AMD Ryzen 5 3400Gの性能レビュー&ベンチマーク検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
Ryzenシリーズにおいて内蔵グラフィックを搭載しているのがAPUシリーズ。その中に「Ryzen 5 3400G」があります。APUならグラボが無くても映像が映り、内蔵グラフィックはRadeonのため、軽いゲームならこれ一つで楽しむことが可能です。
ところがRyzen 5 3400Gは2019年に発売されたモデル。2年以上経過した今でも、快適に現行のゲームタイトルを遊べるのでしょうか?そこで今回はベンチマークの結果も踏まえ、Ryzen 5 3400Gの性能をご紹介します。
AMD Ryzen 5 3400Gとは
引用元:https://www.amd.com/ja/products/apu/amd-ryzen-5-3400g
Ryzen5 3400Gは2019年7月に登場した、Zen+アーキテクチャ採用の第二世代Ryzen APUです。APUとはAMD独自のプロセッサーで、CPUとGPUを統合したもの。内蔵グラフィックとしてAMDのGPUである「Radeon」を搭載しており、小型PCやノートPCで軽いゲームであれば十分に遊ぶことができるというメリットがあります。
通常のCPU内蔵グラフィック搭載モデルだと処理能力が不足しているものの、後付けグラボを挿すのもコスパ的に微妙なラインといったところでAPUは強みを発揮します。
またRyzen 5 3400Gは先代に当たるRyzen5 2400Gからプロセスルールが少し小さくなり、価格も安価になっています。コストパフォーマンスが高いモデルの1つと言えるでしょう。
仕様
CPUコア/スレッド数 | 4/8 |
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基本クロック/ブーストクロック数 | 3.7/4.2GHz |
GPUコア数 | 11 |
ソケット | AM4 |
PCI Expressバージョン | 3.0 × 8 |
TDP | 65W |
CPUとしては4コア8スレッドの構成。ここに11個のGPUコアが追加されています。ソケットは他のRyzen CPUと同様にAM4ソケットでマザーボードとの互換性もあります。TDPは65Wでリテールクーラーも付属。
メモリ
メモリタイプ | DDR4 |
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メモリ速度 | 2933MHz |
メモリチャンネル | 2ch |
使用するメモリはDDR4の2933MHzまで対応。2ch対応になっているので2枚以上のメモリを使う事で、よりスムーズな処理が可能となります。
グラフィックス仕様
グラフィックスモデル | Radeon™ RX Vega 11 Graphics |
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グラフィックス周波数 | 1400MHz |
内蔵グラフィックは第5世代GCNのVega 11です。規模こそ違いますが、Radeon Ⅶなどと同世代のGPUということになります。
【実機検証編】 Ryzen5 3400G のCPU性能・ゲーミング性能ベンチマーク
それでは実際にゲームをプレイすると、どのようなフレームレートになるのでしょうか?
