グラボ「GTX」「RTX」の違いや機能差/性能差を解説 | リアルタイムレイトレーシングの有無が重要
NVIDIA製のグラボには「GTX」と「RTX」の2つの違いがあり、特にゲームをプレイする際、種類によって機能や性能に良し悪しが現れます。そこで今回は、両グラボの違いを解説します。
グラボ「GTX」「RTX」の違い | リアルタイムレイトレーシング
NVIDIA製のグラボには「GTX」と「RTX」の2通りがあります。自作PCの組み立てやBTOパソコンの購入時に、どちらを選べばいいのか迷うこともあるのではないでしょうか。
結論から言えば、次のような違いがあります。
- RTX:新しいシリーズ
- GTX:旧型のシリーズ
これからは「RTX」が主流になり、RTXの新しい技術に対応したゲームが増えてくるでしょう。「RTX」で新しく導入された技術は以下の3つです。
- リアルな映像を映し出す、「RTコア」によるリアルタイムレイトレーシング
- FPS(フレームレート)を向上する、TensorコアとAIを用いたNVIDIA DLSS
- 高画質なゲームの生配信が可能になる、NVIDIA Broadcast アプリとNVIDIA エンコーダー NVENC
特に「レイトレーシング」の有無は、技術面でのRTXとGTXの大きな違いです。一方で用途によっては、コストパフォーマンスと性能の両面から見て「GTX」でも十分なケースもあります。
なおリアルタイムレイトレーシングは、よりリアルな映像を映し出す技術になります。従来では表現が難しかった鏡の映り込みや、水面の映り込みと透過など、細かい物理現象までリアルに再現します。
負荷のかかる処理を専門にリアルタイムで行える「RTコア」を搭載して、低負荷ながらリアルな映像を映し出すことができます。
上の画像は、リアルタイムレイトレーシングONとOFFの場合を比較したものです。
左側のOFFの時は炎が車のボディーに映り込んでいませんが、右のONの時はリアルに炎が映り込んでいます。
ただし「RTコア」でハードウエア的に処理するとはいえ、フレームレートはOFFの時より落ちます。フレームレートが必要な場合は、リアルタイムレイトレーシングの画像設定を下げるか、OFFにした方が良いときもあります。
グラボ「GTX」「RTX」の違い | DLSSによるFPS向上
NVIDIA DLSSによるFPS向上も大きな違いです。DLSSの仕組みは「ゲーム内の高画質と低画質の両方をサンプルとして取得・学習し、最終的には低画質から高画質へと変換出力を可能とさせる」というもの。
左のOFFの時の88fpsに比べて、右のONの時は170fpsと2倍近くFPSが向上しています。
AIモデルのトレーニングと定期的な改善も行っているので、DLSSは、パフォーマンスと解像度を向上させながら、時間とともに洗練されていきます。
グラボ「GTX」「RTX」の違い | 高画質での生配信が可能に
自作PCの構築やBTOパソコンの購入目的が「配信」にある場合は、RTXの方がよりおすすめです。RTXシリーズには配信の質を高める5つの機能が搭載されています。
配信の質を高める5つの機能
- 配信画質の向上
- PC1台でゲームしながら生配信が可能
- 音声のノイズが低減され視聴者が聞き取りやすい配信が可能
- バーチャル背景
- カメラの追尾
1. 配信画質の向上
以下の画像は、左がNVIDIA ENCODER NVENCがOFFのソフトウェアエンコード。右がNVENCによるハードウェアエンコード。RTXシリーズの特徴の1つでもある、NVENCによるエンコードが有効化された方が画質が向上します。
明らかに右のNVENCがONの時の方が、画像の細部がぼやけずにくっきりしています。特に文字を見比べるとがわかりやすいですね。
2. PC1台でゲームしながら生配信が可能
負荷のかかるビデオのエンコードをRTXシリーズが肩代わりすることで、CPUの負荷を軽減する機能が搭載されました。CPUに余力がうまれ、システムにゆとりができて安定します。PC1台でゲームと生配信の両方を同時に行っても、CPUがボトルネックにならずに、快適にゲームの生配信が可能になります。
3. 音声のノイズが低減され視聴者が聞き取りやすい配信が可能
音声のノイズやエコーの低減機能も搭載されました。
よくありがちなのが、キーボードのカタカタ音やマイクのノイズ、PCファンの音などバックグラウンドの雑音。これらのノイズを低減して、配信の質を高めることができます。
4. バーチャル背景
配信の際に配信者の背景を切り抜いたり、ぼかしたり、ゲーム画面を背景にすることもより簡単かつ高画質になりました。グリーンバックのスクリーンを設置しなくとも、配信に耐えうるクオリティのバーチャル背景が実現できます。
5. カメラの追尾
オート フレーミング機能で、配信者が常にフレームに収まるように自動でカメラが追尾して、必要ならズームもしてくれます。いちいち手動で画角を変更する必要はありません。
