液晶パネルの種類(TN・VA・IPS)・目的別の選び方&おすすめ商品6選
今の液晶パネルの主流はTFT液晶
液晶パネルは、電圧を加えることで透明度の変わる液晶分子を利用した表示装置です。液晶分子に電圧をかけることで液晶分子は透明度を変え、バックライトから照らされる光量を調整します。液晶分子で調整された光が、赤、緑、青の3原色からなる極小のカラーフィルターを通ることでカラー画素が作られ、カラーの映像が表示される仕組みです。液晶分子そのものは発光しないので、カラーフィルターがなければ、昔の白黒テレビのように白と黒の濃淡だけで映像が表現されるところに、カラーフィルターを通すことで、3原色の濃淡が細かな点となって表示され、カラー映像になるというわけです。
現在、主流となっているTFT液晶には「アクティブ マトリックス方式」という方式が採用されており、液晶の画素ごとに電気の流れをコントロールする半導体素子(トランジスタ)が備わっています。これにより、画素ひとつひとつを電圧で制御できるため、ムラのない表現ができるようになりました。
TFT液晶パネルは3種類に分類できる
TFT液晶は、駆動方式よってTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式の3種類に分類できます。一般的に性能はIPS>VA>TNの順番で高く、価格も性能に準じます。
液晶パネルにおけるシェアは逆にTN>VA>IPSの順となっており、低価格なことも相まってTN方式の液晶パネルが最大のシェアを誇っています。しかし、用途によってはIPS方式よりもTN方式が向いている場合もありますので、それぞれの駆動方式について、詳しく解説して行きます。
TN方式の仕組みとメリット・デメリット
TN(Twisted Nemati)方式は、ねじれネマティック液晶とも呼ばれています。一列に並んだ分子が、螺旋状にねじれているのが大きな特徴です。電圧がOFFの状態では液晶分子がねじれた状態で一列に並んでいるため、液晶分子が水平に並び、バックライトの光を通過させて画面が「白」になります。電圧がONになると液晶分子が垂直に立ち上がり、最大電圧になったときにバックライトの光を遮って画面が「黒」になるという仕組みです。
他の駆動方式と比べ視野角が狭く、見る角度によって色が変わる色ずれも大きくなるというデメリットはありますが、応答速度が速いためゲームやスポーツ観戦に適しており、価格も安価なものが多いことが魅力です。透過率が高く画面を明るくしてもぼやけづらいのも、ゲームをプレイする上では大きなメリットになります。
<メリット>
- 応答速度が速くゲームやスポーツ観戦に適している。
- 透過率が高く、画面を明るくしてもぼやけづらい。
- 比較的、安価なモデルが多く購入しやすい。
<デメリット>
- 他の駆動方式と比べると視野角が狭い。
- 他の駆動方式と比べると色ずれが大きい。
VA方式の仕組みとメリット・デメリット
VA(Virtical Alignment)方式は、電圧がOFFの状態では、液晶分子が偏光板に対して垂直に並んで光を遮断するので「黒」に、電圧がONの状態では水平に並ぶので、光が通り「白」になります。
VA方式の最大のメリットは電圧がOFFになると完全にバックライトを遮断できるので、他の駆動方式と比べてコントラストがはっきりすることです。一方で、応答速度が他の駆動方式と比較して最も遅く、液晶分子の駆動方向が垂直であるため色ずれも発生しやすいというデメリットも抱えています。応答速度を気にしない風景動画などを視聴する際には、コントラストの聞いた美しい風景を堪能することができます。視野角も広いので、大勢で集まって映画を見るといった用途にも適した駆動方式です。
<メリット>
- コントラストがはっきりしており、美しい映像を楽しむことができる。
- 視野角が広く、いろんな場所から複数でディスプレイを見ることができる。
<デメリット>
- 他の駆動方式に比べて応答速度が遅い
- 他の駆動方式と比べると色ずれを起こしやすい。
IPS方式の仕組みとメリット・デメリット
