AMD Ryzen7 3700Xの性能レビュー&ベンチマークをDDIYerが検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
Ryzen7 3700Xは2019年7月7日に発売されたゲーミング向けCPUです。
「相手を圧倒するゲーム体験&ストリーミング~熱心なPC愛好家向けの美しくバランスのとれた最適な設計。~」のフレーズ通りのゲーミング性能を持ち合わせたハイエンドCPUとして、多くのPCゲームプレイヤーより購入されたCPUの一つとなります。
発売から2年ほど経過(2021年4月当時)した今、どれほどの性能を有しているのか、現在でもその性能で問題なくゲームなどがプレイ出来るかについて、仕様やベンチマーク結果やDDIYerのユーザーによる実機計測も交え、徹底考察していきます。DDIYerが集まるDigital DIYerはこちら!
AMD Ryzen7 3700Xとは
Ryzen7 3700XはRyzen7 2700Xの後継モデルとなるミドル-ハイエンド帯のCPUです。Intelと比較すると、Core i7と近い位置づけの製品です。
前身にあたるRyzen7 2700Xと、Ryzen7 3700Xの仕様を比較してCPUの進化を一緒に見ていきましょう。
仕様
Ryzen7 2700X | Ryzen7 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド | 8コア/16スレッド | なし |
ベースクロック数 | 3.7GHz | 3.6GHz | -0.1GHz |
最大クロック数 | 4.3GHz | 4.4GHz | +0.1GHz |
L1キャッシュ | 768KB | 512KB | -256KB |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | なし |
L3キャッシュ | 16MB | 32MB | +16MB |
オーバークロック | 可能 | 可能 | なし |
製造プロセスサイズ | 12nm | 7nm | -5nm |
PCI Expressバージョン | PCIe 3.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | 1世代UP |
TDP | 105W | 65W | -40W |
最大温度 | 85℃ | 95℃ | +10℃ |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-3700x#product-specs
まずクロック数ですが、ベースクロックは前回に比べると0.1GHz落ちていますが、ブースト時は+0.1GHzとなっているので、実質高負荷時においてシングルコア性能が高くなったということになります。
これはゲームなどの処理も大いに期待ですね!
続いてキャッシュ、L1キャッシュはなんと-256KBという大幅ダウン。(結構びっくり……)
しかしL3キャッシュが大幅アップしています。記事の後半では各種ベンチマークも紹介いたします。これはどのように影響するか結果が楽しみですね!
最後にワットパフォーマンスですが、正直これはとんでもない進化と言っても過言ではないでしょう。
40Wも下げているにも関わらず、大幅な性能アップがあれば、これはランニングコストの面からみてもとてもお買い得なCPUとなりますね!
メモリ
Ryzen7 2700X | Ryzen7 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
最大メモリ速度 | 2933MHz | 3200MHz | +266MHz |
メモリタイプ | DDR4 | DDR4 | なし |
メモリ・チャネル | 2 | 2 | なし |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-3700x#product-specs
続いてメモリを見ていきましょう。
最大メモリ速度が+266MHzとなっています。
時代の流れなのでしょうが、メモリ速度がとうとう3200MHzになってしまうとは……ちなみに筆者のメモリはDDR3の1066MHzなので、もはや比べ物になりませんね。
基盤
Ryzen7 2700X | Ryzen7 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
製品シリーズ | AMD Ryzen™ Processors | AMD Ryzen™ Processors | |
製品ライン | AMD Ryzen™ 7 Desktop Processors | AMD Ryzen™ 7 Desktop Processors | |
プラットフォーム | Boxed Processor | Boxed Processor | |
発売日 | 2018年4月19日 | 2019年7月7日 |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-3700x#product-specs
最後は基盤です。
ここは見たところ変化なしですが、Ryzen 2700XとRyzen 3700Xには大きな変更点があります。
それはアーキテクチャです。
Ryzen 2700XはZen+ですが、Ryzen 3700XはZen2と呼ばれる、別の物になります。
Zen+の特徴には「安いけど爆熱……」という部分がかつてはありましたが、Zen2では爆熱を見事に克服。大きくワットパフォーマンスをあげています。
ざっくり説明するとZen+がRyzen 2世代目となり、Zen2がRyzen 3世代目となります。
Ryzen 7 3800XとRyzen 7 3700Xの違い
先程までは旧モデルであるRyzen 2700Xと比較してみましたが、今度は上位モデルであるRyzen 7 3800Xと比較してみます。仕様等を比較しながら確認していきましょう!