「GTX」「RTX」の性能差 | 「RTX3060Ti」と「GTX1080Ti」の場合
PassMark – G3D Markのベンチマークの結果を参考に、GTXとRTXの性能差を見ていきます。まずは「RTX3060Ti」と「GTX1080Ti」を比較してみましょう。
PassMark|High End Video Card Chart
RTX3060Tiの方が、性能が良いことが分かります。またGTXシリーズは新品の流通量が少なくなってきている点も要注意。中古でグラボを購入した場合、コンディションによって性能差はより開く可能性があります。
「GTX」「RTX」の性能差 | 「RTX3080Ti」と「GTX1080Ti」の場合
PassMark|High End Video Card Chart
RTX3080Tiの方が圧倒的に性能が良いと言えます。性能差は約1.5倍、値段の差は約4.2倍です。「1.5倍の性能差」は小さく感じる方もいるでしょう。しかしDLSSの実装などによって、性能がそのままだとしても処理の負荷が大きく軽減されていることも忘れてはいけません。
おすすめのグラボ|GTXはGTX 1660Super、RTXはRTX 3060 Ti
最後にGTXとRTXから1つずつ、おすすめのグラボを紹介します。
GTXシリーズでは「GTX 1660 Super」がおすすめ
チップ | NVIDIA GeForce GTX 1660 SUPER |
---|---|
メモリ | GDDR6 6GB (192bitメモリバス) |
コアクロック | Boost clock 1,800MHz |
メモリクロック | 14Gbps |
I/F | PCI-E 3.0 x16 |
出力 | HDMI *1/DP *1/DVI-D *1 |
対応 | DirectX 12 |
FAN | デュアルファン 90mm |
補助電源 | 8pin*1 |
メーカー保証 | 3年 |
付属品 | クイックガイド |
現行、新品で出回っているGTXで性能が優れているのは、GTX1660TiとGTX1660Superの2つ。PassMark – G3D Markのベンチマークでは、それぞれ以下の通りの数値です。
- GeForce GTX 1660 SUPER:12771
- GeForce GTX 1660 Ti:11873
旧型のGTXを選択するメリットといえば、価格が安く軽めのゲームが、それなりにプレイできればいいような場合におすすめします。
フォートナイトとApexでの、フレームレートの例は以下の通りです。
Fortnite
DX12 低設定 :平均272FPS
パフォーマンスモード:平均412FPS
APEX
平均171FPS。場面によっては、100FPSまで落ち込むこともあります。144FPSで安定させたい場合はRTX3060以上が必要
RTXの場合は「RTX 3060 Ti」がおすすめ
メーカー | Asus |
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シリーズ | DUAL-RTX3060TI-O8G-MINI-V2 |
製品サイズ | 19.99 x 12.29 x 3.81 cm; 910 g |
商品モデル番号 | DUAL-RTX3060TI-O8G-MINI-V2 |
商品の寸法 | 幅 × 高さ 20 x 12.3 x 3.8cm |
メモリクロック数 | 14GHz |
グラフィックアクセラレータ | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti |
GPUブランド | NVIDIA |
VRAMタイプ | GDDR6 |
VRAM容量 | 8GB |
グラフィックカードインターフェース | PCI-Express x16 |
ワット数 | 750 W |
商品の重量 | 910 g |
新型のRTXでは「新しめの3Dゲームを楽しみたい」「RTXで新しく導入された技術を体験してみたい」、「ゲームを生配信したい」、「動画編集をストレスなく行いたい」などさまざまな需要に対応できます。
RTXで新しく導入されたNVIDIA DLSSで、FPS(フレームレート)が大幅に向上する点も大きなメリットです。
ただしレイトレーシングも楽しむ場合は、RTX3060は力不足気味なのも事実。それ以上の機種が候補。そのため、十分な性能がありつつも購入しやすい値段のRTX3060Tiがおすすめです。
まとめ
「GTX」「RTX」の違いを解説しました。基本的にはRTXの方が最新シリーズであり、性能差はもちろん、負荷軽減に関する技術も進んでいます。そのため新しくグラボを購入するならば、GTXシリーズよりおすすめです。
とはいえゲーム実況を行わないなど、負荷が軽い処理であればGTXシリーズでも十分です。