Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700Uのゲーム性能・ベンチマーク解説!Ryzen 5 4500Uも
AMDのRyzenシリーズのCPU(APU)は、コストパフォーマンスの高さで注目を集めています。最新機種についてはゲーミング性能も向上しているため、大手メーカーのゲーミングPCでRyzenが採用されるようになりました。
そこで今回は、特にモバイル用モデルとして人気が高い「Ryzen 7 4700U」「Ryzen 7 2700U」「Ryzen 5 4500U」「Ryzen 5 2500U」の4機種について、有名な7タイトルのゲーミング性能を徹底検証していきます。
AMD Ryzenシリーズのゲーミング性能は高い?低い?
以前のRyzenは「数値上のスペックは高いがゲーミング性能はイマイチ」だと言われていましたが、そのような定説は覆されつつあります。アメリカのゲーミングデバイスメーカー「Razer」は、2021年6月にゲーミングノートPC「Razer Blade 14」を発表しました。「Ryzen 9 5900HX」+「GeForce RTX 3080 Laptop GPU」という最高峰の構成内容です。
引用元:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-systems/razer-blade-14
これまでRazerは競合他社のCPUを採用していましたが、今回初めてRyzenを搭載することにしたのです。このことからも、Ryzenのゲーミング性能は最新のゲームにも対応できることが分かります。
AMD Ryzenシリーズの主なCPUの仕様
では早速、今回検証の対象とする「Ryzen 7 4700U」「Ryzen 7 2700U」「Ryzen 5 4500U」「Ryzen 5 2500U」の4機種の基本スペック(仕様)を比較していきましょう。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700Uの仕様
「Ryzen 7 4700U」はRyzenの第3世代ハイクラスのCPU(APU)で、モバイル用のモデルとして2020年1月に発売されました。同じく「Ryzen 7 2700U」もノートパソコン用APUで、こちらは2017年10月に発売された第1世代モデル。それぞれのスペックは次のとおりです。
Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U | |
---|---|---|
CPUコア数 | 8 | 4 |
スレッド数 | 8 | 8 |
基本クロック | 2.0GHz | 2.2GHz |
最大ブーストクロック | 4.1GHz | 3.8GHz |
L2キャッシュ合計 | 4MB | 2MB |
L3キャッシュ合計 | 8MB | 4MB |
プロセスサイズ | 7nm | 14nm |
TDP | 15W | 15W |
最大温度 | 105°C | 95°C |
メモリータイプ | DDR4-3200 | DDR4-2400 |
メモリータイプ | DDR4-3200 LPDDR4-4266 |
DDR4-2400 |
GPUモデル | AMD Radeon™ RX Vega 7 Graphics | AMD Radeon™ RX Vega 10 Graphics |
GPUコア数 | 7 | 10 |
GPU周波数 | 1600MHz | 1300MHz |
CPU Mark | 13777 | 6844 |
参照元:https://www.amd.com/ja/products/apu/amd-ryzen-7-4700u
https://www.amd.com/ja/products/apu/amd-ryzen-7-2700u
https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-Ryzen-7-4700U-vs-AMD-Ryzen-7-2700U/3699vs3140
新世代の「Ryzen 7 4700U」はプロセスサイズが小型化されており、ブーストクロックも高いため「Ryzen 7 2700U」よりハイスペックです。CPUベンチマークソフト「PassMark」では、Ryzen 7 4700Uのスコア値が2倍近くも高くなっています。
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」はどちらも「APU」なので、グラボなしでゲームをプレイできます。詳細は後ほどご紹介しますが、内蔵グラフィックスのスペックは意外としっかりしていて、画質設定によっては高負荷のタイトルもグラボなしでプレイ可能です。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500Uの仕様
「Ryzen 5 4500U」はRyzen第3世代のミドルレンジCPU(APU)で、2020年1月にノートパソコン用として発売されました。「Ryzen 5 2500U」は2018年1月に登場した第1世代モデルです。それぞれの基本スペックを比較してみましょう。
Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U | |
---|---|---|
CPUコア数 | 6 | 4 |
スレッド数 | 6 | 8 |
基本クロック | 2.3GHz | 2.0GHz |
最大ブーストクロック | 4.0GHz | 3.6GHz |
L2キャッシュ合計 | 3MB | 2MB |
L3キャッシュ合計 | 8MB | 4MB |
プロセスサイズ | 7nm | 14nm |
TDP | 15W | 15W |
最大温度 | 105°C | 95°C |
メモリータイプ | DDR4-3200 LPDDR4-4266 |
DDR4-2400 |
GPUモデル | AMD Radeon™ RX Vega 6 Graphics | AMD Radeon™ RX Vega 8 Graphics |
