はじめてのノートPC大全集 -選び方/ポイント/予算から見たスペック- 【最新版】
目次
■ 初めてのノートPC ①ノートPCの選び方
デスクトップPCと違い、持ち歩けることが最大の特徴であるノートPC。その携帯性から、すでにPCを持っている人も、持っていない人も、少なからず一度は“ノートPCが欲しいなぁ……”と思ったことがあるのではないでしょうか?
また、一般的なデスクトップPCの本体とモニタが必要とするスペースよりはるかに小さくてすむノートPCは、持ち歩きしなくても、SNSや情報収集など、普段使いのPCとして家に据え置くにも十分です。布団に寝っ転がって使うこともできますしね!
さて、そんなノートPCですが、量販店をのぞくとまずはその“種類の多さ”に圧倒されます。ノートPC売り場に並べられた、いろんな大きさ・デザインのノートPC……。自作PCやBTO PCでパーツを選ぶのとはまた別の“選ぶ楽しさ”がそこにはあります。
ですが、ノートPCは、デスクトップPCに比べ価格が一般的に高く、保証やハードウェアの取り付けの観点から、購入後のカスタマイズも難しいため、そのチョイスに失敗したくありません。けれど妥協はしたくない……。
というあなたに、3回の連載でノートPCの選び方をお手伝いします。昨今のトレンドから、選ぶ際のポイント、絞り込み方までを網羅!ノートPCが今すぐほしい方、いずれほしい方、ぜひ参考にしてください!「今はまだいらないかな……」と思っている方も、読んでいるうちに欲しくなってしまうかもしれません。
置き場所を選ばないことが最大の魅力
今はスマートフォンが一般化したことにより、インターネットを使った情報収集やSNS、メールなどは、スマートフォンで済ませることができるようになりました。手のひらに収まるし、通信手段もそれ自体に備えていますしね。そのため、PCがなくても、スマートフォンだけで十分情報世界を生きていける!という方も増えたように思います。
ですが、画面もまだまだ小さく、指での操作が基本のため、まだまだスマートフォンはノートPCの代わりにはなりません。仕事やプライベートでOfficeソフトを使っている人は特にそのもどかしさが分かると思います。ちょっとした編集にも、いろいろアイコンをタップしたり、表示を変えたりしないといけませんよね?
先にも述べましたが、ノートPCは“持ち歩ける”ことが最大のメリットです。また、持ち歩かなくても、家の中の色々な場所で使えます。一人暮らしのワンルームなどでも、PCデスクのような専用の置き場所を取らないため、部屋をより自由度高く使うことができます。
また、ノートPCなら、キーボードとマウス、タッチ対応の液晶なら、指でも操作できます。PCのアプリケーションをそのまま使えるため、作業効率もアップします。スマートフォンまでの携帯性はありませんが、持ち歩けるPCのため、スマートフォンでやれることも、デスクトップPCでやれることも、ノートPC1台で完結します。
スペックの前に、“大きさ・重さ・デザイン性”のあるノートPC
自作PCやBTO PCは、そのPCを使う目的に応じてパーツを選べるのが大きな特徴でした。ノートPCも、スペック違いで様々な製品がありますが、そのスペックの前に、“大きさ・重さ・デザイン性”という、携帯性に優れたノートPCならではの選択基準があります。しかも最近は、液晶部分をとり外してタブレットPCとして使えたり、タッチパッド部分が液晶になっていたりと、従来のノートPCにはなかった機能がたくさん搭載されています。
ここが、自作PCやBTO PCにはない“選択肢”です。常に持ち歩きたい人なら、その重さや大きさも重要ポイントです。オシャレにこだわる人ならデザイン性も重要ですね!
クリエイティブ活動をしている人なら、重いアプリケーションもさくさく動いて、かつ薄くて軽くて、見た目もスタイリッシュなノートPCが欲しい!と思うかもしれません(現に私がそうです)。ですが、ノートPCは、“ハイスペックになるほど、大きく重く、そしてお値段も高くなってしまう”という傾向があります。逆に、小型のノートPCほど、大きなパフォーマンスを出すことはできません。そのため、デスクトップPCより、PCを選ぶ時に、次の“優先順位”をつけておくのがおすすめです。
優先順位を決めよう!