どうやら構成は次の通りほとんど一緒で、大きな違いはクロック数とTDPでした。
この比較表をもとにRyzen7 3800XとRyzen7 3700Xを比較するとRyzen7 3700Xの方がより、本体価格のコスパに優れ、なおかつ省電力の観点からみてもコスト面が抑えられるのではないでしょうか。
仕様
Ryzen7 3700X | Ryzen7 3800X | 比較 | |
---|---|---|---|
コア | 8 | 8 | なし |
スレッド数 | 16 | 16 | なし |
基本周波数 | 3.6GHz | 3.9GHz | -0.3GHz |
最大周波数 | 4.4GHz | 4.5GHz | -0.1GHz |
L1キャッシュ | 512KB | 512KB | なし |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | なし |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | なし |
プロセス | 7nm | 7nm | なし |
トランジスタの数 | 192億個 | 192億個 | なし |
互換性
Ryzen7 3700X | Ryzen7 3800X | 比較 | |
---|---|---|---|
構成内の最大CPU数 | 1 | 1 | なし |
ソケット | AM4 | AM4 | なし |
消費電力(TDP) | 65W | 105W | |
発売日 | 2018年4月19日 | 2019年7月7日 | -40W |
RAMサポート
Ryzen7 3700X | Ryzen7 3800X | 比較 | |
---|---|---|---|
RAMの種類 | DDR4デュアルチャネル | DDR4デュアルチャネル | なし |
最大メモリチャネル | 2 | 2 | なし |
AMD Ryzen7 3700Xのベンチマーク性能比較
ここまでRyzen7 3700XとRyzen7 2700X、Ryzen7 3800Xの仕様を比較してみました。
では実際にこの仕様の差で、どれくらいベンチマーク結果に影響が出るのか、数値で比較していきましょう。
分析対象のCPUは「Ryzen 7 2700X」「Ryzen7 3700X」「Ryzen 7 3800X」「Ryzen 7 5800X」の4つです。
Ryzen7 2700X | Ryzen7 3700X | Ryzen 7 3800X | Ryzen 7 5800X | |
---|---|---|---|---|
ベンチマーク | 17603 | 22807 | 23339 | 28635 |
順位 | 204 | 118 | 109 | 55 |
コストパフォーマンス※1 | 41.13 | 69.32 | 60.15 | 63.78 |
価格※2 | 46,857円 | 36,019円 | 42,479円 | 49,158円 |
※1 コストパフォーマンスはベンチマーク結果 / 価格で算出しています。数値が高いほどコストパフォーマンスが高いです。
※2 価格は2021年4月12日(執筆当時)のレートである110円で計算しています
結果を見てみると、Ryzen7 3700Xは性能でみたコスパがこの4つのCPUの中で最高だという事実が分かりました。
そもそもRyzen7 3700Xは発売価格が安かったので、その点が大きく影響していると言えるでしょう!
また「Ryzen 7 2700X」については、次の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
【実機検証編】AMD Ryzen7 3700XのCPU性能・ゲーミング性能
さて、ここまで5種類のCPUと比較してきたわけですが、ここからはさらに深く掘り下げてRyzen7 3700Xの魅力についてご紹介していきます!
続いてはユーザーの声とゲームのシミュレーションベンチマークの数値を用いて、実機検証を通じた考察を進めていきたいと思います!
AMD Ryzen7 3700X × Radeon RX 570
こちらの構成ではDigital DIYerユーザーの「syrupp」さんよりいただいた検証データおよびご意見をご紹介して参ります!
