GeForce RTX 3080の性能レビュー&ベンチマーク検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
GeForce RTX 3080は、2020年9月17日に発売されたGPUです。RTX 2080を大幅に上回る性能と、上位機種のRTX 3090よりは求めやすい価格を実現しているため、現時点では最高峰のGPUとして人気を集めています。RTX 3080は4Kやレイトレーシングに特化した構成が特徴的で、最新のゲームにも対応できるスペックを実現しました。
一方で、GeForce RTX 3080は消費電力が非常に高いことが気掛かりでもあります。現時点での最高レベルのグラフィック性能を必要としないのであれば、他の選択肢も有効かもしれません。
今回はそんなGeForce RTX 3080のスペックや特徴、ベンチマーク性能などについて詳しく解説します。
GeForce RTX 3080とは
引用元:https://www.nvidia.com/en-us/geforce/graphics-cards/30-series/rtx-3080/
GeForce RTX 3080は、2021年4月現在ではNVIDIAから販売されている最新のグラフィックスカードです。RTX 30シリーズは、第2世代RTXアーキテクチャ「Ampere」を採用していることが特徴で、前世代機と比べるとCUDAコア数が倍増しています。
さらに、先代と比べて約2倍のレイトレーシング処理性能を誇る第2世代RTコアや、約2倍のディープラーニング性能を誇る「第3世代Tensorコア」を有するなど、とにかくハイスペックを追求した構成が特徴です。
まずはそんなGeForce RTX 3080について、基本的なスペックについて詳しく見ていきましょう。
仕様
GeForce RTX 3080の基本的なスペックは次のとおりです。
項目 | GeForce RTX 3080の基本スペック |
---|---|
NVIDIA CUDA® コア数 | 8704 |
ベースクロック | 1.44GHz |
ブーストクロック | 1.71GHz |
GPUの性能を大きく左右するのがコア数ですが、GeForce RTX 3080は8,704にも及んでいます。RTX 3080はRTX 2080の後継機種ですが、コア数を比較するとなんと約3倍。GPUでは並列処理が欠かせないため、コア数の多い方が処理速度も高いのです。
ベースクロックは1.44GHzですが、オーバークロックさせることで1.71GHzまで上がります。その他のスペックやベンチマーク結果については後述しますが、従来のGPUを大幅に上回るハイスペックだと言えるでしょう。
メモリ
GeForce RTX 3080のメモリユニットのスペックは次のとおりです。
項目 | GeForce RTX 3080のメモリスペック |
---|---|
標準メモリ構成 | 10GB GDDR6X |
メモリインターフェイス幅 | 320ビット |
GeForce RTX 3080のメモリ容量、つまりVRAMは10GBです。メモリはGDDR6Xで、これは従来のGDDR6を上回る速度を実現しています。大容量かつ高速なメモリを搭載することで、より快適なゲーミングが可能です。
メモリバス幅は320bitで、こちらもRTX 2080の256bitと比べて大幅な性能向上となっています。バス幅は一度に送れるデータ量を左右するので、この数値が大きいほど処理能力が高いということです。
テクノロジーサポート
GeForce RTX 3080のテクノロジーサポートは次のとおりです。
項目 | GeForce RTX 3080のテクノロジーサポート |
---|---|
レイ トレーシング コア | 第2世代 |
Tensor コア | 第3世代 |
NVIDIA アーキテクチャ | Ampere |
Microsoft DirectX® 12 Ultimate | 〇 |
NVIDIA DLSS | 〇 |
PCI Express Gen 4 | 〇 |
Resizable BAR | 〇 |
NVIDIA® GeForce Experience™ | 〇 |
NVIDIA Ansel | 〇 |
NVIDIA FreeStyle | 〇 |
NVIDIA ShadowPlay | 〇 |
NVIDIA Highlights | 〇 |
NVIDIA G-SYNC® | 〇 |
Game Ready ドライバー | 〇 |
NVIDIA Studio ドライバー | 〇 |
NVIDIA GPU Boost™ | 〇 |
NVIDIA NVLink™ (SLI-Ready) | × |
Vulkan RT API、OpenGL 4.6 | 〇 |
HDMI 2.1 | 〇 |
DisplayPort 1.4a | 〇 |
NVIDIA エンコーダー | 第7世代 |
NVIDIA デコーダー | 第5世代 |