自作PCやBTO PC同様、ノートPCもそのPCで何をするかの目的は重要です。ですが、その目的を満たすと、どうしても妥協しなければならない点が出てくるのも事実です。そのため、あらかじめ自分の中で優先順位を決めておきましょう。
次はその例です。
① デスクトップPC並みのゲームやクリエイティブ作業を行うかどうか
② ノートPCの重さと大きさ
③ 予算
ゲームやクリエイティブ向けのPCは、それ専用のノートPCが出ているくらい、ノートPCのカテゴリとしては別枠になっています。ハイスペックですが、どうしてもサイズが大きく、重たく(2kg前後)なってしまいます。
とにかくクリエイティブ作業における処理速度や画面の大きさ、ゲームの動作が一番という方は、スペックや画面の解像度をメインに選んでいきましょう。もしどうしても軽量なノートPCが欲しい!という方は、デスクトップPCとノートPCで、行う作業を分けてもいいかもしれませんね。
もし①のような用途に使わなく、ビジネス向け(Officeソフトの仕様やビジネスSNSなど)や、簡単な写真・動画編集などがメイン、という方は、②の大きさや重さを予め決めて置き、その中でスペックを選ぶとよいかもしれません。
もし持ち歩きせず、家で使うという場合であれば、多少大きめでもハイスペックの方が効率よく作業できますし、逆に持ち歩いて、必要な時に作業したい、という方であれば、バッグに入るサイズで軽めのサイズを選び、そこからスペックを選んでいくのがおすすめです。SNSやブログの投稿がメイン、という方であれば、9インチ前後の小さなノートPCなどもおすすめです。
そして予算です。ノートPCはその小さな筐体に様々な技術が詰まっている分、同等スペックのデスクトップPCに比べ高くなってしまいます。ほしいスペックを詰め込んだら予算オーバーになってしまった……ってこともよくあります。
そういうことにならないために、気になるノートPCが、だいたいどのくらいか事前に調べておくことをおすすめします。その際まだ深く考える必要はありません。お店に行ったり、ネットで見たときに、あ、これいいな……と思ったノートPCの価格を見ておくだけで充分参考になります。そこから予算を考えていきましょう。
選択基準がたくさんある中から、自分の1台を見つけるために
ざっと優先順位などを書きましたが、これだけでは絶対に選べません。メーカーの違いもあるし、同じサイズでも画面の解像度や重量も違うし、接続できるコネクタの種類もいろいろあるし、バッテリの駆動時間もあります。
しかも高い買い物だから、失敗だけはできません。次の項からは、細かい選択基準を見ながら、どのポイントを優先すべきか、
・クリエイティブ(ゲーム)ユーザー
・ビジネスユーザー(学生さん)
・ライトユーザー
この3つに分けて、説明したいと思います。
■ 初めてのノートPC② ノートPCの選び方のポイント
スペックはもちろん、大きさ、デザイン、機能性、バッテリー駆動時間など、デスクトップPCに比べ、選択基準がたくさんあるノートPC。今回はその中から、ユーザー別、自分に最もあった1台を選ぶためのチェックポイントをお話したいと思います。
とはいっても、これまで同様PCは“使う目的”が一番重要です。ノートPCを持ち歩いて、家でも外でもバリバリ作業したいクリエイターが、軽さを重視して小型軽量なノートPCを買っても、スペックが不十分で、思うとおりの作業パフォーマンスが出なかったりと本末転倒なことになってしまいます。昨今ノートPCが使われているケースをいくつか例に出して、その際重要視すること、選ぶ際のポイントをそれぞれ抑えていきましょう。
クリエイティブ・ゲームユーザー
– ノートPCでクリエイティブな作業や高解像度のゲームがしたい! –