GPUコア数 | 6 | 8 |
GPU周波数 | 1500MHz | 1100MHz |
CPU Mark | 11245 | 6634 |
参照元:https://www.amd.com/ja/products/apu/amd-ryzen-5-4500u
https://www.amd.com/ja/products/apu/amd-ryzen-5-2500u
https://www.cpubenchmark.net/compare/AMD-Ryzen-5-4500U-vs-AMD-Ryzen-5-2500U/3702vs3123
Ryzen 7の場合と同じように、Ryzen 5も世代が新しい「Ryzen 5 4500U」の方がハイスペックです。CPUとメモリ双方のクロック周波数が高いため、高速な処理を行えます。
検証の対象とするゲームタイトル
「Ryzen 7 4700U」「Ryzen 7 2700U」「Ryzen 5 4500U」「Ryzen 5 2500U」のスペックを確認したところで、ゲーミング性能の考察を行っていきましょう。今回は特に有名な7つのゲームタイトルについて検証します。それぞれのタイトルの概要は次のとおりです。
なおGTA 5は今回紹介する7タイトルの中で重量級。GTA 5で60fps以上出せる環境であれば、他のタイトルでも基本的には問題ないです。
タイトル | 公式URL | 特徴 |
---|---|---|
Grand Theft Auto V(GTA 5) | https://www.rockstargames.com/V/jp | 初リリースは2015年だが、解像度や画質設定を上げると非常に負荷が高いタイトル メーカー推奨グラボはNVIDIA GTX 660もしくはAMD HD7870 |
ウィッチャー3 ワイルドハント(ウィッチャー3) | https://www.spike-chunsoft.co.jp/witcher3/top.php | 解像度や画質設定によってはGTA 5同様に負荷が高い メーカー推奨グラボはGeforce GTX770もしくはRadeon R9 290 |
マインクラフト | https://www.minecraft.net/ja-jp | MODを導入した場合は一気に負荷が高くなる メーカー推奨グラボはGeForce 200シリーズもしくはAMD Radeon HD 5000シリーズ |
PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG) | http://pubg.dmm.com/ | 2017年に公開されたゲームで、アクション要素が強いため比較的負荷が高い メーカー推奨グラボはNVIDIA GeForce GTX 1060もしくはAMD Radeon RX 580 |
Apex Legends | https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends | 2019年に公開されたバトルロイヤルゲームで、PUBGと比べると負荷は少し軽め メーカー推奨グラボはNvidia GeForce GTX 970もしくはAMD Radeon R9 290 |
Microsoft Flight Simulator | https://www.xbox.com/ja-JP/games/microsoft-flight-simulator | 2020年に発売された最新のフライトシミュレーターで、極めて負荷が高い超重量級タイトル メーカー推奨グラボはGeForce GTX 970もしくはRadeon RX 590だが、実際にはこれらのグラボでもスペック不足 |
フォートナイト | https://www.epicgames.com/fortnite/ja/home | 2017年に公開されたバトルロイヤルゲームで、他のタイトルと比べると比較的負荷が軽い メーカー推奨グラボはNVIDIA GeForce GTX 660もしくはAMD Radeon HD 7870 |
今回紹介するタイトルは、記事の後半に行けば行くほど動作が困難な「重量級タイトル」が多いです。重量級タイトルの動作が手元の端末で現実的に難しい場合は、BTOパソコンをメーカーに発注するなどして「買い替え」をすることも検討することもおすすめします。
ちなみに上記のタイトル以外にも、FF14やFF15がベンチマーク対象タイトルとして有名です。FF14やFF15は負荷の高いゲームで、専用のベンチマークソフトも公開されています。これらのタイトルについては下記のページで詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
Grand Theft Auto V
引用元:https://www.rockstargames.com/V/jp/lsbc/the-great-outdoors
「Grand Theft Auto V (以下GTA 5)」は、オープンワールド型のクライムアクションゲームです。シリーズの第11作目となるGTA 5のPC版は2015年に発売されました。GTA 5はメーカー公表の推奨スペックは控えめですが、実はかなり負荷が高いタイトルです。
ゲームタイトル | Grand Theft Auto V (GTA 5) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) 720p (1280×720) |
1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 標準画質 | 標準画質 |
fps(フレームレート) | 40~50前後 (1080p) 60~70前後 (720p) |
30~40前後 (1080p) 35~45前後 (900p) 35~45前後 (720p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=FSTQD-zKAfY
https://www.youtube.com/watch?v=PhkzWFCSHUc