R Ready | 〇 |
上記のように、GeForce RTX 3080は様々なテクノロジーをサポートしています。特に注目すべきは、レイトレーシングコアとDLSS、Tensorコアのスペックでしょう。RTX 3080はレイトレーシングコアが第2世代に進化して、処理性能が約1.5倍に向上しているようです。
また、NVIDIA DLSSはGPUの処理の中でも特に負荷が高い「アンチエイリアシング」を、「ディープラーニング」の技術を駆使して処理する技術。RTX 3080は4kでも高いフレームレートを実現できるように、従来比約2倍の性能を誇るTensorコアを搭載しています。
RTX 3080とRTX 2080 Tiの違い
RTX 3080はRTX 2080の直接的な後継機種ですが、前モデルのRTX 2080をパワーアップさせたRTX 2080Tiというモデルもあります。RTX 3080のスペックをより深く知るために、RTX 2080Tiと性能を比較してみましょう。
仕様 | GeForce RTX 3080 | GeForce RTX 2080 Ti | 比較 |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere(GA102) | Turing(TU102) | 新世代へ |
製造プロセス | 8nm | 12nm | 4nm小型化 |
CUDAコア | 8,704基 | 4,352基 | 2倍に増加 |
Tensorコア | 272基(第3世代) | 544基(第2世代) | 2倍に増加 |
RTコア | 68基(第2世代) | 68基(第1世代) | 世代更新 |
ROPユニット | 96基 | 88基 | 8基増加 |
ブーストクロック | 1,710MHz | 1,545MHz | 165MHz向上 |
メモリ容量 | 10GB(GDDR6X) | 11GB(GDDR6) | 1GB減少 しかし新型化 |
メモリスピード | 19.0Gbps | 14.0Gbps | 5.0Gbps向上 |
メモリインターフェイス | 320bit | 352bit | 32bit低下 |
メモリ帯域幅 | 760GB/s | 616GB/s | 144GB/s向上 |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 3.0 x16 | 世代更新 |
消費電力(TGP) | 320W | 250W | 70W増加 |
参照元:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hothot/1275914.html
上記のように、RTX 3080はほとんどの項目でRTX 2080 Tiを上回る性能を誇っています。製造プロセスはさらに小型化され、CUDAコアとTensorコアの数はなんと2倍に。さらに、メモリや各種インターフェイスの規格も新世代へ更新されています。
一方で、メモリインターフェースが32bit低下していることや、スペックの向上に伴って消費電力が70W高くなっていることは気掛かりです。とはいえ、基本的には前世代のRTX 2080 Tiを大幅に上回る、非常に高いスペックを誇っていると言えるでしょう。
GeForce RTX 3080のベンチマーク性能比較
引用元:https://www.nvidia.com/en-us/geforce/graphics-cards/30-series/rtx-3080/
これまではGeForce RTX 3080の基本的なスペックや、前世代機のRTX 2080 Tiとの比較をご紹介しました。これからは、GeForce RTX 3080を同世代の他の機種「RTX 3060 Ti」「RTX 3070」「RTX 3090」と、ベンチマーク性能で比較してみましょう。
項目 | RTX 3060 Ti | RTX 3070 | RTX 3080 | RTX 3090 |
---|---|---|---|---|
ベンチマークスコア | 19,676 | 21,723 | 24,242 | 25,643 |
ベンチマーク順位 | 11 | 5 | 5 | 2 |
価格(※1) | 56,100円 | 77,000円 | 99,000円 | 258,500円 |
コストパフォーマンス(※2) | 38.58 | 31.03 | 26.94 | 10.91 |
参照元:PassMark
(※1)価格は海外の参考価格で、1ドル=110円の為替レートで換算したものです。国内の最新価格とは異なる可能性があります。
(※2)コストパフォーマンスの数値は「ベンチマークスコア÷価格」で算出しており、数値の高い方が良好な結果を示します。
上記のように、型番の数字が大きいほどスペックが高く、ベンチマークスコアが高いことが分かります。しかし、同時に価格も高くなるため、コストパフォーマンスの数値も低下していきます。
