【2020年 はじめての自作PC 第4回】CPU・Ryzenプロセッサーを取り付けてみよう!
昨年からの勢いが止まらない第3世代Ryzenプロセッサー
チップセットの性能を活かし、そしてPC全体の性能を決める重要なCPU。何度も何度も同じことを繰り返して申し訳ないような気もしますが、CPUでも話題の中心はAMDです。そして初回でお送りした“初めての自作”は、Intel製のCPUを使った構成と組み立て手順でした。今回は、そこからのアップデートとして、第3世代Ryzenプロセッサーの紹介とともに、マザーボードへの取り付け方を説明します。勢いに乗って、AMDのCPUで1台組んでみたいな……という方は、ぜひ参考にしてください!
現時点での第3世代Ryzenプロセッサーの売れ行きは……?
昨年からの勢いが止まらない第3世代Ryzenプロセッサー。この記事を書いているのは2020年2月末ですが、価格.comさんのサイトのランキングを見ると、“Ryzen 7 3700X”を筆頭に、実に10位以内において7製品が第3世代Ryzenプロセッサーで占められています。しかも、お値段10万円近い最上位の“Ryzen 9 3950X”がその中に入っていますから、みなさんどれだけCPUにお金かけるの……という感じですよね。
もしかしたら、10万円近いCPUでも、“そのお値段以上の価値”があるのかもしれません。そう、“コストパフォーマンス”です。第1回で、今回の第3世代Ryzenプロセッサーにおける性能アップがPC全体のパフォーマンスの向上につながることを説明いたしましたが、それでいて、ラインナップやスペックにおける価格帯が以前と変わらない、またテクニカルライターさんの記事などで、ベンチマークスコアなどの結果が良いと、買い替え欲求がガッ!と上がりますよね。しかも、AMDのCPUはソケットの互換性も高く、第2世代Ryzenプロセッサーを第3世代のものに載せ替えたいといった場合、チップセットやマザーボードメーカーの対応状況によっては、比較的容易にCPUのみのアップグレードも可能です。*
*チップセットやマザーボードメーカによって対応可否や、対応してもその再必要なオペレーションがある場合があります。
第3世代 Ryzen CPU ラインナップ
ワークステーション向けCPUも目が離せない!
Intel Core i7~i3シリーズやAMD Ryzen9 ~3 シリーズが”デスクトップ向けCPU”と呼ばれるのに対し、“ワークステーション向けCPU”と呼ばれるものが市場には存在します(定義はいろいろありますが)。ワークステーションというと、なんだか専門的なイメージがしますが、だいたいそれで合っています。サーバーのように“ある目的に特化したハイエンドなPC”を主に指します。HEDT(ハイエンドデスクトップ)と言ったりもしますね!昨今は3DCGのモデリングやレンダリング、それを用いた映像制作を目的としたワークステーション、また、ディープラーニングのような科学計算などを目的としたワークステーションなどがあります。
そんなワークステーション向けに登場したCPUが、Intelだと第10世代Core i9シリーズ、AMDだと第3世代Ryzen Threadripperシリーズです。搭載している機能や特徴などはさておき、最上位スペックの数字だけを見てみましょう。
まず、2019年11月末に発売された、第10世代Intel Core i9 は、最上位『10980XE』で18コア36スレッド、最大動作クロック周波数は4.8GHzです。お値段は2020年2月末時点で約15万円です。お次はAMD Ryzen Threadripper、最上位『3990X』は発売間もない2020年2月に登場し、64コア128スレッド、最大動作クロック周波数4.3GHz、お値段は約50万円です。と、さらーっと書きましたが、Threadripper 3990X、コア数とスレッド数が恐ろしく多くないですか?「こんなCPUもあるんだぞ!」程度の紹介ですが、動かしているところや恩恵は、動画などで紹介されていますので、ぜひご覧ください。
AMD Ryzenプロセッサーの取り付け方
それでは、AMD製CPU、ここではRyzenの取り付け方を紹介したいと思います。Intel製のCPUと大きく異なるのは、マザーボード側に、CPUを覆う“ソケットカバーが無い”ことと、CPU本体に“ピン”が付いていることです。このピンをマザーボードのソケットの凹部分に差し込むため、間違った穴の位置に挿してしまったり、CPUを落としてしまったりすることで生じる“ピン折れ”には十分注意しましょう。また、AMDのCPUを何らかの理由で一旦取り外すときに注意したいのが“スッポン現象”。これは、CPUクーラーを取り外す時に、そのヒートシンクとCPU本体同士のグリスの接着が強すぎて、CPUクーラーを取り外す時にCPU自体がソケットからすっぽ抜けてしまう現象です。気になる方はSNSなどで見つけてみてください。レバーの開閉なしにCPUがすっぽ抜けてしまうと、ピン折れなどの原因にもなってしまいます。そのため、CPUを取り外す時は、その前に少しだけPCを稼働させて、グリスを柔らかい状態にしてから取り外すのがおすすめです。電源を切ってすぐに作業すると、パーツがまだ熱かったりもします。十分注意してくださいね。
AMD製のCPUは、若干Intel製のCPUより慎重さを必要としますが、取り付ける向きや位置をきちんと確認すれば、初心者でもまず問題なく取り付けることができます。特に、ピンをソケットに差し込む際は、ソケットの上から垂直に、そっと静かに置くのがコツです。
CPU本体。リテールBOX品の場合、ブリスターケースに入っています。 | CPUの裏面。ピンがCPU側についています。触れないように注意! |
CPUとCPUクーラーの取り付け方
1.ソケット横のレバーを上に上げます。 | 2.CPUに刻印されている▲と、ソケット上(もしくはマザーボードの基板上)に刻印されている▲の位置を合わせ、CPUのピンをソケットの穴に差し込みます。ピンは数が多く、かつ細いため、全てのピンが確実に正しい穴の位置に刺さるように注意しましょう。 |
3.ソケットとCPU本体の設置面に隙間があいていないかを確認し、きちんと取り付けられていることを確認して、レバーをもとに戻します。 | 4.ソケットの両側にあるパーツを外します。* CPUクーラーにグリスがついていない場合は、取り付ける前に、必ずCPUの表面にグリスを塗ってください。 |
※CPUクーラーのタイプによっては、外さない場合もありますので、必ずCPUやCPUクーラーに付属している説明書を確認してください。
5.取り外した後のマザーボード上の穴と、CPUクーラーの4つの足がきちんとはまっていることを確認して、ねじ止めします。 |
取り付け方のポイントをまとめると、
・向きを合わせて、ソケットに対し真上から差し込む
・レバーで固定する前に、ソケットとCPU本体の間に隙間があいていないかを確認する
・CPUクーラーを取り付ける前に、ソケット両側の部品を外すかどうか説明書を読んで確認し、必要な場合は取り外す
この3点です。
今後Intelのデスクトップ向け第10世代 CPUも予定されており、発売された日には、今でさえ光るパーツやMOD PC、OCでベンチマークぶん回し!などで盛り上がっている自作市場に加え、イケイケどんどんのAMD CPUとIntel CPUのシェアがどうなってくるかが非常に楽しみです。
次回はグラフィッカードです。こちらもどんどん新しいGPUやそれに伴い各メーカー製品が投入されていますね!マザーボード同様、かっこよさだけで選んだグラフィックカードなどもお送りしたいと思います。