AMD Ryzen7 2700Xの性能レビュー&ベンチマークをDDIYerが検証!ゲーミング性能・平均FPSを実機計測
2018年4月19日に発売されたRyzen7 2700X。
Zenシリーズの2世代目にあたるデスクトッププロセッサであり、8コア16スレッドという高性能なスペックであるにも関わらず、価格はそれほど高額ではないため、コスパに優れたCPUとして人気を博した商品です。
そのため、多くの自作PC(特にミドルからハイエンド)のCPUに採用される機会があったCPUですが、実際はどの点で優れており、どの点が少し短所があるのかを数字を比較し、DDIYerのユーザーによる実機計測も交え、徹底検証していきます!
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目次
AMD Ryzen7 2700Xとは
Ryzen7 2700XはRyzen7 1700Xの後継モデルであり、目立った変更点としてRyzen7 1700Xとはベースクロックが0.3GHzアップしており、製造プロセスサイズが14nmから12nmに小さくなっている点です。たった1年でここまで進化できるというのはAMDの素晴らしい開発努力があったと感じますね。
その他にも変更点やチャームポイントを比較して以下にご紹介していきます!
仕様
仕様 | Ryzen7 1700X | Ryzen7 2700X | 比較 |
---|---|---|---|
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド | 8コア/16スレッド | なし |
ベースクロック | 3.4GHz | 3.7GHz | +0.3GHz |
最大クロック数 | 3.8GHz | 4.3GHz | +0.5GHz |
L1キャッシュ | 768KB | 768KB | なし |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | なし |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | なし |
オーバークロック | 可能 | 可能 | なし |
製造プロセスサイズ | 14nm | 12nm | -2nm |
PCI Expressバージョン | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 | なし |
TDP | 95W | 105W | +10W |
最大温度 | 95℃ | 85℃ | -10℃ |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-2700x#product-specs
仕様について表にまとめて比較してみました!
変化があったのはベースクロック、最大クロック、製造プロセスサイズ、TDP、最大温度の5項目でした。
少し気になる箇所は、CPU最大温度が下がっている点です。
最大温度については製造プロセスを小さくした結果、CPUの耐久温度が下がってしまった可能性があります。
なお、全てにおいて関係するわけではありませんが、CPU最大温度はCPUの耐久度とある程度相関関係があります。
※最大温度が高いということは熱耐久性が高いことになるので、それが耐久度に関係すると言われています。
メモリ
仕様 | Ryzen7 1700X | Ryzen7 2700X | 比較 |
---|---|---|---|
最大メモリ速度 | 2667MHz | 2933MHz | +266MHz |
メモリタイプ | DDR4 | DDR4 | なし |
メモリ・チャネル | 2 | 2 | なし |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-2700x#product-specs
メモリについては上記表の通りです。メモリの最大クロックが266MHz伸びていますね!
最近のメモリは高クロックのメモリが多く販売されているので、購入の幅が増えるというのはとても助かる点ではないでしょうか。
ちなみにRyzen7 2700Xは、メモリオーバークロックで3200MHzに設定する人も中にはいます。CPUの性能が大幅に上昇することがメリットです。
オーバークロックについては以下の記事でも解説しているため、参考にしてください。
なおオーバークロックには「CPUの寿命が短くなること」や「保証が適用されないこと」など、様々なデメリットもあります。
オーバークロックにチャレンジする場合は、デメリットも理解したうえで、自己責任の上で行ってください。
基盤
Ryzen7 1700X | Ryzen7 2700X | 比較 | |
---|---|---|---|
製品シリーズ | AMD Ryzen™ Processors | AMD Ryzen™ Processors | |
製品ライン | AMD Ryzen™ 7 Desktop Processors | AMD Ryzen™ 7 Desktop Processors | |
プラットフォーム | Boxed Processor | Boxed Processor | |
発売日 | 2017年3月2日 | 2018年4月19日 |
引用:https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-2700x#product-specs
基盤項目についても上記表でまとめてみました。
ここについては大きな変化はないようでした。
Ryzen 7 2700XとRyzen 7 3700Xの違い
先程までは旧モデルであるRyzen 1700Xと比較してみましたが、今度は次世代モデルであるRyzen 7 3700Xと比較してみようと思います!