RTX 3090は特に価格の高さが目立ちます。スコアの違いは1,500くらいですが、価格は倍以上にも及びます。これらの結果から、RTX 3080はスペックの高さと価格のバランスが比較的よく、コストパフォーマンスが高いGPUだと言えるでしょう。
【実機検証編】 GeForce RTX 3080 のCPU性能・ゲーミング性能
ここまではGeForce RTX 3080の基本スペックやベンチマークから、データベースでの比較や検討を行ってきました。しかし、気になるのは実際のパフォーマンスですよね。そこで、これからはユーザーから寄せられた実体験の声を元に、リアルな評価を行っていきましょう。
Ryzen 7 3700X × GeForce RTX 3080
「Ryzen 7 3700X × GeForce RTX 3080」の構成については、Digital DIYerユーザーの「けーぶぅ」さんご提供のデータを元に検証していきます。
CPU | AMD Ryzen 7 3700X 8-Core Processor |
---|---|
GPU | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 AMP HoloM ZT-A30800F-10P |
メモリ | G.Skill Sniper X F4-3600C19D-32GSXWB |
ストレージ | シリコンパワー SSD 2TB 3D TLC NAND M.2 |
マザーボード | B550 Taichi Razer Edition |
CPU クーラー | NZXT KRAKEN X63 |
電源ユニット | Cooler Master V1000 Platinum 1000W |
「けーぶぅ」さんのコメントは次のとおりです。
主な用途はゲーム(FF14,Monster Hunter: World等)に使用しています。CPUは8コア16スレッドでシングル/マルチ性能ともに高く、使用しているグラフィックボードRTX3080と相性が良くあまりボトルネックは起きません。グラフィックボードについてはRTX3080の性能のおかげでウルトラワイド(3440×1440)の最高画質でも快適にゲームをプレイできています。
このコメントで特筆すべきポイントは、解像度をウルトラワイド(3440×1440)にしたうえで、最高画質に設定してもゲームを快適にプレイできるという点です。CPUもRyzen 7 3700Xというハイスペックな製品なので、RTX 3080の性能を引き出せているのでしょう。ボトルネックも少ないようなので、スペック重視の方にはおすすめです。
Cinebench
Cinebench R23でのスコアは、マルチスレッドだと11,786ポイント、シングルスレッドだと1,266ポイントという結果でした。
参照元:https://www.maxon.net/ja/downloads/
このベンチマークはどちらかというとCPU性能の影響を受けますが、いずれにせよRyzen 7 3700XのCPU性能の高さが分かります。GPUの性能を引き出すためにはCPUの性能も必要なので、組み合わせの良い構成であることが明らかです。
FF15 ベンチマーク
FF15のベンチマークでは、解像度フルHD(1080p)のフルスクリーン、高品質設定にてスコアを計測しました。その結果、スコアは11,341で「とても快適」になりました
参照元:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
フレームレートは上記の画像のとおり、151という高水準です。ゲームを快適にプレイするためにはFPSが重要ですが、これならどんなゲームでも快適にプレイできそうですね。
参照元:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
FF14 ベンチマーク
最後にご紹介するのはFF14のベンチマークですが、こちらもFF15のベンチマーク同様に、フルHD高品質設定で計測しました。その結果はスコアが12,942で、評価は非常に快適です。
参照元:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
さらに、FF14のベンチマークは結果の詳細がテキストファイルで出力されます。重要な部分を下記に抜粋してみたので、詳しく検討してみましょう。
- SCORE: 12942
- 平均フレームレート: 100.2174
- 最低フレームレート: 44
- 評価: 非常に快適
- -非常に快適に動作すると思われます。お好みのグラフィック設定でお楽しみください。
この中でも特に注目すべきは「フレームレート」でしょう。ゲームを快適にプレイするためには、画面の滑らかさがとても重要です。FPSの数値が高いほど、画面の表示が滑らかであることを示します。
ゲームを快適にプレイするためには、60以上のフレームレートが必要です。FPSが30を切ると快適なプレイが困難。「Ryzen 7 3700X × GeForce RTX 3080」の構成では、平均値が100で最低値が44です。