パーツの小型化が進み、ノートPCでもデスクトップPCに近い性能を持ったものがどんどん発売されています。中には、PCパーツメーカーが、自社ブランドでゲーム向けノートPCを販売するケースもあり、ゲームをやりたいユーザーにとっては分かりやすい選択肢となっています。
ゲーム向けノートPCの特徴は、何と言っても“PC全体のパフォーマンスが高い”ことが特徴で、中でも“グラフィック機能”が強化されています。そのため、ゲーム向けとはいえど、クリエイティブ用途にもある程度問題なく使うことができます。ノートPCにおいてゲーム向けとクリエイティブ向けの大きな違いは“ディスプレイ”です。
ゲーム向けのノートPCの場合、滑らかな動きを実現するために、高リフレッシュレート(144Hz)のディスプレイを採用していることが多いですが、クリエイティブ向けですと、60Hz程度のディスプレイを採用していることが多くなります。また、解像度は、いずれもフルHD(1920×1080)や4Kに対応したものがラインナップされています。
解像度が高いほど、ゲームでは精細な画像を表示でき、クリエイティブ分野では広く作業領域が取れるというメリットがあります。ですが、その分価格もお高めになってしまうので、ここは予算と使い勝手とのバランスを考える必要があります。
ディスプレイと合わせて考えたいのが、本体のサイズです。大きなディスプレイ、そしてハードウェア性能も高いと、確かにゲームもクリエイティブもしやすくなりますが、それだけノートPC本体も大きくなってしまいます。
また、総重量が2kg前後になると、持ち歩くときに重たさを感じる方が多くなりますので、持ち歩いてゲームやクリエイティブ作業をしたいという方は、ディスプレイの大きさ、解像度、そして重さのバランスをチェックしてくださいね。
そして、クリエイティブを極めたい方にちょっとお知らせしたいのが、1台のノートPCで、デュアルモニタのような環境が構築できるノートPCです。
実際は、キーボード部分の上半分、もしくはタッチパッド部分が“タッチパネル”になっていて、そこでツールの選択や切り替えが指でできる、任意の画面(例えば動画編集におけるタイムラインなど)を表示できる……といった仕組みです。お値段が多少はりますが、使い勝手を追求できるのノートPCなので、気になる方はぜひともチェックしてみてくださいね。
ビジネス・学生ユーザー
– Offiiceソフトやメールなど、仕事や課題ができるノートPCが欲しい! –
次は、仕事や学校でノートPCを使いたい!という方向けのノートPCです。社会人と学生さんに共通している使用ソフトウェア、となると、書類やレポートを書いたりする文書編集ソフトウェアや、数値分析や可視化に使う表計算ソフトウェア、そして発表につかうプレゼンテーションソフトウェアなど、“Officeソフト”と呼ばれるものですね。そしていずれにも欠かせないのが、メールやインターネットソフトウェア(ブラウザ)です。
これらのOfficeソフトウェアは、先のクリエイティブやゲームで使用するソフトウェアに比べ、比較的ハードウェアのパフォーマンスを必要としません。そのため、持ち歩きやすい大きさ・薄さのノートPCが多くラインナップされています。軽くてサクサク使えるならなんでもいいや!と思いがちですが、ちょっと注意してもらいたいポイントが“外部出力端子”と“バッテリー駆動時間”です。
まずは外部出力端子です。社会人だと外出先での資料説明、学生さんだと研究内容の発表などで、プロジェクタなどにノートPCを接続して、その画面をスクリーンに表示する機会があると思います。その時に、プロジェクタとノートPCを接続する端子があっていないと、スクリーンに映せない!といった事態が生じることがあります。
焦ってしまう瞬間ですね!そのため、事前に、外部に画面を出力する際の端子と、その端子とプロジェクタを接続する規格があっているか、もしくは変換アダプタなどが売っているかどうかなどを事前にチェックすると安心ですね!
