケットの部分をケースに固定すれば、完了です*。
*メーカーにより手順がありますので、必ず製品の説明書などを確認してくださいね
意外と簡単ですよね!光らせなくても、最近のグラフィックカードのメカメカしいデザインが好きだ!という方は、ぜひぜひサイドがクリアなケースで縦置きにして魅せてほしいと思います。
それでは、独断と偏見での、4大メーカーにおけるステキなグラフィックカードを紹介したいと思います。
独断と偏見の4大メーカーステキなグラフィックカード
ASRock
Radeon RX 5700 XT Taichi X 8G OC+ | Radeon RX 5500 XT Phantom Gaming D 8G OC |
マザーボードにもある“Taichi”シリーズのグラフィックカード。歯車を彷彿とするデザインはここでも健在です。真ん中のファンだけ光るのがポイント。 | 赤×シルバー×濃灰のカラーリングで“かっちょいい”を演出しているグラフィックカード。ケースの中にLEDテープなどをしこんで、間接照明的に光らせてもオシャレ。 |
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ASUS
TURBO-RTX2080TI-11G | ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-WHITE-GAMING |
THE★シンプル、でもそれが美しい、さらにブラックが高級感を演出しているグラフィックカード。質感や凹凸で物理的な視覚要素があるのもポイントですね! | 最近はホワイトベースのグラフィックカードも多く見るようになりました!白一色で統一したい!白大好き!という人は迷わずチョイスしてもらいたい一品です。 |
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GIGABYTE
AORUS GeForce® RTX 2080 SUPER™ WATERFORCE WB 8G | AORUS GeForce® RTX 2060 SUPER™ 8G |
水冷のブロックが搭載された、マット×カラーリングが美しいグラフィックカード。まさに水冷システムで導入してみたいデザインです。 | ブラックベースの筐体に、3連ファンのサークル状のライトアップがおしゃれなグラフィックカード。こちらも間接照明を使うとよさそうです。 |
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MSI
GEFORCE RTX 2080 TI LIGHTNING Z | RADEON RX 5700 XT 8G |
ゴールド×黒、というカラーリングが、なんとなく強そうなロボットをイメージさせるなぁと思うのは私だけでしょうか?こちらはライトアップ無しで見ていたいカードです。 | Radeon RX 5700 XTのリファレンスカードは、カード上部が「くにゅっ」と曲がっているのがポイント。RADEONの文字が赤く光り、ファンにはたまらないですね。MSIのロゴもまた赤くひかるのがポイントです。 |
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こう色々なグラフィックカードを見ていると、デザインだけで構成を組んでみたくなりますね。メーカーごとに使う色合いやライトアップさせるポイントが異なっているのをみるのもとても楽しいです。
内蔵グラフィック(CPUに搭載されているグラフィック機能)だと、ちょっと心もとないな……と思っている方も、エントリーレベルであれば、2万円を切る価格からグラフィックカードはラインナップされていますので、用途やサイズなどを確認して、ぜひぜひ導入を検討してみてください。むしろ、昨今はそのお金で“PCのドレスアップをする”という選択肢もアリです。
そんなPCのドレスアップには欠かせない、CPUクーラーやケースファン、ケーブルなどを次回は紹介したいと思います。