次の通り全体的に見るとやはり製造プロセスのサイズが小さくなったことやL3キャッシュサイズが2倍になっていることがとても大きいです。
TDPについては「性能はアップしているにも関わらず、消費電力が抑えられているというのはエネルギー効率が上がっている」と考えられるため、Goodポイントの1つでしょう。
また、ベビーユーザー向けですが、メモリの最大容量が128GBになっているのもGoodですね。特に動画編集などシビアコンディションで使用するユーザーは注目すべきポイントです。
仕様
Ryzen7 2700X | Ryzen 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
コア | 8 | 8 | なし |
スレッド数 | 16 | 16 | なし |
基本周波数 | 3.7GHz | 3.6GHz | +0.1GHz |
最大周波数 | 4.35GHz | 4.4GHz | -0.05GHz |
L1キャッシュ | 512KB | 512KB | なし |
L2キャッシュ | 4MB | 4MB | なし |
L3キャッシュ | 16MB | 32MB | -16MB |
プロセス | 12nm | 7nm | +5nm |
トランジスタの数 | 48億個 | 192億個 | -144億個 |
引用:https://technical.city/ja/cpu/Ryzen-7-2700X-vs-Ryzen-7-3700X
互換性
Ryzen7 2700X | Ryzen 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
構成内の最大CPU数 | 1 | 1 | なし |
ソケット | AM4 | AM4 | なし |
消費電力(TDP) | 105W | 65W | -40W |
引用:https://technical.city/ja/cpu/Ryzen-7-2700X-vs-Ryzen-7-3700X
RAMサポート
Ryzen7 2700X | Ryzen 3700X | 比較 | |
---|---|---|---|
RAMの種類 | DDR4デュアルチャネル | DDR4デュアルチャネル | なし |
許容メモリー容量 | 64GB | 128GB | -64GB |
最大メモリチャネル | 2 | 2 | なし |
ECCメモリーのサポート | はい | いいえ |
引用:https://technical.city/ja/cpu/Ryzen-7-2700X-vs-Ryzen-7-3700X
AMD Ryzen7 2700Xのベンチマーク性能比較
ここまでRyzen7 2700XとRyzen7 1700X、Ryzen7 3700Xを比較してみましたが、今度はRyzen7で比較してみて性能差がどれくらいあるか分析していきます!
分析対象のCPUは「Ryzen 7 2700X」「Ryzen7 3700X」「Ryzen 7 3800X」「Ryzen 7 5800X」の4種類です。
Ryzen 7 2700X | Ryzen 7 3700X | Ryzen 7 3800X | Ryzen 7 5800X | |
---|---|---|---|---|
ベンチマーク | 17603 | 22807 | 23339 | 28635 |
順位 | 204 | 118 | 109 | 55 |
コスパ※1 | 41.13 | 69.32 | 60.15 | 63.78 |
価格※2 | 46,857円 | 36,019円 | 42,479円 | 49,158円 |
参考:https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-Ryzen-7-2700X-vs-AMD-Ryzen-7-3700X-vs-AMD-Ryzen-7-3800X-vs-AMD-Ryzen-7-5800X/3238vs3485vs3499vs3869
※1 コスパはベンチマーク結果 / 価格で算出しています(数値が高いほうが良いです)
※2 価格は2021年4月12日(執筆当時)のレートである110円で計算しています
驚いたことにRyzen7 3700Xのコスパの良さに驚きました……(笑)
Ryzen 7 2700Xについてはこの4つのCPUと比べると性能は若干見劣りするものの、インターネットサーフィンや文書作成、簡単なゲームなどは問題なく使用できる性能です!
しかし元の価格が若干割高だったためか、2021年4月次点でも市場の新品の値段は下がっていませんでした。
Amazonでも執筆当時(2021年4月)で57,248円です。
しかし中古品だと27,980円からとお求めやすい価格でしたので、買うなら新品よりも中古品を狙ってみるのがいいかもしれませんね!
※価格は2021年4月時点です
引用:Amazon AMD CPU Ryzen 7 2700X with Wraith Prism cooler
【実機検証編】AMD Ryzen7 2700XのCPU性能・ゲーミング性能
ここまで4種類のCPUとRyzen7 2700Xを比較してました。ここからはユーザーの声とゲームのシミュレーションベンチマークの数値を使って、よりリアリティのある考察を進めていきます。
AMD Ryzen7 2700X × GeForce GTX 1660 Ti
こちらの構成ではDigital DIYerユーザーの「カネゴンG2」さんよりいただいた検証データおよびご意見をご紹介して参ります!
