AMD Ryzen 3000&5000シリーズに対応!おすすめマザーボード・チップセット10選
AMD製CPUであるRyzenは自作PCユーザーを中心に人気が高まっています。そんな自作PCにおいて、最も重要なパーツであるCPUと同時に選ばなければならないものの一つがマザーボードです。
自作PCを作るうえで「パソコンとして満足に動けば十分」という人もいれば、「オーバークロックをしたい」「マルチGPUを使いたい」というヘビーユーザーもいます。同じCPUで違う要望に応えられるのは、マザーボードの違いによるところが大きいのです。
では具体的にRyzen向けにどのようなマザーボードがあるのでしょうか?マザーボードに搭載されたチップセットの違いと併せて、おすすめのマザーボードを紹介します。またご自身のPCのマザーボードを確認する方法は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
マザーボードとは
マザーボードは各種パーツの取付土台となる基盤であり、各種パーツ同士を繋げる配線としての役割もしています。マザーボードを製造しているメーカーとしては、「ASUS」「GIGABYTE」「ASRock」「MSI」等があります。
ブランド | 特徴 |
---|---|
ASUS | 業界最大手クラスのメーカー。「ROG」「TUF GAMING」などのブランドを扱い、マザーボード以外にもグラフィックボードなどを製造 |
GIGABYTE | ASUSと並ぶ大手。ゲーミングブランドとして「AORUS」を手掛ける。ゲーム用途以外のマザーボードも幅広く製造 |
ASRock | もともとはASUSの子会社。2021年現在は技術・資本ともに独立。ニッチな需要にも対応したマザーボードのラインナップが多め。 |
MSI | ゲーミングマザーボードだけでも「MEG」「MPG」「MAG」と3ブランドを展開。 e-sportsにおいても積極的にスポンサー契約を結んでいるメーカー |
各メーカーのRyzen向けマザーボードのブランド
代表的な4メーカーが展開する、AMD Ryzen向けのマザーボードのブランドの一覧は以下の通りです。ハイエンドからローエンドまでまとめています。
ASUS | GIGABYTE | ASRock | MSI | |
---|---|---|---|---|
ハイエンド | ROG | AORUS MASTER | Phantom geming、Taichi | MEG |
ミドルレンジ | AORUS PRO | MPG | ||
TUF GAMING | GIGABYTE Gaming | Extreme | MAG | |
ローエンド | PRIME | Ultra Durable | Steel Legend、Pro | PRO |
注意点としては採用されているチップセットなどによって店頭での実売価格が異なり、一部で逆転するケースもあります。
AMD Ryzenシリーズ向けのチップセットの種類
ブランドだけでなくマザーボードに搭載されるチップセットについても、それぞれ見ていきましょう。
チップセットはマザーボードに搭載された各種パーツのコントロールユニットです。CPUやメモリーのオーバークロック動作などを行う事が出来るなどハードウェアの機能を拡充していく上で違いが出てきます。そこで代表的なチップセット5つを表にまとめました。また、チップセットについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
チップセット | B450 | X470 | A520 | B550 | X570 |
---|---|---|---|---|---|
チップセット | Soket AM4 | Soket AM4 | Soket AM4 | Soket AM4 | Soket AM4 |
対応世代※1 | 1000、2000,3000、5000シリーズ 2000、3000、4000APUシリーズ |
1000、2000,3000、5000シリーズ 2000、3000、4000APUシリーズ |
3000,5000シリーズ 4000APUシリーズ |
3000,5000シリーズ 4000APUシリーズ |
2000、3000、5000シリーズ 3000,4000APUシリーズ |
チップセット内蔵PCIe世代 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 4.0 |
チップセット レーン数 | 6 | 8 | 6 | 8 | 16 |
CPU内蔵PCIe世代 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 4.0 | 4.0 |
オーバークロック | 可能 | 可能 | 不可 | 可能 | 可能 |
クラス | ミドルレンジ | ハイエンド | ローエンド | ミドルレンジ | ハイエンド |
※1: 適切なBIOSバージョンとなっていることが前提
対応している世代や「オーバークロックをしたいか否か」によって、チップセットを選び「ハイエンドモデルを購入するか」「ローエンドモデルを購入するか」「どのブランドのマザーボードを買うか」を決めると良いでしょう。
ちなみにRyzenは初代からAM4ソケットを継続して採用しているため、マザーボードの対応ソケットは同じ。今後DDR5メモリの採用等に伴って次世代ソケットへの移行があるのではないかという予測もされています。
Ryzenシリーズ向けのマザーボードの選び方
マザーボードは各パーツの取り付け土台となる重要なパーツであり、機能の拡張性にも大きく影響を与えます。特にRyzenユーザーの方に向けて、失敗しないマザーボードの選び方を3つご紹介します。
使用用途
使用用途によって選ぶべきマザーボードは、事前にある程度絞り込めます。
自作PCユーザーが、仮に「CPUのオーバークロックをやりたい」と考えていたとしましょう。オーバークロックが可能なマザーボードはチップセットで決まりますので、上記のケースではA520チップセットは選択肢から除外されます。
また「Ryzenの1000シリーズを使いたい」となった場合、BIOSで対応しているB450やX470などを選択する事になります。500シリーズのチップセットは旧世代のRyzenには対応していない為です。
この様にまずはパソコンを使用する環境や条件を明確に決め、それに合致するマザーボードを探すのが良いでしょう。
コストパフォーマンス