「Ryzen 7 4700U」では、解像度を720pに下げると安定して60fpsを維持できます。画質は標準設定ではありますが、APUでここまでのパフォーマンスが出せるのは驚異的です。解像度をフルHDに上げても、平均40fps以上でプレイできます。
「Ryzen 7 2700U」のパフォーマンスはやや低めで、解像度を720pに下げても40fps前後ですRyzen 7 2700U単体の構成ではGTA 5を快適にプレイするのは難しそうです。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、GTA 5のフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | Grand Theft Auto V (GTA 5) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) 720p (1280×720) |
1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 高画質 標準画質 |
標準画質 |
fps(フレームレート) | 25~35前後 (1080p高画質) 35~45前後 (1080p標準画質) 40~50前後 (720p高画質) 60~70前後 (720p標準画質) |
20~30前後 (1080p) 25~35前後 (900p) 30~40前後 (720p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=gjUZMO3Dgv0
https://www.youtube.com/watch?v=X245d0Q5HCA
「Ryzen 7」と比べるとフレームレートは低めの値になります。「Ryzen 5 4500U」では、解像度を720pに下げて標準画質にしないと60fpsが出ません。1080pではカクつきが気になります。720pなら「Ryzen 7 4700U」と同程度のパフォーマンスを発揮できるので十分です。
一方で「Ryzen 5 2500U」は、720pでも40fpsをなんとか出せるくらいで、60fpsを維持するのは基本的に不可能です。第3世代同様にCPU性能がボトルネックになっている可能性があります。Ryzen 5 2500UでGTA 5を快適にプレイするのは、残念ながら難しそうです。
ウィッチャー3
引用元:https://www.spike-chunsoft.co.jp/witcher3/world/index.php
「ウィッチャー3 ワイルドハント (以下ウィッチャー3)」は、オープンワールド型のRPGです。2015年にリリースされた本作品は、3部作の集大成として大きな注目を集めました。一方で、オープンワールドということもあり、かなり負荷が高いタイトルでもあります。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でウィッチャー3のフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | ウィッチャー3 ワイルドハント (ウィッチャー3) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) 720p (1280×720) |
1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 標準画質 | 低画質 |
fps(フレームレート) | 15~25前後 (1080p) 30~40前後 (720p) |
30~40前後 (1080p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=FSTQD-zKAfY
https://www.youtube.com/watch?v=F7H3ITvWGPQ
「Ryzen 7 4700U」では、解像度を720pに下げたとしてもフレームレートは40以下の場面が多く、少しカクつきが気になります。
「Ryzen 7 2700U」は冒頭のムービーシーンなら、1008pの低画質設定で30~40fpsを維持できるようです。ただし、描画オブジェクトの多い複雑なフィールドや敵の多い場面では、30fpsを大きく割り込む場面があるかもしれません。720pでプレイする方が無難です。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、ウィッチャー3のフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | ウィッチャー3 ワイルドハント (ウィッチャー3) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) 720p (1280×720) |
720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 低画質 | 高画質 標準画質 低画質 |
fps(フレームレート) | 20~30前後(1080p) 40~50前後 (720p) |
10~20前後 (高画質) 20~30前後 (標準画質) 25~35前後 (低画質) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=lZNM-Ie4fM4
https://www.youtube.com/watch?v=pUkf30Y2sd8
「Ryzen 5 4500U」では、解像度を720pにして画質設定を下げれば、40fps以上を安定して出すことができます。一方で、フルHDにすると30fpsを割り込むため、カクつきが気になるかもしれません。720pの低画質設定でプレイする方が良いでしょう。
一方で「Ryzen 5 2500U」は、720pの低画質に設定しても30fps以下の場面があります。特に、フィールドが広大なシーンではフレームレートが急激に低下して、カクつきが気になることも。そのため、快適なプレイは難しいかもしれません。