ここからは画面のカクつきや処理落ちはないのかなど、YouTubeに公開されているベンチマーク動画をベースに、ゲームタイトルごとに検証していきます。なおPCのスペックは以下の通りです。
CPU | Ryzen 5 3400G 3.70 GHz (Boost 4.20 GHz) |
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GPU | Radeon Vega 11 Graphics 2GB |
マザーボード | ASRock AB350m-HDV (BIOS 6.10 version) |
メモリ | 8GB DDR4 2666Mhz (2×4 dual channel / CL 15-17-17-35 / Model: KINGSTON HyperX FURY) |
SSD | 120GB SATA WD Green |
HDD | WD 1TB HDD 7200RPM |
電源 | 550W (BeQuiet! SYSTEM POWER B8) |
OS | Windows 10 Pro 64 bit |
【70fps】Apex Legends
大人気ゲームのApex Legendsは、高いフレームレートが求められるシューティングゲームです。7:19辺りから解像度が1280×720のHD画質になります。広いマップでの視認性を良くするために、ある程度の画質が求められますが、APUの内蔵グラフィックではこの設定が限界のようです。
気になるフレームレートは平均で70fps程度。映像としてはスムーズですが、ゲーム内でのAIM操作ではやや不利と考えられます。
【90fps】フォートナイト
続いても人気ゲームの一つであるフォートナイトですが、高いフレームレートが求められるシューティングゲームになります。34:09より始まり解像度は1280×720です。
Apex Legendsに比べるとフレームレートは高めの90fps程度。ところにより100fpsを超えます。ただ戦闘エリアの収縮に伴って、プレイヤーが集まるとフレームレートが下がる傾向にありますので、最終段階でフレームレートがどのぐらい保てるかは未知数です。
【45fps】GTA 5
オープンワールド型クライムアクションゲームのGTA 5は、それほど高いフレームレートを必要としないゲームタイトル。43:11から始まり解像度は1920×1080のフルHDです。
フレームレートは45fps程度で、TV映像に比べれば滑らかという印象。エフェクトの発生によっては一時的にフレームレートが下がるかもしれませんが、問題なくプレイできそうです。
【60fps】ロケットリーグ
ロケットリーグはジャンプやロケット飛行が出来る特殊車両で、最大4対4でのサッカーを行うスポーツゲーム。1:03:14から始まり解像度は1920×1080のフルHD設定。
安定して60fps以上での動作が確認でき、違和感なくプレイ出来ていると思います。ゴールシーンでのエフェクトでフレームレートが下がりますが、試合自体がそこで中断されているので問題にならないでしょう。
【45fps】ウィッチャー3
オープンワールド型アクションRPGのウィッチャー3は、綺麗なグラフィックがウリであり、処理も重めのゲームタイトル。1:08:14から始まり設定は1280×720のHD設定。
設定を下げても街中では40fps台と低め。城の郊外においても草木の表現がイマイチであったりと、ゲームを楽しむ上では物足りなさを感じます。
Ryzen5 3400Gのベンチマーク性能比較
ここからはRyzen5 3400Gのベンチマーク性能を、同じRyzenシリーズの近しい型番のCPUと比較していきます。PassMarkに掲載されている、CPUのリストからベンチマーク数値を紹介します。
CPU | スコア | ランク | 価格(USドル) |
---|---|---|---|
Ryzen 5 3400G | 9361 | 548 | 247.78 |
Ryzen5 2400G | 8264 | 619 | 209.87 |
Ryzen 3 2200G | 6466 | 789 | 158.85 |
Ryzen 5 PRO 4650G | 16500 | 276 | 369.99 |
Ryzen5 3400GとRyzen5 2400Gの間では、後述する通りクロック数の底上げが行われており、その分ベンチマーク数値もRyzen5 3400Gが上回っています。またRyzen3 2200Gはスレッド数が4つと半分になっていますが、スコアはそれほど落ちていません。
一方で大きく伸ばしているのが、Zen2アーキテクチャとなったRyzen5 PRO 4650Gです。このAPUは6コア12スレッドなので、Ryzen5 3400Gなどと比べると単純に1.5倍の規模に。1コア辺りの処理能力の差もあり、スコアでは1.5倍以上の差が出ています。
AMD Ryzen 5 3400GとAMD Ryzen 5 2400Gの違い・比較
Ryzen 5 3400Gの前はRyzen 5 2400G、もしくはRyzen 3 2200Gがデスクトップ向けAPUとして販売されていました。同じ4コア8スレッドの両APUではどのぐらいの性能差があるのでしょうか?