同じような機能が備わっているマザーボードが複数あるのであれば、より安価な製品である方が経済的です。
例えばサウンドについて考えてみましょう。オンボードサウンド機能も近年では高音質化が進んでいます。サウンドカードを追加する予定がないのなら、オンボードサウンド機能が高いマザーボードを選んだ方が良いでしょう。
逆に気に入っているサウンドカードを使いたいという人にとっては、いくら高性能なオンボードサウンド機能があっても無駄です。
マザーボードは搭載するパーツによって、パソコンの機能を拡充させる事ができます。マザーボード単体だけではなく、用途や搭載したい機能も考慮して決めるのがおすすめです。
デザイン
デザインもマザーボード選びの重要なポイント。イルミネーション用のLEDの有無など、ユーザーの好みに合わせた機能もあり、組み合わせるPCケースによってインテリアとしての方向性も変える要素となってきます。
また「見た目」だけでなく機能面でもデザインは重要です。例えばM.2や、拡張スロットの配置です。
グラボが取り付けられるであろうPCIe 16×のスロットの下段にM.2が配置されると、M.2 SSDの排熱が妨げられます。使用するグラボの排気タイプやヒートシンクの取り付けを考慮すべきでしょう。
逆に上段でCPUソケットの傍にある場合は、トップフロー型CPUクーラーを採用する事で風が当たり、排熱しやすくなると考えられます。
背面のIOパネルはUSBなどが配置されることもあり、一目で機能が分かる部分です。USB Type-Cの有無をチェックしたり、BIOS書き換え関連のスイッチやUSB端子があるかも確認しましょう。バックパネルと一体型デザインとなっていることもあります。
AMD Ryzenシリーズ向けのおすすめマザーボード10選
Ryzen向けマザーボードは各社様々なモデルを出しています。チップセットやマザーボードの規格サイズの組み合わせによって、バリエーションも豊富。
そんな中から各チップセットから2種、合計10種のマザーボードを紹介したいと思います。
- B450:ASUS PRIME B450M-A、GIGABYTE B450 AORUS PRO WIFI [Rev.1.0]
- X470:ASRock X470 Taichi Ultimate、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI [Rev.1.1]
- A520:ASRock A520M-ITX/ac、MSI MAG A520M VECTOR WIFI
- B550:MSI MEG B550 UNIFY、ASUS TUF GAMING B550M (WI-FI) ZAKU II EDITION
- X570:ASUS ROG CROSSHAIR VIII FORMULA、ASRock X570M Pro4
ASUS PRIME B450M-A
引用元:ASUS
チップセット | B450 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | microATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 1本 |
SATA | 6本 |
ワイヤレス機能 | なし |
価格 | 7,980円 |
こちらのマザーボードは実際に筆者も使っているのですが、グレードとしてはエントリークラスで、特に不自由なく使えています。BIOSアップデートをすれば5000シリーズも搭載可能。
パソコンを組むにあたっては他のマザーボードを選択することもできましたが、決め手となったのがM.2スロットの配置。トップフローのCPUクーラーを搭載する事で、熱くなりやすいNVMe SSDに対して風を当てることができるためです。
GIGABYTE B450 AORUS PRO WIFI [Rev.1.0]
引用元:GIGABYTE
チップセット | B450 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | microATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 1本 |
SATA | 6本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 12,970円 |
GIGABYTEのブランドとして定評がある「AORUS」の製品です。
GIGABYTE B450 AORUS PRO WIFI [Rev.1.0]は、チップセットが旧世代という事もあり2021年6月時点で価格が安め。エントリークラスよりやや上の価格帯で、性能に優れたマザーボードが手に入ります。
バックパネルは一体型となっており、DVI端子が付いているのも特徴。M.2は2つともにヒートシンク付きとなっており、発熱しやすいNVMe SSDに対応しています。
ASRock X470 Taichi Ultimate
引用元:ASRock
チップセット | X470 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 2本 |
SATA | 6本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 38,710円 |
X470は後継となるX570が登場したこともあり、2021年6月時点で市場での流通量が減少。ASRock X470 Taichi Ultimateは、2021年6月時点の現行品として数少ないX470マザーボードになります。
CPUソケットの傍にヒートシンク付きM.2を備え、トップフロー型CPUクーラーとの相性が良好。また16×のPCIeスロットの間隔が広くとられており、マルチGPU時の吸排気にも長けています。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI [Rev.1.1]
引用元:GIGABYTE
チップセット | X470 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 2本 |
SATA | 6本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 34,418円 |
2021年6月時点で出回っているX470マザーボードの一つ。