IPS(In Plane Switching)方式では、水平に寝かせた液晶分子を横方向に回転させることで光量を制御します。電圧がOFFの状態では偏光板に対して90度の角度に位置するため、光を透過させず「黒」に、ONの状態では分子が90度水平に回転して「白」になるという仕組みです。
液晶分子の駆動方向が水平のため、見る角度が変わってもバックライトの透過量が変化しにくく視野角が広いのが大きな特徴で、見る位置による色やコントラストの変化も少なく、映画や写真の鑑賞に向いているディスプレイです。色ずれが少なく発色もよいので、PCでイラストを執筆するイラストレーターや、動画の作成をしているクリエイターなどに愛用されています。
一方でVA方式と比べるとコントラストの面で劣り、価格もすべての駆動方式の中で一番高価なので、シェアの面で他の方式に後れをとっています。また、IPS方式と同様に視野角が優れた進化版ともいえる駆動方式としてADS、AH-IPS、PLSといった種類がありますが、メリットやデメリットはIPS方式に近いものだと考えていただいて大丈夫です。
<メリット>
- 視野角が広くVA方式よりもさらに色ずれが少ない。
- 色ずれが少なく発色もよいのでイラストや動画の作成に向いている。
- すべての性能が平均的に高くあらゆるニーズに対応している
<デメリット>
- コントラストの面ではVA方式が、応答速度ではTN方式が勝っている。
- 性能に比例して高価。
TN・VA・IPS方式の特徴の違い
ここまで各駆動方式のメリットとデメリットを紹介してきましたが、あらためてそれぞれ特徴を表にまとめてみました。
評価のポイントは、下記の5つです。
- 視野角
- コントラスト
- 応答速度
- 色ずれがすくない
- 透過率
液晶を見ることができる位置の広さを表す視野角、画像のメリハリを表すコントラスト、より映像の移り変わりをスムーズに表現するための応答速度、見る位置によって色の変化が起きる色ずれの少なさ、画面を明るくしてもぼやけることなく映像を表示できる透過率、以上5つのポイントで各液晶のメリットとデメリットを一覧にまとめています。
TN方式 | VA方式 | IPS方式 | |
視野角 | △ | ◎ | ◎ |
コントラスト | 〇 | ◎ | 〇 |
応答速度 | ◎ | △ | 〇 |
色ずれがすくない | △ | 〇 | ◎ |
透過率 | ◎ | 〇 | 〇 |
液晶パネルの目的別選び方
それぞれの駆動方式が持つメリットとデメリットを理解したところで、あらためて目的ごとにどの駆動方式が向いているのか、確認してみましょう。
- TN方式……FPSや格闘ゲームなど動きが早いゲーミング向き
- VA方式……広い視野角とコントラストを生かした映像鑑賞や画像の鑑賞向き
- IPS方式……色ずれの少なさを生かしたイラスト製作や、動画作成、写真の編集に向いている。視野角も広いので映像鑑賞やビデオ会議などにも。
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おすすめの液晶パネル6選
ここで各駆動方式の液晶パネルからおすすめのディスプレイを2点ずつ、計6点紹介します。新たに液晶ディスプレイを購入する際の参考にしてみてください。
TN方式: JAPANNEXT JN-T2888UHDR
HDR(ハイダイナミックレンジ)という技術に対応したモニターで、従来のものと比べ明るい部分も暗い部分もくっきりと表現したリアルで深みのある映像が特徴です。Blu-rayディスクやゲームなどがHDRに対応していれば、より色鮮やかな映像を楽しむことができます。
方式 | TN方式 |
サイズ | 28インチ |
解像度 | 4K(3840×2160) |
入力端子 | HDMI1.4×2/HDMI2.0x1/DisplayPortx1 |
TN方式: iiyama ProLite B2875UHSU-1B B2875UHSU-B1B
引用元:https://www.e-trend.co.jp/items/1195818
