【自作PC女子図鑑Vol.09 Nyanpiさん】ー見た目度外視! ゲームのために“高性能”を追求した自作PC
ゲーミングの認知度向上や社会的な風潮により、プロゲーミング界において女性プレイヤーの存在感が高まっている昨今。進学や就職ではなく、プロゲーマーの道に進む女性が増えています。
現在、20歳のプロ格闘ゲーマー“Nyanpi”さんもその一人です。高校在学中にプロゲーマーの道へ進むことを選択し、卒業から1年3ヶ月後に、アマチュア強豪が集う男女混合のライセンス発行大会で準優勝。対戦格闘ゲームジャンルでは女性初のJeSU公認プロライセンスを獲得しています。
また、PC販売会社・格猫合同会社の社長でもあるNyanpiさん。“プロゲーマー社長”という異色の経歴を持つ彼女はどのようなPCを自作しているのでしょうか?
PROFILE
Nyanpi
Twitter:@nyanpi55
YouTube:https://www.youtube.com/@nyanpi55
格猫合同会社:https://www.kakuneko55.com/
血液型:A型
出身:大分県
身長:163cm
仕事:プロゲーマー、格猫合同会社 社長
趣味:アクション系ゲーム、ガンプラ、自作PC勉強
好きな食べ物: 納豆、鶏肉
いまハマってること:プロゲーマーに向いた食事の研究
最近うれしかったこと:MGのZガンダムの予約が取れたこと
異色の“プロゲーマー社長”、活動に迫る
ーー自作PCのお話を伺う前に、Nyanpiさんのお仕事についてお聞かせください。現在はプロ格闘ゲーマーをしながら、格猫合同会社の社長としても活動されているんですよね。格猫合同会社はどんなことをしている会社なのでしょうか?
Nyanpi:パソコン販売をメインに、私のプロゲーマー活動のマネジメント、プレイしている『ストリートファイター』の大会の企画・運営などを行っています。ただ、今は自分のプロゲーマーの活動に手いっぱいで会社の方にあまり力を入れられていないので、これから企画や運営に力を入れていきたいと思っています。
ーープロゲーマーの活動は、どのようなスケジュールで動いているんですか?
Nyanpi:基本的には大きな大会に向けて毎日練習をしている感じです。ただ、これまで『ストリートファイターⅤ(以下、ストⅤ)』の大会に出場していたのですが、今年の6月に『ストリートファイター6』がリリースされるので、去年から大会自体が少なくなっています。そのため、今は練習や研究の時間がメインになっていますね。
ーーどれくらいの時間を練習に費やしているのでしょう?
Nyanpi:以前までは1日最低9時間はゲームをプレイしていたのですが、今は短時間集中的にプレイしています。たくさんプレイしても結局集中力を保てる時間って決まっているんですよね。ダラダラ練習している時間がもったいないと思うようになり、短い時間にいろんな戦い方、考え方を試しています。そして、空いた時間をパソコンの勉強や動画作成、その他色々な勉強、会社経営に割り当てています。
高2で格ゲー開始、高3で起業したNyanpiさん 実は“機械音痴”!?
ーーそもそも「高校2年で格ゲー開始」とのことですが、もともとゲームがお好きだったんですか?
Nyanpi:父の影響で3歳の頃にFF11を始めてから、様々なオンラインゲームで遊んでいました。
ーーそこから格ゲーを始めたのには、何かキッカケが?
Nyanpi:いつも通りゲームで遊ぼうとSteamを立ち上げたところ、いつの間にか父が購入した『ストⅤ』がライブラリにあったんです。聞いたことのあるゲームだし遊んでみようかなと思い、始めてみたらのめり込んでしまいました。
ーー『ストⅤ』をプレイして、格ゲーに魅了されたと。
Nyanpi:私自身、もともとソロプレイのゲームが好きなので、遊んでいくうちに「自分に合っているゲームだな」と思うようになりました。ソロだと自分の実力が分かりやすいですし、常に成長を実感できます。勝っても負けても自己責任だからこそ、いろいろ反省して次に繋げていくのが楽しくて。それを特に感じられるのが格ゲーでした。
ーーゲームは趣味として楽しめる中、「プロゲーマー」という職業へ進もうと思ったのにはどんな決め手があったのでしょうか。
Nyanpi:『ストⅤ』を始めた当初はプロゲーマーになろうと考えてはおらず、遊びとしてゲームを楽しんでいました。ただやっていくうちに成長を実感して、もっと上を目指したいと思うようになりました。そこで、「短期間でダイヤ帯(上位ランク)まで強くなれたらプロゲーマーを目指してみよう」と期間と目標を決めてみたんです。その目標が達成できたので、本気でプロゲーマーを目指そうと決めました。
ーーさらに、起業は高校3年生の時にしたとのこと。
Nyanpi:プロゲーマーとして活動をしていく上で収入面が気になったので、一つの収入源としてパソコン販売をしていきたいと法人を立ち上げました。
ーーなぜパソコン販売をしたいと?