プロジェクタは主にHDMIやDVI、RGBなどを搭載しています(昨今DinsplayPort対応のものもあります)。それ以外にも、USBポートの数やタイプ、オーディオジャックなどもチェックしておきましょう。
次にバッテリーです。持ち歩いて使う場合、バッテリーでの駆動時間が短いと、途中で電池が切れてしまった……ということになりかねません。ACアダプタを持ち歩いても良いのですが、意外とこれが重たかったり、使いたいときにコンセントが無かったり、使えなかったりすることも多いのです。
そのため、バッテリー駆動時間とその条件は、そのノートPCのスペックであらかじめ確認しておきましょう。バッテリー駆動時間がウリなら、パンフレットなどにも大きく書いてあることがあるので、それもひとつの目安になりますね!
ライトユーザー
– いつでもどこでも、SNSやブログ投稿を楽しみたい! –
最後にライトユーザーです。とにかく、ソフトウェアはあまり使わず、メールやインターネットさえあればOK!SNSさえ楽しめればOK!という方向けです。
とにかくインターネットへ接続できて、文字が打ちやすければOKというのであれば、小型化と軽量化にすぐれたノートPCを選ぶことも可能です。スペックもそれほど高くなくて良いので、ハードウェアの消費電力が小さい分、バッテリーのもちも、スペックの高いノートPCよりも比較的良くなります。
SNSやブログを充実させるためには、やはりスマホとの連携が一番ですね!いまやスマホに搭載されている内蔵カメラや、画像・動画編集アプリは高機能ぞろいで、デジカメや専用のソフトウェアを充実させなくても、手軽に編集を行うことができます。
連携するときに需要なのが、“スマホのデータをどのようにPCにうつすか”ですよね。パターンは2つあり、有線で行うパターンと、無線で行うパターンです。
有線で行う場合は、ノートPCにUSBポートなど、スマホとPCをケーブルで接続してデータのやり取りができるポートが搭載されているかどうかを確認しましょう。
無線で行う場合は、スマホとノートPC、それぞれがBluetooth搭載であれば、その機能を使うことでデータのやり取りを行うことができます。フリーのWi-Fiを使って、クラウドのストレージ経由でデータのやり取りを行うという方法もありますね!また、ノートPC自体にLTEが搭載されているモデルもあるので、Wi-Fiが使えない、または使用したくない、という場合は、データ通信用の4G回線などを使って、インターネットに接続することもできます。
薄型で軽量のノートPCもありますが、手のひらとほぼ同じくらいのサイズのノートPC(ウルトラモバイルPC)もあります。画面解像度も高く使うことができるモデルもあり、キーボードの使い勝手は若干通常のサイズ(13~15インチ)のノートPCに比べると、若干打ちにくさはありますが、とにかく小さくて軽い、持ち歩きにくさを感じたくない方にはおすすめです。
3パターンでノートPCを選ぶポイント
3パターンでノートPCを選ぶポイントを押さえてみましたが、これだけだとまだちょっと情報不足だと思います。そう、細かいスペックの見方がまだ残っていますね!とくにディスプレイにはいくつか種類があったり、ハードウェアの容量などもどう選べばいいかなどがあります。バッテリーのスペックもありますね!
そして、とりあえず普通に使えるPCが欲しい、という方は、スペックではなく“予算”で選んでも良いと思います。ちょっとサイトをのぞいてみると、だいたい売れ筋は10万円をきるノートPCのようですね!予算でもノートPCのスペックを見てみたいと思います!最後の項目では、細かいスペックの見方と予算別でこのくらいのスペックのノートPCが変えるかも!をご紹介いたします。
■ 初めてのノートPC③ ノートPCのスペックの見方と予算からみたそのスペック
初めてのノートPC、最終回は“ノートPCのスペックの見方と、予算からみたそのスペック”です。自作PCやBTO PCなどのデスクトップPCと比べ、ディスプレイの仕様やバッテリー容量など、見る項目がぐっと増えるノートPC。そのノートPCを構成するハードウェアごとのスペックの見方、選び方などをわかりやすく説明します。
もし「CPUやメモリが何をするところか分からない!」という方は、初めての自作PCに説明がありますので、ぜひそれを読んでみてくださいね!