平均FPSが100というのは優秀な数値ですが、最低値の44は気になるかもしれません。44だと明らかに画面のカクつきを実感してしまいます。しかし、この最低値は瞬間的に負荷が高まったものなので、大きな問題にはならないでしょう。
GeForce RTX 3080の特徴・性能評価
引用元:https://www.nvidia.com/en-us/geforce/graphics-cards/30-series/rtx-3080/
RTX 3090の基本やベンチマーク、実機検証結果を確認したところで、最後にその性能について詳しく検証し、まとめていきましょう。RTX 3090の特徴や性能に関するメリット・デメリットは次のとおりです。
- レイトレーシングとDLSSが強化されている
- 4Kゲーミングでも十分な性能を得られる
- スペックと引き換えに消費電力が非常に高い
上記3つの点について、重要なポイントを詳しく掘り下げていきましょう。
レイトレーシングとDLSSが強化されている
先ほども軽く触れましたが、GeForce RTX 3080のレイトレーシングとDLSSの性能は、前世代機と比べると大幅に強化されています。レイトレーシング専用の「RTコア」が第2世代になり、CUDAコアやTensorコアの世代も更新されているからです。
NVIDIAによると、レイトレーシングの処理能力は1.5倍に向上しているため、レイトレーシング利用時のフレームレートも高くなっています。レイトレーシングは極めて負荷の高い処理なので、前世代機では力不足の局面がありました。RTX 3080ならレイトレーシングもやりやすいでしょう。
また、RTX 3080のTensorコアは第3世代に更新されていて、その性能は前世代比で2倍とされています。GPUの処理でも特に負荷の高いアンチエイリアシング処理も、NVIDIA DLSSで高速化可能。その機能により、4K解像度でも120FPSを狙いやすくなるのです。
4Kゲーミングでも十分な性能を得られる
前述したように、GeForce RTX 3080では4K解像度でのプレイ時も、高いフレームレートを維持しやすくなっています。前世代機よりも大幅に強化されたスペックを有するからです。GPUの負荷を最も左右するのが解像度。解像度が高いほど描画範囲が広がるため、処理も重くなります。
近年のGPU性能は向上しているとはいえ、前世代機のRTX 2080は4Kゲーミングでフレームレートが安定しない場面がありました。レイトレーシングを取り入れると、パフォーマンス不足も目立ちます。しかし、RTX 3080はシェーダーコア数がRTX 2080の3倍になっているということもあり、安定性が大幅に高まりました。
これらの点から、RTX 3080は4Kゲーミングに最適なGPUだといえます。4K解像度だけではなく、フルHDでもその性能の高さを実感できるでしょう。近年では240Hzゲーミングモニターも登場していますが、RTX 3080ならそうしたハイエンドモニターも十分に活用することができるはずです。
スペックと引き換えに消費電力が非常に高い
GeForce RTX 3080はスペックが極めて高いことが最大の魅力ですが、一方で消費電力も高いGPUです。RTX 3080の消費電力は平均で320~330Wくらいで、前世代機と比べるでもかなり高くなっています。RTX 2080 Superが約230Wだったので、約100Wも高い計算です。
これは補助電源とPCIeスロットから得られる限界に近く、今までのどのGPUよりも高い消費電力だといえます。RTX 2080より大幅に性能が向上しているとはいえ、ワットパフォーマンスはほとんど向上していません。そのため、消費電力を気にする方は注意が必要です。
一方で、RTX 3080は発熱に関してはやや控えめ。使用されている冷却ファンにもよりますが、70度を超えることはあまりなく、平均で60度前後で推移することが多いようです。スペックを追求する人にとっては、RTX 3080は最も魅力的なGPUだと言えるでしょう。
まとめ
今回はNVIDIAが誇る最新のハイスペックGPU、GeForce RTX 3080についてご紹介しました。
2021年4月現在で最高峰に近い性能を誇るGeForce RTX 3080は、ヘビーゲーマーを満足させるスペックを誇っています。特に、倍増したCUDAコア数による高い処理能力や、各種コアによるレイトレーシングやアンチエイリアシング性能など、フレームレートを最大限に高める構成が魅力です。
ベンチマークの結果を見ても、GeForce RTX 3080の優れたスペックが引き立ちます。上位機種としてRTX 3090があるものの、コスパの良さではRTX 3080が魅力的。
2021年4月現在ではコストパフォーマンスとスペックの両面で優れたGPUであり、自作PC制作やBTOパソコンの購入の際にも前向きに採用を検討すると良いでしょう。