Nyanpi:親世代から私の家ではPCパーツメーカーの「ASRock」さんのPCにずっとお世話になっていて、恩返しをしたいという気持ちがあったんです。とはいえ、私自身は機械音痴なんですよ。パソコンのハードウエアのことはあまり詳しくないのですが、法人化していろいろ勉強していくうちにだんだんと好きになってきました。
ーー機械音痴なのは意外でした!
Nyanpi:私の親戚にパソコン関係に詳しい人がいるので、もともと興味はありました(笑)。
「最低限の性能」ではなく、「しっかりと上位のスペック」を
ーーPCを自作したキッカケも親戚の方の影響ですか?
Nyanpi:そうです。FPSで遊んでいて高スペックのPCが必要になったので、親戚の方に「組み立ててみたいんだけど」と相談して、一緒に組み立てました。機械音痴なのでところどころわけが分からないところもあったのですが(笑)、小さい頃から親戚の方がPCを組み立てているところを見ていたので、「あの頃やっていたのはこういうことだったのか!」と答え合わせができた感じで楽しかったです。
ーーでは、組み立てに苦労することもあまりなく?
Nyanpi:組み立て自体に苦労したことはなかったのですが、Windowsをインストールして環境を構築するのが難しかったですね。ネットで情報を調べながら、自分で何とか解決しました(笑)。
PCスペック
マザーボード | ASRock B550 Steel Legend |
CPU | AMD Ryzen9 5900X 12コア24スレッド |
GPU | NVIDIA GeForce RTX3080 10GB |
メモリ | Crucial DDR4 16GB×2 |
ストレージ | ADATA SX8100NP、Crucial CT1000P2SSD8 SanDisk SDSSDA240GWDC、WD60EZAZ |
CPUクーラー | SCYTHE 兜 |
電源 | 玄人志向 KPRW-GA850W/90+ |
ーーハード側の苦労ではなくソフト側で苦労されたんですね(笑)。そんな自作PCはこちらです。自作する上でこだわったポイントを教えてください!
Nyanpi:FPSをプレイするのもですが、動画配信もしようと思っていたので、コア数の多いCPUやハイスペックなビデオカードを選びました。デザインは一旦度外視で、「最低限の性能」ではなく、「しっかりと上位のスペック」を揃えたいなと。親戚の方にオススメしてもらったパーツで組み立てました。
ーーデザインは度外視とのことですが、自作PCをむき出しにしてインテリアのようにしているところに、デザインセンスを感じます。
Nyanpi:ケースに入れるとせっかくのPCが隠れてちょっと寂しい気持ちがあったんですよ。ケース自体が場所を取ってしまうこともあり、むき出しにして好きに小物を置いたり飾ったりできる方がいいなと思っています。
ーーPCの周りに置いてあるもの、飾っているもの、いろいろ気になるものだらけなのですが……まず目に入るのがガンプラです。
Nyanpi:ずっとゲームをやっていると、やっぱりストレスが溜まることもあって。合間に趣味のFPSで遊んだり、ガンプラを組み立てたりして気持ちをリフレッシュさせているんです。
ガンプラは飾ることができるので、基本はPC周りに飾っています。好きな機体を見ながら、「よし! やるぞ!」とゲームへのモチベーションを高めています(笑)。特に赤色の「ガーベラ・テトラ」と、紺色の「ケンプファー」がお気に入りです。
ーー息抜きにもなって、飾れる趣味っていいですね(笑)。また、たくさん並べられているラムネも気になりました。これは飾る用? それとも食べる用?