まずはPCの構成からご紹介します。
CPU | AMD Ryzen 7 2700X Eight-Core Processor 3.90GHz |
---|---|
GPU | MSI GeForce GTX 1660 Ti GAMING X 6G |
RAM | CORSAIR Vengeance LPX 16GB (4x4GB) DDR4 DRAM 3000MHz |
SSD | ADATA SX8200PNP |
HDD | WDC WD10EZRX-00L4HB0(1TB) |
マザーボード | ASUS PRIME X470-PRO 【ATX】 |
電源 | STANDARD 80 PLUS GOLD 650W |
カネゴンG2さんからは以下のような声をいただいております。
主にAPEX Legendsというゲームをプレイするのに使っていて、ときどきそのプレイ動画を編集するのに使用しています。
CPUは8コア16スレッドなので動画書き出しも早いほうだと思います。
ところが一部のソフトには古いAMDのCPU(2700X)と相性が合わないことがあるので3~4世代のAMDもCPUへの買い替えを検討しています。
グラフィックボードは1660tiを使用していて最高画質でも安定してプレイできます(60fps)。
けれども今後出るゲームによっては安定してプレイすることが困難になると思うので性能のいいグラボへの買い替えも検討しています。
こちらで特に筆者が気になったのが「一部のソフトには古いAMDのCPU(2700X)と相性が合わないことがある」という点。
AMD Ryzen7 2700Xの特徴・性能評価の部分でも少し触れましたが、大半のゲームはIntel CPUに最適化されているものが多いことが事実。ゲームによってはIntel CPUの方が不自由なくプレイ出来ることがあります。
この問題がユーザーが実際体感している、ということはとても具体性のある結果です!
最適化問題はまだ少し時間が掛かるかもしれませんが、シングルスレッド性能については今度CPUの性能向上でまた改善がかかると思いますので、今後もAMDの新作CPUには目が離せませんね!!
Cinebench
引用:https://www.maxon.net/en/downloads/cinebench-r23-downloads/
Cinebench R23でのスコアはマルチだと8788ポイント、シングルだと482ポイントという結果でした。
シングルの数値があまりにも低い点はやや気になります。改めて測定すると、数値が変わる可能性もあるかもしれませんね。
FF15 ベンチマーク
次はゲーム界隈では高負荷で有名なFF15ベンチマークを検証していただきました。
設定は1080pの標準画質です。ベンチマーク中はfpsは74出ているみたいです。
60以上出ているなら、高画質モードでも快適に進みそうですね。
引用:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
結果は8287で評価は快適でした。
やはり古いCPUとはいえど、この構成であればストレスなくプレイすることは出来そうです!
FF14ベンチマーク
引用:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
最後にFF14のベンチマーク測定結果です。
こちらは1080pの高品質設定で8001となり、評価は非常に快適でした。
平均fpsについては65.0でしたが、最低fpsが25だったため、瞬間的に動作がもっさりしてしまう時があるようです。
デバイス別のfpsは、家庭用ゲーム機がおよそ60fpsです。またiPhoneなどでYoutubeを見るときは30fpsの場合もあります。そして、それより下回ると動画の動きに違和感を感じる瞬間が増えていきます。
「いつでも滑らかな画面を見たいんだ!!」というユーザー様だと瞬間的なかくつきが気になることがあるかもしれません。
AMD Ryzen 7 2700X × GTX1070
こちらの構成もでは同じくDigital DIYerユーザーの「チョコバナナ3」さんよりいただいた検証データおよびご意見をご紹介して参ります!
まずはPCの構成からご紹介します。
CPU | AMD Ryzen7 2700X |
---|---|
GPU | GeForce GTX1070 |
RAM | 16GB |
SSD | 500GB |
HDD | 6TB 2TB |
マザーボード | B450 STEEL LEGEND |
「チョコバナナ3」さんからは以下のような声をいただいております。
主な使用用途は動画編集と映像制作です。
映像制作をする時にaviutlとblenderを使用するのですがこの構成でも基本的には性能不足には感じません。
時々APEXといったFPSゲームをやるのですがGTX1070だと少しだけ性能不足かなと感じていますが動作に異常などはありません。
いつかグラフィックボードを新調したいです。
これらのご意見より共通点があるとすれば「動画編集・映像作成においてRyzen7 2700Xは問題なく使用出来る」という点です。
この点についてもAMD Ryzen7 2700Xの特徴・性能評価の部分で説明した通りですが、AMD Ryzen7 2700Xは同時期に発売されたCPUの中でもとりわけマルチスレッド性能の優れたCPUになります。
比べるならば、Intel Core i5-10600K(10世代目)のマルチスレッド性能とほぼ互角です。
2020年5月に発売されたCPUと性能が互角ならば、それは問題なく使えるはずですね!