まずはPCの構成からご紹介します。
CPU | AMD Ryzen7 3700x |
---|---|
GPU | MSI Radeon RX 570 ARMOR 8G |
RAM | Kingston DDR4 2666MHz 8GBx2 HyperX FURY RGB |
SSD | Western Digital WD Black NVMe SSD SN750 500GB |
マザーボード | ASRock B450 Steel Legend |
syruppさんは、ご自身のPCについて以下のように述べています。からは以下のようなご意見をいただいております。
主な用途はapex legendsなどのfpsゲームをする際に使用しています。最高画質でプレイはできますが、75fps程度なので、もっと性能のいいグラフィックボードへの買い替えも検討中です。基本的に動作も早く、ストレスなく使えるので満足しています。
Ryzen 7 2700Xの時もそうでしたが、やはりASRock B450 Steel Legendは人気ですね!
fpsゲームの際、syruppさんは「的には少しfpsが足りない」ということでしたが、確かにGPUを換装すれば、まだまだfpsの向上は図れそうですね!
提供:syruppさん
やっぱりLED CPUクーラーはかっこいいですね……!
メモリもピカピカしてて、もはやインテリア感があります!
Cinebench
引用:https://www.maxon.net/en/downloads/cinebench-r23-downloads/
さて、Cinebench R23の結果ですが、マルチが12207ポイントで、シングルが1265ポイントでした。
pcrecommend.comで公表されていた数値とほぼ変わらない数値が出ていますね。
この結果だと他のベンチマークの数値も期待できますね!!
FF15 ベンチマーク
続いて動作重めで有名なFF15ベンチマークですが、ここで思わぬ結果が……
引用:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
結果は1080pの標準品質5113ポイント、評価はやや快適という結果に。
意外にも以外ややにも低い数値の結果になった理由として、やはりGPUがネックなようでした。
RX 570は個人的にも嫌いではないGPUなのですが、やはりFF15のような激重ゲームをプレイするとしたらGTX 1660 Tiなどにするとまた結果が変わってくるのではないかな、と感じました!
FF14 ベンチマーク
引用:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
続いてFF14ベンチマーク結果です。
1080pの高品質設定で10859ポイントで評価は非常に快適という結果でした!
FF14はFF15に比べて、そこまで負荷の掛かるゲームではないためか、スコアはとても良い結果になりました!
なお、平均フレームレートが73.9で、最低フレームレートは25でした。
あまり負荷の掛からないところであれば問題無さそうですが、高負荷時にはやはり処理しきれていないのが数値をみて考察出来ますね。
やはりゲームによってここまで差が開いてしまうのですね……
これが自作PCの難しいところであり、面白いところでもありますね!
AMD Ryzen 7 3700X × GeForce RTX 3080
続きまして、同じくgitaldiyユーザーの「けーぶぅ」さんよりいただいた検証データおよびご意見をご紹介して参ります!
この時点でなんというか、もう凄すぎる……(笑)
まずはPCの構成からご紹介します。
CPU | AMD Ryzen 7 3700X 8-Core Processor |
---|---|
GPU | GeForce RTX 3080 |
RAM | G.Skill Sniper X F4-3600C19D-32GSXWB |
SSD | シリコンパワー SSD 2TB 3D TLC NAND M.2 |
HDD | WDC WD10EZRX-00L4HB0(1TB) |
マザーボード | B550 Taichi Razer Edition |
電源 | Cooler Master V1000 Platinum 1000W |
CPUクーラー | NZXT KRAKEN X63 |
ちなみにCPUクーラーは標準装備のものではなく、簡易水冷のクーラーを使用しているようです。この緑の配色で、けーぶぅさんがいかにRazerファンなのかが読み取れます。( ´∀` )
けーぶぅさんからは以下のような声ご意見をいただいております。
主な用途はゲーム(FF14,Monster Hunter: World等)に使用しています。CPUは8コア16スレッドでシングル/マルチ性能ともに高く、使用しているグラフィックボードRTX3080と相性が良くあまりボトルネックは起きません。グラフィックボードについてはRTX3080の性能のおかげでウルトラワイド(3440×1440)の最高画質でも快適にゲームをプレイできています。
GeForce RTX 3080を積まれているとロー・ミドルエンドとの比較は出来ませんが、ハイエンドPCの実力をぜひ見せてほしいところですね!!