マインクラフト
引用元:https://www.minecraft.net/ja-jp/about-minecraft
「マインクラフト」は、サイコロ型のブロックを積み上げて世界を構築するゲームです。2011年にリリースされたということもあり、基本的には負荷はかなり軽めなのでRyzenのAPUなら余裕のあるパフォーマンスを発揮できます。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でマインクラフトのフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | マインクラフト | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 1080p (1920×1080) |
グラフィック品質 | 高画質 | 最高画質 高画質 標準画質 低画質 |
fps(フレームレート) | 100~200前後 | 平均112 平均174 平均235 平均358 |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=TuxSuaH9xuk
https://www.gpucheck.com/game-laptop/minecraft/lenovo-thinkpad-e585/
「Ryzen 7 4700U」の場合は、フルHDの高画質設定でも安定して100以上のフレームレートが出ました。100を下回ることはまれで、描画オブジェクトが少ない場合は200fpsを超えることもあります。何も心配する必要がない余裕のパフォーマンスだと言えるでしょう。
「Ryzen 7 2700U」も同様で、詳細なベンチマークデータによると最高画質でも平均100fpsを上回るようです。解像度を1440pに上げても、高画質設定以下なら平均フレームレートは90を超えます。パフォーマンスに余裕があるので快適なプレイができるでしょう。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、マインクラフトのフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | マインクラフト | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 1080p (1920×1080) 768p (1366×768) |
グラフィック品質 | 高画質 | 高画質 |
fps(フレームレート) | 100~200前後 | 100~150前後 (1080p) 100~150前後 (768p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=ItqEBwKjlys
https://www.youtube.com/watch?v=-MrhrODE23A
「Ryzen 7」の場合と同じように、「Ryzen 5 4500U」もフルHDの高画質設定で余裕のあるパフォーマンスです。狭い場所で描画オブジェクトが少なくなると、フレームレートが200を超えることもあります。画質設定をさらに上げても、60fps以上は維持できるでしょう。
「Ryzen 5 2500U」も同様で基本的には余裕がある一方で、解像度を下げてもパフォーマンスが大きく向上するわけではないようです。基本的には余裕のスペックですが、カメラの高度が高くなると、フレームレートが60~70近くまで低下することがありました。
PUBG
「PlayerUnknown’s Battlegrounds (以下PUBG)」は、2017年にリリースされたバトルロイヤルゲームです。アクション要素が強いため比較的負荷が強く、オンライン対戦がメインなのでスペックが要求されます。それぞれのAPUのパフォーマンスを見ていきましょう。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でPUBGのフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | PlayerUnknown’s Battlegrounds (PUBG) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 720p (1280×720) | 1080p (1920×1080) |
グラフィック品質 | 最低画質 (描画距離最大) | 最低画質 (描画距離最大) |
fps(フレームレート) | 30~40前後 | 25~35前後 |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=1NHV0o28i7M
https://www.youtube.com/watch?v=suFx2nwe_BA
「Ryzen 7 4700U」は最低画質に設定すれば、720pで安定して30fps以上のフレームレートが出ます。1080pでプレイすると30fpsを下回る場面が多くなるでしょう。オンラインのバトルロイヤルゲームということもあり、快適なプレイは難しいかもしれません。
「Ryzen 7 2700U」は1080pの最低画質設定で、フレームレートは25~35前後となります。描画距離を下げても大きな変動はなく、30fps前後で安定するようです。Ryzen 7 4700Uの場合と同じく、ラグが大きいため解像度を下げても滑らかな動作は難しいでしょう。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、PUBGのフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | PlayerUnknown’s Battlegrounds (PUBG) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 最低画質 | 最低画質 |
