PCケースのサイズで何が違う?サイズ別メリット・デメリットと選び方まとめ
PCパーツを収納する箱である、PCケース。各パーツの取付土台やフレームという役割があり、特に排熱処理能力を左右する重要パーツになります。また搭載可能なマザーボードの大きさはPCケースに左右されるので、間接的にPCスペックを左右します。
そこで今回は、PCケースのサイズと、それによるメリット・デメリットについて解説します。
PCケースのサイズ・規格を知ろう
PCケースは形状によってサイズ・規格・主な用途などが異なります。まずは主な形状と規格、用途を表にまとめました。用途によって「どの形のケースが自分に向いているか」検討してください。
サイズ | 重量 | 主な用途 | |
---|---|---|---|
キューブ型 | 幅:250~500㎜ 奥行:250~500㎜ 高さ:250~500㎜ 立方体に近い形状になる |
2.5~12kg | 省スペース化とデザインの両立 |
マイクロタワー型 | 幅:175~200㎜ 奥行:350~450㎜ 高さ:~350 |
4~6kg | 省スペース化(ミニタワーより若干小さい) |
ミニタワー型 | 幅:150~200㎜ 奥行:350~450㎜ 高さ:350~450㎜ |
3.5~7kg | 省スペース化と拡張性の両立 |
ミドルタワー型 | 幅:200~250㎜ 奥行:400~500㎜ 高さ:400~550㎜ |
7~12kg | 大型化による冷却性能の向上 |
フルタワー型 | 幅:250~300㎜ 奥行:500~650㎜ 高さ:500~650㎜ |
10~25kg | 冷却性能の向上と搭載パーツの収容力 |
なお筆者は「thermaltake Core V21」というmicroATXマザー対応のキューブ型PCケースを使っています。メッシュパネル採用で通気性が良好。天板、サイドパネル、底面の寸法が一緒で入れ替えが可能で、マザーボードの天地逆配置も可。同じPCケースを2段積み重ねて運用することもできます。
ラジエーターの搭載箇所が正面1+サイド2で合計3か所あります。本格水冷で高い冷却性能が期待できます。
PCケースの選び方
続いてPCケースの選び方をご紹介します。
フォームファクターの種類で選ぶ
PCケースで最も大きな規格は「ATX」です。大きなケースであれば、選択できるマザーボードや搭載できるパーツの大きさにも余裕が生まれます。
引用元:Intel
ケースの規格と特徴は以下の通りです。
ATXケース | 収容性が高い 大きな冷却機構が組み込める |
---|---|
micro ATXケース | コストパフォーマンスに優れる |
Mini-ITXケース | 省スペース化に向いている ハイエンド化は難しい |
設置場所にゆとりがあるなら、ATXマザーボード搭載のPCケースを選べば問題ありません。拡張性も高く、冷却性能にも優れています。ドスパラならGALLERIA XA7C-R36、ツクモならG-GEAR GA7J-H214/ZBのようなミドルタワーモデルを選ぶと良いでしょう。
「静音性重視」か「冷却性重視か」で選ぶ
静音性重視の場合はパネルにスポンジなどの吸音材を使う事があります。これにより内部の動作音を漏らさないようにするのですが、ホコリが貯まりやすく排熱しにくくなります。
冷却性重視の場合はファンやラジエーターなどの設置場所が多いほど有利です。ファンの数を増やして回転数を落とせば、ある程度の騒音値は下げることができます。パソコン工房のLEVEL-R969-LC129K-XAX-ZETA DIVISIONなどは、CPUクーラーが360㎜簡易水冷搭載となっているので高い冷却性能と低騒音が期待できます。
静音性、冷却性どちらも空気の出入り口を確保し、スムーズなエアフローの流れを意識することが重要です。
筆者のパソコンの場合は難しいエアフローの考えは無く、殆どメッシュパネルであるため、勝手に熱が自然対流で外に出ていく形になります。
ケース前面ファンも200㎜の低回転ファン、グラボも簡易水冷のRTX3090など、総じてファンの回転数が低い構成のため騒音とは感じない動作音になっています。
各種マウントベイの有無で選ぶ
マウントベイの有無もPCケースの大きさを左右します。
光学ドライブやファンコントローラーを取り付ける場合は5.25インチベイという、PCケース前面にあるマウントを使います。ただ近年ではケース前面にファンやラジエーターを取り付けることも多く、光学ドライブもUSBで接続できるため、5.25インチベイを排したケースも増えています。