それでは早速1つ1つ、ベンチマーク数値を見ていきましょう。
Cinebench
引用:https://www.maxon.net/en/downloads/cinebench-r23-downloads/
もちろんですが、Cinebench R23は純粋にCPUのベンチマークなので、ここはほとんど変わりませんね!
マルチもシングル性能も問題無さそうですね!
FF15 ベンチマーク
お待たせしました、激重ベンチマーク、FF15の登場です。
ベンチマーク測定中の画面なのですが、この時点で既にfpsが151とはいかほど……(笑)
やはり10万円越えのGPUは伊達じゃありませんね……!
引用:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
結果は1080p、高品質モードで11341ポイントで評価はとても快適でした!
高品質モードでこの数値ですよ!?流石はGeForce RTX 3080!!
このGPUがあればなんでも出来る感じがしますね!
FF14 ベンチマーク
最後にFF14ベンチマーク結果です。こちらの結果はどうなるでしょうか……?
引用:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
結果はUWQHD(3440×1440)の最高品質で12942ポイントで非常に快適という結果になりました!
やはり驚異的な性能ですね……!
この解像度、この品質でFF14も出せるということは、やはりどんなゲームでも適合出来ますね!
AMD Ryzen7 3700Xの特徴・性能評価
ここまで仕様面や実際のベンチマーク結果などを比較してみて、Ryzen 7 3700Xのコスパの良さ、性能の良さを改めて確認することが出来ました。
まずは、各種ベンチマークや旧モデルや上位モデルとの比較を通じて見えてきたメリット・デメリットを3つほど紹介いたします。
【Good!】シングルスレッド性能の高さ
Ryzen 7 3700Xはシングルスレッドの性能が特長です。
Ryzen 7 2700Xでは、シングルスレッドの性能に難があったものの印象的でしたが、Ryzen 7 3700Xはその弱点を克服していると言えるでしょう。
Ryzen7 3700X | |
---|---|
Pass Mark | 22778 |
Cinebench R23 (Multi-Core) | 12355 |
Cinebench R23 (Single-Core) | 1294 |
引用:https://pcrecommend.com/cpu/
【Bad…】ゲーム性能は改善の途中
長らくゲームの処理エンジンなどは、Ryzenに最適化されたものはやや少なめです。
それが原因となり、一部ゲームではベンチマークが伸び悩むケースもあります。とはいえ、AMD CPUに最適化されたゲームタイトルも今後増えていくことが予測されます。CPU選びの際は「ゲーム目的か、否か」も1つの基準とすると良いでしょう。
まとめ
今回はAMDのハイエンドCPU、Ryzen 7 3700Xについてご紹介いたしました!
Ryzen 7シリーズの中でも、ベンチマークから見たコスパが飛びぬけて高かった本商品ですが、実際の性能やコスパも非常に高いもの。
Ryzen 7 3700Xは、既に発売から約2年ほど経過しているCPUですが、新品でも中古品でも安価にハイエンドCPUを組む場合の1つの候補として持っていても良いのではないでしょうか。
たとえば自作PCの制作時には、Ryzen 7 3700Xの中古やセール品などを見つけCPUとして採用することで制作コストを抑えつつ高い性能が期待できるでしょう。
またGPUとの組み合わせも魅力。Geforce RTX 3080との組み合わせでも、ボトルネックを起こすことなく、性能を最大限に発揮出来ていることも確認出来ました!
AMDのCPUはかつてはIntelとの性能差が指摘されていましたが、Ryzen 7 3700XはIntel製のハイエンドCPUと比較しても性能に遜色はありません。BTOパソコンの購入時にも、採用を検討するべきCPUの1つと言えます。