モデル | Ryzen5 2400G | Ryzen5 3400G |
---|---|---|
アーキテクチャ | Raven Ridge (Zen) | Picasso (Zen+) |
プロセスルール | 14nm | 12nm |
クロック周波数 | 3.6GHz | 3.7GHz |
ターボクロック数 | 3.9GHz | 4.2GHz |
まず初代RyzenであるZenと、2代目RyzenのZen+の差は、その後のZen2やZen3に比べれば大き
く無いとされています。それでもプロセスルールが小さくなったことにより、生産性が向上しました。これが20$分の価格の差につながったと考えられます。
性能面ではプロセスルール微細化の恩恵からかクロック数が底上げされていて、クロック数分だけ処理能力が高くなったといった印象です。
内蔵グラフィック
モデル | Ryzen5 2400G | Ryzen5 3400G |
---|---|---|
グラフィックスモデル | AMD Radeon Vega 11 Graphics | |
グラフィックス周波数 | 1250MHz | 1400MHz |
プロセスルール | 14nm | 14nm |
内蔵グラフィックに関しては基本的には同じものです。同じVega 11を搭載しています。ただCPUのプロセスルールが小さくなったことで、CPUそのものが小さくなり、発熱の処理がしやすくなったことが考えられます。そこでCPUと隣接するGPUへの熱の影響が小さくなり、結果としてグラフィックス周波数も高めることができたようです。
AMD Ryzen 5 3400Gはグラボとの併用は可能?
グラボとの併用は、Ryzen 5 3400Gの内蔵グラフィック機能を無効化することで可能です。Ryzen 5 3400GはCPUとしての性能も高いので、高負荷のゲームにも対応可能。
ただ、PCIeが3.0 ×8とやや帯域が狭いことには要注意。Ryzen 5 3400Gの発売当初は十分な帯域だったのですが、昨今のハイエンドグラボはより高速なPCIe4.0対応。ボトルネック発生の原因となり、ベンチマークスコアやフレームレートの伸び悩みが考えられます。
また内蔵グラフィックを搭載した分のコストは価格に上乗せされているので、グラボ搭載が前提であれば内蔵グラフィックレスのCPUを買ったほうが無駄が無くなります。GPUの無駄を省いた方がCPUとしての性能も高めやすいです。
APUの強みは「ロークラスのRadeonが付いてくる」という事。使用目的からすればイラストや軽いゲームを楽しむのに向いています。
【総論】Ryzen5 3400Gの特徴・性能評価
APUとして登場したRyzen5 3400Gですが、発売開始から2年が経過しました。それも踏まえて特徴や性能評価をしたいと思います。
小型PC作成に最適
APUは内蔵グラフィックを搭載しているので、基本的には後付けとなるグラボは不要。グラボには冷却用のヒートシンクが付いており、グラボが無くなればCPUクーラー以外のヒートシンクが無くなるので容量の小さい小型PCが組みやすくなります。CPUクーラー自体もTDP65Wを冷却できれば良いので、小型のもので十分です。
ゲーミングPCとしてはやや物足りない
内蔵グラフィックにRadeonを搭載しているとはいえ、重量級のゲームタイトルのプレイにはGPU性能がやや物足りないのも事実。フレームレートを確保するにはゲーム内設定を下げるか、グラボを追加するのが現実的な選択肢となるでしょう。
Ryzen 5 3400Gを購入するには
引用元:Amazon
Ryzen5 3400Gは現在でも販売が続けられており、Amazonで入手可能です。2021年8月1日時点での価格は25,880円です。
ただ先に述べた4000Gシリーズの存在や、更に次世代(Zen3)の5000Gシリーズ登場もあり、国内での扱いは減っています。ドスパラ、ark、パソコン工房など、以前はBTOパソコンのラインナップにもRyzen 5 3400Gを採用していましたが、今ではパーツ単体でも在庫切れの状態です。
まとめ
APUとして需要を支えてきたRyzen 5 3400Gですが、流石に販売開始から2年経過したということもあり、市場から姿を消しつつあります。とはいえ、低コストなPCを組む上ではRyzen5 3400Gの需要はまだあるでしょう。
ゲーミングPC向けのAPUとしては性能面で厳しいのも事実ですが、普通にネットサーフィンや動画視聴をする上では全く問題なく使えます。小型PCを組むにも適していますので、適材適所という形で使われ続けるのではないでしょうか。