VRM周りが10+2フェーズとなっており、更にフィン型ヒートシンクを採用。安定した電源供給を行える設計となっています。また見た目としては各所に設けられたLEDで、メモリスロットや拡張スロットが光るという特徴があります。
ASRock A520M-ITX/ac
引用元:ASRock
チップセット | A520 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | Mini ITX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 2本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 1本 |
SATA | 4本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 10,136円 |
A520を採用したエントリークラスのMini ITXマザーボード。Mini ITXはコンパクトサイズのパソコンを組む時に使われるマザーボードなので、機能面でも省略化されています。
小さなマザーボードなのですがWi-Fii用のアンテナが最初から組まれており、USBも数が少ないながらもType-Cが使われているなど、制約がある中でも必要とされる機能を搭載しています。
MSI MAG A520M VECTOR WIFI
引用元:msi
チップセット | A520 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | Mini ITX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 2本 |
最大メモリ容量 | 64GB |
M.2 | 1本 |
SATA | 4本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 9,436円 |
A520チップセットを採用したゲーミングマザーボード。
A520はエントリークラスのチップセットですが、ハイエンドCPUにも対応するためにVRM周りに大きなヒートシンクを搭載。またCPU近くのM.2スロットにもヒートシンクを搭載するなど、冷却に強みを持つマザーボードです。
MSI MEG B550 UNIFY
引用元:msi
チップセット | B550 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 128GB |
M.2 | 4本 |
SATA | 6本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 36,664円 |
B550チップセットを採用した、ハイエンドゲーミングマザーボード。
VRM周りの冷却機構はもちろんの事、4本のM.2スロット全てにヒートシンクを搭載しています。PCIeスロットも近年の重量級グラボの重みに耐えられるように補強されています。一方でゲーミングマザーボードながら、LEDなどのイルミネーションは省かれており、デザインとしてはシンプルです。
ASUS TUF GAMING B550M (WI-FI) ZAKU II EDITION
引用元:ASUS
チップセット | B550 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | Micro ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 128GB |
M.2 | 2本 |
SATA | 4本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 22,980円 |
B550を採用したミドルクラスマザーボード。
このマザーボードは機動戦士ガンダムとのコラボレーションモデルで、シャア専用ザクⅡの意匠を各所に取り入れられています。このマザーボード以外にも、PCケースやCPUクーラーにも同様のコラボレーションモデルがあり、シャア専用ザクⅡをイメージしたゲーミングPCが完成します。
ASUS ROG CROSSHAIR VIII FORMULA
引用元:ASUS
チップセット | X570 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 128GB |
M.2 | 2本 |
SATA | 8本 |
ワイヤレス機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Bluetooth |
価格 | 53,878円 |
X570チップセットを採用したハイエンドゲーミングマザーボード。
バックパネルはType-Cを含めたUSBがびっしりと並んでいて豊富。一方でグラボを搭載する事を前提としているためか映像出力端子はありません。また小型ディスプレイを搭載しており、各パーツの診断を行う機能があります。
ASRock X570M Pro4
引用元:ASRock
チップセット | X570 |
---|---|
ソケット | Soket AM4 |
フォームファクタ | Micro ATX |
メモリタイプ | DDR4 |
メモリスロット | 4本 |
最大メモリ容量 | 128GB |
M.2 | 2本 |
SATA | 8本 |
ワイヤレス機能 | なし |
価格 | 20,455円 |
X570チップセットを採用したエントリークラスマザーボード。
特筆すべきなのがフォームファクタ。Micro ATXでX570チップセットを搭載しているマザーボードは貴重で、筆者が探した限りでは他に見つかりませんでした。ニッチな需要にも応える製品づくりを行うASRockならではのマザーボードと言えるかもしれません。
まとめ
既製品で販売されるパソコンにおいては語られることの少ないマザーボードですが、自作PCではパソコンの機能を左右する重要なパーツとなります。
マザーボードは近年「ゲーミング向け」に該当する製品が増えていますが、一方で「オーディオ向け」「オーバークロック向け」といった少しニッチな用途向けのマザーボードも存在します。また最近はゲーミングPCを中心に、PCケースのパネルが透明な「魅せるパソコン」というのも増えました。一番大きくて目立つパーツであるマザーボードには、機能性以外の魅力も求められ始めています。
これから自作PCに挑戦てみたいという方はCPUやGPUだけでなく、マザーボードにも目を向ける事でパソコンとしての完成度や満足度があがります。マザーボード選びもまた自作PCの醍醐味として楽しんでみてください。