fps(フレームレート) | 25~35前後 | 10~20前後 (1080p) 15~25前後 (900p) 20~30前後 (720p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=H_vWXtfC9B4
https://www.youtube.com/watch?v=W7T8jnSCBEY
「Ryzen 5 4500U」では、最低画質に設定してもフレームレートが30を割り込むことが多いので、快適なプレイは難しそうです。フィールドによっては40を超えることもありますが、描画範囲が少し広くなるとカクつきが気になって快適なプレイができません。
「Ryzen 5 2500U」だとさらに厳しくなります。720pの最低画質に設定しても、30fps以下のシーンが目立ちました。1080pの場合はプレイが困難なほどで、上空の輸送機からHALO降下するときは、描画範囲が広大なためフレームレートが10を切ることもあります。
Apex Legends
引用元:https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends/about
「Apex Legends」は2019年にリリースされたバトルロイヤルゲームです。先ほどの「PUBG」と同様のジャンルですが、PUBGと比べると負荷は少し軽い傾向にあります。そのため、画質設定によってはRyzenのAPU単体でもプレイ可能です。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でApex Legendsのフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | Apex Legends | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 768p (1366×768) |
グラフィック品質 | 低画質 | 低画質 |
fps(フレームレート) | 40~50前後 | 40~50前後 |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=UIZMq2l-COA
https://www.youtube.com/watch?v=uzYqlt9QFBM
「Ryzen 7 4700U」では、低画質設定にすると1080pでもそれなりのフレームレートが出ます。平均値は40~50なので多少のカクつきは感じますが、プレイできないレベルではありません。解像度を720pに下げれば快適なプレイができるでしょう。
一方で「Ryzen 7 2700U」で平均40~50前後のフレームレートを出すためには、解像度を768pに下げる必要があります。フィールドや戦闘の激しさによってはさらに低下しますが、30fpsを低下するシーンはほとんどないようです。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、Apex Legendsのフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | Apex Legends | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) 720p (1280×720) |
720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 低画質 | 低画質 |
fps(フレームレート) | 35~45前後 (1080p) 45~55前後 (720p) |
30~40前後 |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=W85tIigNcSs
https://www.youtube.com/watch?v=feAxHtv9bv8
「Ryzen 5 4500U」では解像度720pで低画質設定にすると、平均して45~55前後のフレームレートでプレイできます。1080pだと40fps前後です。屋内では60fps近くなる場面もあるので、内蔵グラフィックスとしてはかなり優秀なパフォーマンスだと言えるでしょう。
「Ryzen 5 2500U」だとフレームレートが少し下がり、720pの低画質設定で30~40前後です。「Adaptive Resolution (可変解像度)」を有効化すれば50~60fpsくらいになるシーンもありますが、解像度が下がるのでかなりボヤけた感じになってしまいます。
Microsoft Flight Simulator
引用元:https://www.xbox.com/ja-JP/games/microsoft-flight-simulator
「Microsoft Flight Simulator (以下MFS)」は、マイクロソフトが開発したフライトシミュレーターです。世界各地の風景を極めてリアルに再現していますが、それだけに超重量級のタイトルとなっています。そのため、RyzenのAPUではプレイするのが困難です。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でMFSのフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | Microsoft Flight Simulator (MFS) | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 720p (1280×720) | 1080p (1920×1080) |
グラフィック品質 | 低画質 | 最高画質 高画質 標準画質 低画質 |
fps(フレームレート) | 20~30fps | 平均3 (最高画質) 平均8 (高画質) 平均13 (標準画質) 平均23 (低画質) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=DxUEzh8bDd8
https://www.youtube.com/watch?v=DxUEzh8bDd8
