IntelとAMDの歴史を振り返る【2020年版歴代CPUまとめ】
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CPUとは?
CPUは、Central Processing Unitの略で、プロセッサーと呼ばれることも。パソコンには必ず搭載されるもので、CPUの性能がパソコンの性能に大きくかかわっています。CPUはパソコン内で制御や演算を行っているパーツです。マウス、キーボードなどの入力デバイス、メモリーやハードディスクなどの記憶装置からデータを受け取って処理を行います。CPU自体はとても小さいものですが、パソコンの頭脳といっても過言ではないでしょう。なお、価格はピンキリで、最新の世代からどれだけ古いかで値段が大きく変わります。
CPUの製造メーカーは、Intel(インテル)とAMD(エーエムディー)が有名です。世界のシェアのほとんどを2社が占めています。共にアメリカ合衆国の企業で、Windows・Macを問わず世界中のパソコンにどちらかのCPUが搭載されています。
IntelとAMDの関係性
もともとCPUの製造メーカーはIntelが1強で、AMDはIntelのセカンドソースでした。IntelとAMDがセカンドソースの契約を初めて結んだのは1975年。なお、半導体メーカーは、Intel、AMDなどのメーカーに限らず、セカンドソースの契約が行われることは自体は珍しいことではなく、ごく一般的なことです。
セカンドソースだったAMDが独自のCPUを製造して以降、状況が変わり始めます。Intelも同様に、セカンドソースを必要としなくなったことで、1985年にセカンドソース契約を解消し、ここからAMDとIntelのCPU市場をめぐる戦いが始まっていきます。
Intelが独占状態になりつつある中で、2017年にAMDがRyzenシリーズを発売、現在はAMD人気が復活しつつあります。
2019年にはZEN2アーキテクチャを採用した第三世代Ryzenシリーズを発表。世界初で、Intelよりも先にプロセスルール7nmを採用しています。対応チップセットはX570、X470.B450、X370.B350。Ryzen9、3950Xでの最大ブーストクロックは4.7GHzです。
CPUの進化は速い
CPUはとても進歩が速く、わずか50年足らずの間にとても多くのCPUが発売されては消えて行っています。高速化だけでなく、省エネや発熱量を減らすことなどさまざまな要因でCPUは進化し続けているのです。パソコンの頭脳とも呼べるCPU。CPUの性能は当初、18ヶ月で倍になるとIntelの創始者ムーアが提唱したムーアの法則によって進化してきました。しかし2000年の後半になると、ムーアの法則にも限界が見え始めてきます。そこで料メーカーは省エネやコア数を増やして、マルチタスクを実現して性能を向上するようになりました。
Intelの歴代CPU
Core iシリーズ
2008年から発売され始めたシリーズです。Core i7、i5、i3の3タイプがあります。2018年10月、第9世代が発売。2019年11月現在、このシリーズが最上位シリーズのCPUです。
2019年10月に第10世代が発表、10nmプロセスで作成された、CPUの新しいアーキテクチャーを特徴としています。グレード順にすると、Core i7>Core i5>Core i3といったの順になり、性能、価格が変わります。
Core 2
2006年にリリースされたCPU。初めてデュアルコア技術を採用、2つのコアを搭載しています。コアはCPUの心臓部で、コア数が増えるごとに性能が上がります。コア1つでも十分動きますが、マルチコアになることで、マルチタスクが容易にできるようになりました。
高性能でありながらも、消費電力が少なく発熱量が抑えられています。現在のCore iシリーズにつながっていく商品です。
Celeron
1998年に、Pentium Ⅱの廉価版として製造販売されたシリーズ。Pentium III、Pentium Ⅳ、Pentium M、Intel Core と、各製品とともに発売されています。
AMDとの競争が激しくなったことから、市場占有率を上げるために価格を抑えることが急務となり、同じレベルの性能で低価格のCPUのラインナップが必要となったため生まれています。
こうしたCPUの低価格化によりパソコンの性能の向上と低価格化が実現可能になりました。現在でもCerelonシリーズは格安のCPUとして発売されていて、ローエンドのパソコンに使われています。
Pentium
1993年に発売された、CPU史上、初めて冷却ファンを搭載したCPUです。Pentium Pro、Pentium Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと経て、現在ではCore i3の廉価版として存続しているシリーズ。
これ以前のCPUは、英数字の羅列の商品名でした。Pentiumというブランド名を付けたことで、IntelのCPUと言えばPentiumというイメージが定着したのです。
AMDの歴代CPU
Ryzen
2017年3月から第1世代が発売されています。2019年11月現在で最新のシリーズです。Intelによって独占されつつあったCPU市場に風穴を開けることになった製品です。
Athlonが発売されていた時期にはかなり人気が高かったAMDのCPUも、その後はIntelに水を開けられたままでした。Ryzenの登場により、AMDの人気も復活しつつあります。
Phenom
2007年、IntelのCore 2に対抗して作られた、マルチコアプロセッサー。ただ、期待されたほどの性能を発揮できず、消費電力も高く大きな問題もかかえていたためあまり売れませんでした。
大きな問題を解消して2009年にphenom Ⅱ X4を発売するも、Intelとの性能差やシェアが埋まらないままでAMD人気にかげりが見えてきた時代の製品です。
Athlon
1999年に発売された32ビットCPU。Intel Pentium Ⅲ と激しい性能競争を繰り広げ、クロックではインテルCPUを上回る時期もありました。
CPUバスは互換CPUなのにIntelと互換性を持たず、EV6という独自のバスを採用。Intelと互換性が無かったため自社でチップセットを制作しなければならず、チップセットで苦しむことになった製品です。
K6
1997年発売当初CPU最速を誇っていて、Intelよりも早い初めての互換CPUとしてシェアを拡大していきます。K6はAMDが買収したNexGenの設計を、流用して制作、Socket 7を採用していました。
次世代のCPU、IntelのPentium ⅡがSocket 7ではなくSlot 1 (P6バス) を採用したため、ローエンドのパソコンやSocket 7ユーザーのアップグレードCPUとして人気を博します。Socketを変えるとなるとマザーボードから換えなければならず、CPUのコストだけでなく、さまざまな部品の交換が必要となるためAMDのCPUは重宝されていました。
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CPUの歴史
CPUは1970年代に誕生してから、わずか50年の歴史しかありません。その中でIntelやAMDといったメーカーが制作してきたものは、数年で次世代のCPUに変わっていっています。
ムーアの法則の限界が見え始めている現在では、クロック数を増やす半導体の性能アップだけでなく、コア数などの他の要因によって性能を上げています。今後は、CPUそのものの性能が劇的に向上することよりも、他の要因によってパソコンの性能を引き上げることも重要になるでしょう。
CPUの歴史は、IntelとAMDとの競争の歴史でもあり、両者が努力した結果によって我々、消費者が多大な恩恵を受けていることもまた事実です。