AMD Ryzen 2700X、恐るべし性能……!
Cinebench
引用:https://www.maxon.net/en/downloads/cinebench-r23-downloads/
Cinebench R23でのスコアはマルチだと7970ポイント、シングルだと1040ポイントという結果でした。
シングルの数値はpcrecommend.comの数値と近い反面、マルチの数値が低めに感じます……
FF15 ベンチマーク
続いてFF15ベンチマーク測定です。
このときのfpsは87でした。これはもしかすると数値が良くなる予感……!?
引用:http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/
予想的中でした!スコアは8428で評価は快適でした。
設定は同じく1080pで標準画質です。
こちらの構成もですが、高品質モードにしても快適にプレイ出来そうですね!
FF14 ベンチマーク
引用:https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/
そして最後にFF14ベンチマーク測定結果です。
こちらもやはりスコアが上がりまして11378で評価は非常に快適でした。
こちらの平均fpsは90.6で最低fpsは38という結果でした。
最低fpsが30を上回っているので、これならさほど違和感を感じることなくプレイ出来そうですね!
AMD Ryzen7 2700Xの特徴・性能評価
さて、ここまでRyzen7 2700Xのベンチマークなど、数値を主に中心に比較および考察してきました。続いては各種ベンチマークや旧モデルや上位モデルとの比較を通じて見えてきた、メリット・デメリットを3つほど紹介いたします。
【Good!】WRAITH PRISMクーラーがついてくる!
Ryzen7 2700Xには、クーラがついています。そして標準クーラー(リテールクーラー)にLEDがついているというのはとても珍しく感じます。
わざわざLEDクーラーを買う必要もないので、ビジュアル重視の方であればこれ一台で済むので、まさにおすすめと言えるでしょう。
引用:Amazon
うーん、やはりかっこいい……!
【Good!】マルチスレッド性能が高い!
比較項目 | Ryzen7 2700X |
---|---|
Pass Mark | 17536 |
Cinebench R23 (Multi-Core) | 10545 |
Cinebench R23 (Single-Core) | 1092 |
引用:https://pcrecommend.com/cpu/
上記はRyzen 7 2700Xのベンチマーク数値です。ここではマルチスレッド性能とシングルスレッド性能に着目してみます。
Ryzen 7 2700Xはシングルコア性能はやや控えめですが、マルチスレッド性能は高い数値です。
シングルスレッド性能を重視する場合は他の製品の購入も視野に入るかもしれません。一方で負荷の大きなアプリケーションを複数動かすといった用途を重視する場合はRyzen 7 2700Xは有力な候補です。
なおRyzen 7 2700Xは発売から一定の年月が経っているため、中古市場にも出回っているほか、店舗によっては新古品なども販売されています。「マルチスレッド性能を重視するか」「シングルスレッド性能を重視するか」といった用途に加え、自身の予算と相談しながらCPU選びをすることをおすすめします。
【Bad…】ゲームなどの瞬間的な処理に若干不向き
ゲームではシングルスレッドがよく重要になってくると言われています。記事中でベンチマーク数値を紹介した通り、ゲームによっては時折大きな差がでるようでした。
とはいえ、AMDに最適化されたゲームは増加傾向にあるため、次第に問題は解消されていくでしょう。
まとめ
今回はAMDが誇るRyzen 7 2700Xについてご紹介いたしました。
発売から既に3年ほど(2021年4月時点より)経過していることもあり、なかなか今から購入へ踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。
しかしRyzen 7 2700Xは2021年時点でも現役で活躍しているCPUの1つであり、FF14ベンチマークでも安定した数値を残しています。また中古の価格が比較的安く、自作PC制作などでオーバークロックに初めて挑戦する方にとって、魅力的な選択肢の1つでもあるでしょう。
ぜひ候補のひとつとしてご検討いただけたら幸いです!