「Ryzen 7 4700U」では解像度を720pに下げたうえで画質設定を一番低くしても、平均30fpsに到達しません。カクつきが気になるところですが、解像度をさらに低くすると画面がボケて見づらくなってしまいます。そのため、快適なプレイは極めて困難です。
「Ryzen 7 2700U」でも同様で、1080pの低画質設定で平均20前後のフレームレートとなります。また、フライトシミュレーターではコックピット視点が欠かせませんが、計器の更新などの演算で負荷が増すため、フレームレートはさらに低下してしまいます。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」に関するデータは、残念ながら計測することができません。なぜなら、これらのAPUはMFSをプレイするためのスペックを満たしていないから。MFSはそれだけ負荷の高いタイトルだということでしょう。
フライトシミュレーターは描画範囲やテレイン(地形)データが膨大なため、他のジャンルのゲームより要求スペックが高くなります。MFSは現在のところ最高峰の性能を持つ「GeForce RTX 3090」でさえ、フルHDで60fpsを出せないほどのタイトルなのです。
フォートナイト
引用元:https://www.epicgames.com/fortnite/ja/creative
「フォートナイト」は2017年にリリースされたオンラインのバトルロイヤルゲームです。バトロワ系タイトルとしては他よりも負荷が軽いため、RyzenのAPUなら比較的快適にプレイできます。各APUのベンチマーク結果を見ていきましょう。
Ryzen 7 4700U・Ryzen 7 2700U
「Ryzen 7 4700U」と「Ryzen 7 2700U」でフォートナイトのフレームレートを検証すると、次のような結果になりました。
ゲームタイトル | フォートナイト | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 4700U | Ryzen 7 2700U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 7(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 10(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 低画質 | 低画質 |
fps(フレームレート) | 50~60前後 | 30~40前後 (1080p) 40~50前後 (900p) 50~60前後 (720p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=KBqko4aRtN8
https://www.youtube.com/watch?v=eZLkFJYY9Rk
「Ryzen 7 4700U」はかなりパフォーマンスが高く、1080pでも低画質設定なら50~60fps前後でプレイできます。地形が入り組んでいる場所や敵が多い場面ではフレームレートが低下しますが、解像度を720pに下げれば安定して60fpsを維持できるでしょう。
「Ryzen 7 2700U」はパフォーマンスが低めですが、720pの低画質設定なら50~60fpsでプレイできます。シーンによってはフレームレートが低下しますが、プレイできないほどラグが出るわけではありません。APU単体でも十分に楽しめるレベルだと言えます。
Ryzen 5 4500U・Ryzen 5 2500U
「Ryzen 5 4500U」および「Ryzen 5 2500U」で、フォートナイトのフレームレートを検証した結果は次のとおりです。
ゲームタイトル | フォートナイト | |
---|---|---|
CPU | Ryzen 5 4500U | Ryzen 5 2500U |
GPU | AMD Radeon RX Vega 6(オンボードグラフィックス) | AMD Radeon RX Vega 8(オンボードグラフィックス) |
解像度 | 1080p (1920×1080) | 1080p (1920×1080) 900p (1600×900) 720p (1280×720) |
グラフィック品質 | 低画質 | 低画質 |
fps(フレームレート) | 50~60前後 | 35~45前後 (1080p) 40~50前後 (900p) 50~60前後 (720p) |
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=S6uk8HPL0dY
https://www.youtube.com/watch?v=yvPQ4xgtLok
「Ryzen 5 4500U」もパフォーマンスが安定しており、1080pでも低画質設定なら50~60前後でプレイできます。高い解像度でも快適にプレイしやすいのは大きな魅力です。
「Ryzen 5 2500U」では、720pの低画質に設定すると50~60fpsとなります。フレームレートは屋内だと高くなり、木々が生い茂る森や水の近くに行くと低下することが多いです。1080pでも30fps以上を維持できるのは、素晴らしいパフォーマンスだと言えます。
まとめ
AMDのRyzenはコストパフォーマンスが高いCPUです。特に型番の末尾に「G」や「U」が付いているモデルは、グラフィックスチップを内蔵しているのでグラボなしでもゲームをプレイできます。
今回検証した7タイトルは、どれも人気が高いゲームばかりです。負荷が高いので解像度や画質設定を下げる必要はありますが、ほとんどは「Ryzen 7 4700U」「Ryzen 7 2700U」「Ryzen 5 4500U」「Ryzen 5 2500U」でプレイできます。
ただし、「ウィッチャー3」や「PUBG」は負荷が高いため、APU単体では快適にプレイできないことがあります。「Microsoft Flight Simulator」はプレイできないので注意が必要です。Ryzenの内蔵グラフィックスを活用して、ゲームを手軽に楽しみましょう。