CPU
CPUは、ノートPC全体の性能に関わってくる重要な部分です。CPUのスペックが高い(周波数が高く、コア数・スレッド数が多い)ものほど、PCで行う作業の処理を快適に行うことができますが、高すぎても作業内容によってはオーバースペックになり、ノートPCの価格が高くなってしまいます。そのため、ノートPCで行う作業、つまりゲームをするのか、Officeソフトを使うのか、などの目的から、その作業がストレスなく行えるCPUを選ぶのが良いでしょう。
クリエイティブやゲーム向けだと、やはりCore i7/Ryzen 7以上が目安になります。ビジネス・学生さん向けだと、少なくともCore i3/Ryzen 3 以上で、Core i5/Ryzen 5であれば、まず快適に作業ができると思います。インターネットやSNSが主で、安いノートPCがいいな!という方は、CeleronやAMD A-Series搭載のCPUを目安に選びましょう。
メモリ
メモリの容量が大きければ大きいほど、複数のソフトウェアやファイルを同時に開いて作業することができます。作業効率を高めるのに重要な部分です。
現在の主流は、ほぼどこのメーカーも8GB以上です。8GB以上のメモリがあれば、Officeソフトなどはまず十分に使うことができますが、クリエイティブにおける動画データや高容量の静止画データ、それを編集するソフトウェアなど、大きめのデータ容量を要するファイルやソフトウェアを使用する場合は、倍の16GB搭載のノートPCなどを検討すると良いでしょう。
ストレージ
ソフトウェアやデータの保存はもちろん、OSの起動速度などにも重要なストレージのスペック。昨今はSSDを搭載したものが多くなっていますが、その中でも、高速な”M.2 SSD”を搭載したもの、また、さらに高速な“NVMe規格”に対応したSSDを搭載したもの・カスタマイズで変更できるものも出てきています。メモリと同じく、体感的な速度を得られるストレージ部分ですので、早さにこだわる人は、SSDの規格などをチェックしてみましょう。
SSDは、HDDに比べ、保存できる容量が少なめなことがほとんどです。そのため、たくさんのソフトウェアやデータをSSDに入れていると、容量が足りなくなってくることがあります。それをうまく補完するのが“SSDとHDD、両方を搭載したノートPC”です。OSやソフトウェアなどはSSDにインストールし、データファイルはHDDに保存して、速度も容量も確保することができます。
ただ、ハードウェアが増える分、大きさと重さが増えることになります。それがちょっと嫌だな……という方は、SSDのみを搭載して、不要になったデータを外付HDDやクラウドに保存しておく、という方法も検討してみると良いですね!