HDDやSSDを格納する目的で使われるのが3.5インチベイ、2.5インチベイになります。3.5インチベイは電源付近に2~3台分。2.5インチベイは小さくて薄型なので、ケースの裏配線スペースなどに設けられていることが多くなっています。
配線で選ぶ
最近はマザーボード裏に配線スペースを設けているケースが多いです。ケース内の見栄えが良くなるのもありますが、エアフローの改善効果も期待できます。
筆者のPCでは裏配線が殆どできないケースなので、マザーボード側に配線が飛び出しています。
電源ユニットの規格で選ぶ
電源ユニットの規格としては大型のATXと小型のSFXがあります。近年では小型のPCケースでも配置を工夫する事でATX電源を使える事が多くなってきました。大抵の場合は、ATX電源を選ぶことになるでしょう。
ただしATX電源は高さと横幅には規格があるものの、奥行きは製品によってバラバラ。「奥行きだけ大きい電源ユニット」も中にはあります。使用する電源ユニットの奥行きと、PCケースの奥行きをそれぞれ確認しておきましょう。
PCケースが大きい場合のメリット・デメリット
では、大きいPCケースのメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット
PCケースが大きい場合のメリットは以下3つになります。
- パーツ選びの幅が広がる
- 掃除やパーツ交換が楽
- 冷却性と静音性を高めやすい
パーツ選びの幅が広がる
ケースが大きいとよりたくさんのパーツをケース内に納めることができますので、拡張性が上がります。ストレージを複数追加したり、高性能なファンを複数搭載したりすることも可能です。
清掃やパーツ交換が楽
ケースの内部が広ければパーツ同士の間隔が確保でき、清掃やパーツ交換の際に手を入れるスペースもできるため作業がしやすくなります。
冷却性と静音性を高めやすい
パーツ同士の間隔がある事で空気の通り道=エアフローができることで冷却効率が上がります。エアフローによる冷却効率はファン回転数を下げることを可能とし、静音性を高める事にも繋がります。
デメリット
PCケースが大きい場合のデメリットは以下2つになります。
- 持ち運びが難い
- 高額になりやすい
持ち運び難い
大きなケースになるほど重量も増して持ち運びが難しくなります。ラジエーターを組んでいる場合、冷却水の重さも加わることで見た目以上に重たくなります。
掃除などの理由で移動を行うのであれば、キャスター付PCワゴンに乗せておくことで移動させやすくなります。
高額になりやすい
大型PCケースを採用する理由が「ハイスペックパーツの使用を可能にするため」であり、高額なパーツの採用に合わせてケースが大型化していく傾向にあります。
PCケースが小さい場合のメリット・デメリット
続いて小さいケースのメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット
小さいケースのメリットは以下2つになります。
- 移動が簡単
- 場所を取らない
移動が簡単
抱えて持てるサイズと重量に収まることで、持ち運びしやすくなります。中には持ち運び用のハンドルを備えたケースもあります。
場所を取らない
人によっては狭いデスクスペース環境にPCを設置したいということもあるでしょう。そういった場合には省スペース型のケースが有効です。
デメリット
小さいケースのデメリットは以下3つになります。
- 排熱処理が難しい
- 高スペックなパーツを組めない
- 掃除やパーツ交換が大変
排熱処理が難しい
ケース内のスペースが狭いので、パーツ同士が密接した状態で構成されます。そのため空気の通り道が狭く、ファンを回しても排熱が上手くいきません。
排熱処理が難しい
省スペース設計のパーツはそこまでハイスペックなものを望めません。ハイスペックなCPUやGPUを冷やすには大型クーラーが必要になるので、小さなケースには収まらないのです。
掃除やパーツ交換が大変
小さいケースは、限られた空間に無駄なくパーツを配置することになるため、掃除やパーツ交換をするときに手を入れられるスペースがなく作業性は悪いです。
PCケースはメリット・デメリットを理解して選ぼう
PCケースは大きさによってメリット・デメリットがあります。設置スペースを確保してスペックを重視するのか、省スペースでスッキリさせたいのかなど、自分の目的に合ったケースを選ぶようにしましょう。