ゲームプレイ時のフレーム低下を解消し、どんなフレームレートでも、なめらかに表示する「AMD FreeSync™テクノロジー」を採用したディスプレイです。応答速度を改善する5段階のオーバードライブ回路も搭載しており、ゲームのプレイに完全に特化した液晶ディスプレイとなっています。
方式 | TN方式 |
サイズ | 28インチ |
解像度 | 4K(3840×2160) |
入力端子 | DVIx1/D-Subx1/HDMI2.0x1/DisplayPortx1 |
VA方式: プリンストン ULTRA PLUS PTFGHB-32C
引用元:https://kakaku.com/item/K0001194290/spec/
HDRに対応したゲーミングディスプレイ。最大の特徴はゲームへの没入感を演出する面比率16:9の曲面ディスプレイで、フルHDを超えるWQHD(2,560×1,440)解像度により、表示領域が大幅に広がっています。4K出力が可能でWQHD出力に非対応なPS4™Proなどのゲーム機に接続すると、4Kディスプレイとして認識されようになっており、4K映像をディスプレイ側でWQHDに変換して表示する機能も搭載しています。
方式 | VA方式 |
サイズ | 31.5インチ |
解像度 | WQHD(2560×1440) |
入力端子 | D-Subx1/HDMIx2/DisplayPortx2 |
VA方式: DMM.com DKS-4K65DG3
引用元:https://kakaku.com/item/K0001168449/
友人を誘っての映像鑑賞にも適した65インチの大型ディスプレイ。ディスプレイ単体でのUSBメディアサポートも搭載しており、デジカメで撮った画像やビデオカメラで撮影した映像、音楽ファイルなどを単体で再生することが可能です。シンプルなデザインは、店舗用のデジタルサイネージや会議用のディスプレイとしての利用にも向いています。
方式 | VA方式 |
サイズ | 65インチ |
解像度 | 4K(3840×2160) |
入力端子 | D-Subx1/HDMI2.0x3/USBx2 |
IPS方式: ユニーク プロメテウスモニター UQ-PM15FHD
カーボンファイバー素材を使い、液晶の最薄部はスマートフォンより薄い4.3mm、本体重量は600gと、極限まで軽量化を図ったモバイルディスプレイです。HDMI/miniHDMIケーブル、USB Type-Cケーブル、USB Type-C/Type-Aケーブルが付属し、小型PCのメインディスプレイとして、ノートPCのサブディスプレイとして、USB Type-C対応のスマートフォンのミラーリングにと、さまざまな用途での活用が考えられます。
方式 | IPS方式 |
サイズ | 15.6インチ |
解像度 | フルHD(1920×1080) |
入力端子 | miniHDMIx1/USB Type-Cx1 |
IPS方式: EIZO ColorEdge CS2740-BK
引用元:https://kakaku.com/item/K0001203731/
イラストや動画の製作、写真の編集や誌面のデザインなど、あらゆる分野のクリエイターの使用を前提としたディスプレイ。画像や動画の編集に欠かせないAdobe社製ソフトのRGBをほぼカバーする広色域対応しており、Adobe RGBで撮影・現像したデータの色を正しく表示できることが特徴です。また、入力端子には60W給電に対応したUSB Type-Cを搭載しているので、MacBook Pro等のノートPCとモニター付属のUSB Type-Cケーブル1本で簡単に接続でき、そのままノートPCに給電することも可能です。
方式 | IPS方式 |
サイズ | 26.9インチ |
解像度 | 4K(3840×2160) |
入力端子 | HDMIx1/USB Type-Cx1/DisplayPortx1 |
まとめ
液晶ディスプレイの駆動方式と、それぞれのメリットとデメリットについて見てきました。液晶ディスプレイは予算をかければかけるだけ、より高性能で大きなサイズのものを購入できます。この記事を参考に、用途や目的にあった駆動方式やサイズを選んで、購入を検討してみてください。