ある程度データも保有しながらノートPCを使いたい場合、512GB以上の容量を選ぶのが良いでしょう。256GBだと、ソフトウェアを多く使うと、意外とすぐに100GBいってしまったりします。クラウドや外部ストレージの使用も考えながら選びたいところです。
GPU(グラフィックス機能)
画面描写にかかわる部分です。昨今は、CPUに内蔵されたものもありますが、クリエイティブやゲームをノートPCでやる方は、内蔵ではなく別になった、いわゆる“GeForce”や“Radeon”を搭載したノートPCを選んでください。ハードウェアレベルで、CPUとは完全に画面描写の処理が切り分けられるので、その分能力が増します。特に、ゲームなど、高精細かつ正確な描写には、リアルタイムレイトレーシング機能が搭載された、“GeForce RTX”がおすすめです。 Officeソフトや、インターネット配信動画の閲覧であれば、CPUに内蔵されたグラフィック機能で十分です。
そして、ここからがノートPCを選ぶ際、デスクトップPCよりも特に注意してみて欲しい部分になります。
ディスプレイ
ディスプレイを選ぶ際にまず見て欲しいポイントは、“光沢か非光沢か”、そして“解像度”です。お店のノートPC売り場に陳列されている製品を見ると、画面がツヤツヤしたものとそうでないものがあるのがわかると思います。これが、“光沢(グレア)”か“非光沢(ノングレア)”かの違いになります。光沢の場合、色が鮮やかではっきり見えますが、外部の光をよく反射してしまうため、映り込みが大きいです。
そのため、蛍光灯の多い場所や、人の往来が多い場所などで使うと、映り込みが気になってしまうことがあります。非光沢の場合、光沢に比べて鮮やかさは劣りますが、映り込みは少ないので、長時間PCを使う、どのような環境でも集中して作業したい、という方に向いています。
次は解像度です。画面(ノートPCのサイズ)が大きいから解像度も高い、というわけではないので、まずはそこを注意しましょう。
前回のチェックポイントの回でもお話しましたが、4Kなど解像度が高いと、作業領域が広がり、かつ高精細な表示ができるため、クリエイティブや高解像度のゲームをやる方には向いています。Officeソフトでも、特にたくさんのデータを表計算ソフトで使う方には向いています。現在主流はフルHD(1920×1080)です。フルHDであれば、作業や動画視聴もまず問題なく行えます。この解像度を基準に、もう少し高い解像度が欲しいか、それとも低くてもよいかを考えると良いかもしれませんね。
インターフェイス
マウスを使う場合、また、別のモニタにノートPCの画面を映したり、スマホや外付の周辺機器などを接続する場合に重要になる部分です。ノートPCによって、このインターフェイス部分が変わってきますので注意が必要です。また、無線でマウスを使いたい、といった方は、USBのポートや、Bluetooth機能搭載の有無をチェックしてください。
ノートPCのインターフェイスには、主に
・外部のディスプレイに画面を出力するポート
・外部のデバイス(スマホや外付ドライブ)とデータをやり取りするポート
・電源やオーディオポート
があります。ディスプレイのポートには、HDMIやDisplayPortがあり、ノートPC以外にモニタやプロジェクタに画面を出力する場合は、あらかじめこれらが付いていると便利です。ですが、USBからの変換アダプタも多く販売されているので、ついていなくても変換アダプタがあれば出力できる場合が多いので、使用頻度の多さで選ぶと良いかもしれませんね。
外部のデバイスを使用するポートには、USBポートやSDカードなどがあります。USBはType-AとType-Cがあり、この両方を搭載しているノートPCが昨今多くあります。また、SDカードも、通常のサイズとmicroサイズとありますので、デジカメを多用し、すぐにノートPCに取り込みたい方はチェックすると良いでしょう。
いずれにせよ、ノートPCのインターフェイスの種類と数には限りがあるので、つかっているうちにどうしても“足りない”ということもあります。その場合は、USBハブや、ドッキングできるアダプタなどもありますので、それらを検討してみてくださいね!
バッテリー
ノートPCのスペック表のバッテリー部分を見ると、よく“JEITA Ver2.0に基づいて……”と書いてあります。これは何なのでしょう?
このJEITA Ver2.0とは、JEITA(電子情報技術産業協会)の“バッテリー動作時間測定法”で測定されたバッテリーの駆動時間です。ある基準の状態にPCを設定し、高負荷時(動画連続再生時)の動作時間と、低負荷時(一切のPC操作を行わない状態)の動作時間を2で割った時間で算出されます。(詳しくはhttps://home.jeita.or.jp/cgi-bin/page/detail.cgi?n=84&ca=14 をご確認ください)
どのメーカーでも、ほぼこのJEITA Ver2.0にて算出された駆動時間を記載していますので、ノートPCのバッテリーの持ちを比較する際にはこの部分を見てください。ですが、バッテリーのもちは、使用しているソフトウェアや、PCの作業負荷によって大きく変わってきます。そのため、充電なしでなるべく長い時間ノートPCを使いたい方は、このバッテリー駆動時間の部分が長いノートPCを選ぶと良いでしょう。
サイズと重量
スペック紹介、最後はサイズと重量です。持ち歩きする分、その大きさと重さが気になるのがノートPCです。売れ筋をみると、大きさはだいたいA4サイズ前後となる13.3~15.6インチ、重さは1.5kg前後となっています。ビジネスバッグにちょうど納まりやすいサイズ、そして持ち歩きにはそこそこ苦労しない重さですね!
さらに小型で軽量のものがといいな……いう場合は、B5サイズ以下(11.6インチ前後)を目安に選んでみましょう。小型で高スペック、となると、お値段がちょっとはってしまうのが難点ですが、移動が多くかつ作業も多い職の方には、ぜひ費用対効果の部分でおすすめしたいところです。
サイズと重量を確かめるには、やはりお店で一度見てみて、そして触ってみるのがいちばんです。特に、ノートPCのサイズと連動しているのが、キーボードの“キーピッチ”です。人によって、打ちやすいピッチなどもありますので、ぜひ時間のある方や、近くにお店がある方は、お店で実際に手に取って触れてみてください。
あわせて、ノートPCにはほぼ標準で、WEBカメラやWi-Fiが搭載されています。いずれも、ビデオ通信やフリーWi-Fiなどはほぼ問題なく使えますが、Wi-Fiは最新の規格などに対応していない場合がありますので、最新のルーターで最新規格などを使っていて、ノートPCもその規格で使いたい場合は、チェックしてみてくださいね。
また、OSは普段使いであればWindows 10 Homeでほぼ問題ありません。ですが、ビジネスや研究で、公にはできない資料などを閲覧したり作成したりする場合は、セキュリティ機能充実の観点からWindows 10 Proを選ぶと良いでしょう。
その他、LTE対応のノートPCや、180~360度ちかく画面が折り曲げられるもの、画面の取り外しができるものなど、色々なモデルが出ています。もうここまでくると、どこから選んでいいか、いい意味で分かりませんよね!悩みぬくのもノートPC選びのひとつです。ですが、何度も言うとおり、青天井というわけにはいかないのが“予算”。最後に、予算別でどのようなノートPCが入手できるか、簡単ですが紹介してみたいと思います。
□ 予算5万円前後
CPU | Celeron ~ Core i3 / AMD A-Series ~ Ryzen 3 |
メモリ | ほぼ4GB |
ストレージ | SSDだと128~256GB / HDDだと500GB~1TB |
□ 予算10万円
CPU | Core i5 ~ Core i7 /Ryzen 5 ~ 7 |
メモリ | ほぼ8GB |
ストレージ | SSDだと256~512GB / HDDだと1TB ※SSD搭載が標準のモデルが多数 |
□ 予算20万円
CPU | ほぼCore i7 |
メモリ | ほぼ8~16GB |
ストレージ | SSDだと256~512GB / HDDだと1TB ※SSD搭載が標準のモデルが多数、HDDとのデュアル搭載もあり |
ゲーミングPCやクリエイティブ向けのGPU搭載モデルもあり
この価格帯から見ると、ライトユーザーであれば、5万円あればそれなりのスペックのノートPCが入手できるということですね。また、ゲームPCやクリエイティブ向けを検討している方は、少なくとも20万円くらいは予算として見ておいたほうがよさそうです。
一番ラインナップや選択の範囲が多いのが予算10万円前後になってきます。そのため、多く見積もっても15万円くらいの予算であれば、それなりの作業ができるノートPCの選択範囲がぐっと広がりそうです。
ですが、メーカーによって、搭載している機能や採用しているハードウェアが異なるのがノートPC。予算から、デザインから、用途から、気になるモデルをまずは探して、お店やメーカーのサイトで詳細を見てみるのが絞り込みの鉄則かもしれませんね!
ノートPCの選び方、全3回これで終了です。高い買い物だけに、失敗したくないのがノートPC。ぜひ、いろいろなサイトやカタログを見ながら、お気に入りの1台を見つけてくださいね!