Nyanpi:食べる用です。練習で気合いを入れたい時に、森永製菓さんのラムネでブドウ糖を取るようにしているんです。血糖値を上げることで集中力を高められるので。また、ずっと同じ味だと飽きてしまうと思い、いろんな味の種類を買い揃えて、PC横に置いています。
とはいえ、明らかにブドウ味の減りが早いという……ブドウ味が一番美味しくて(笑)。
ーーちなみに、高性能なものばかり揃えていると、その分お金もかかりそうな印象がありますが、総額はどれくらいに……?
Nyanpi:総額は約22万円でした。性能はもちろんコストパフォーマンスが良いものを選んだのもこだわったポイントの1つかもしれません。
PCは黒系統が多いからこそ、デバイスは「性能×色のあるもの」に
ーー続いて、使っているデバイスについても教えてください! デバイスも基本的には性能重視ですか?
Nyanpi:性能だけで選んだものがほとんどですが、PC関連のデバイスってどうしても黒系統が多いので、マイクは赤く光るもの、キーボードはレインボーに光るもの、ヘッドホンは白いものなど、色のあるデバイスを選ぶように意識しています。
周辺機器
ケース | まな板 |
キーボード | Logicool G910 |
マウス | Logicool G502 LIGHTSPEED |
マイク | Hyper X Quadcast |
ゲーミングチェア | GTRACING & DXRACER |
スイッチャー | Elgato STREAM DECK |
カメラ | Logicool HD Pro Webcam C920 & Logicool STREAMCAM |
モニターライト | BenQ ScreenBar |
コントローラー | Qanba Obsidian,Logicool Gamepad F310 |
モニター | ASUS 360Hz PG259QN |
キャプチャーボード | AverMedia Live Gamer MINI GC311 |
ーーゲーミングチェアも赤ですね。しかも、GTRACINGとDXRACERを組み合わせているんですね。
Nyanpi:ゲーミングチェアの色に関しては欲しかったものがたまたま赤だっただけなのですが、チェアの座る部分をGTRACING、足部分をDXRACERとキメラみたいに合体しています(笑)。ちょうどいい高さのゲーミングチェアがなかったので、自分で説明書を見ながら組み立てました。
ーー10キーのあるキーボードを選ぶ人と、ないキーボードを選ぶ人がいますが、Nyanpiさんはあるキーボードを選ばれていますね。何に使っているのでしょうか?
Nyanpi:格ゲーは数字の世界なので、メモを取る時、計算する時に10キーを使います。
ーー格ゲーは数字の世界、というのは?
Nyanpi:1つの動きの中にある、何フレームで動いて、何フレームで硬直するといった数字情報をもとに、どう攻撃していくかを考えるんです。ゲームのプレイ画面内にも数字が表示されているので、そのメモを取って計算して技を仕掛けるようにしています。
ーーモニターライトがあるのとないのとで目の負担は変わってきますか?
Nyanpi:明らかに目の痛みが軽減しました。私の部屋のつくり的に、PCの真正面に部屋の照明があって、目に直接光が当たって目が痛かったんです。
それが今では、部屋の電気を消してモニターライトをつけるとだいぶ楽になりました。調べてみたら、PCの周囲の明るさと見ている画面の明るさが同じくらいであれば目へのダメージが軽減されるそうなんです。13,000円と少しお高めのモニターライトですが、目が悪くなるくらいなら買ってよかったと思っています。また、手元も照らしてくれるので、メモを取る時にも便利なんですよ。
プロゲーマーを志す人は自分の実力と用途に合わせてカスタムしてみて
ーー「これから自分でPCを組み立てたい」という方へのアドバイスをお願いします!
Nyanpi:私の親戚のように詳しい方に聞きながら組み立てるのが1番安心です。もしそういう方が近くにいなければ、自分の住んでいる地域のBTOPCショップに相談するのも1つの手だと思います。
また、今はネットにたくさんの情報が載っているので、まずは自分で情報収集をしてみるのもいいのではないかと。私は文字だけだと頭がパンクしてしまうので(笑)、最初にYouTubeで実際に組み立てている動画を見ながらある程度理解して、気になったことや分からないことなどの細かいポイントはブログや記事で理解するようにしています。
ーープロゲーマーを志している人は初心者であってもNyanpiさんと同じように性能重視でPCを組み立てた方がいいと思いますか?
Nyanpi:FPSや動きの激しいゲームなら、もちろん高スペックなPC、モニターなどの周辺機器を揃える必要があります。初心者の方で「軽くゲームで遊びたい」くらいの方ならそこまで高スペックなものは必要ないですが、ある程度の実力がある人はそこそこのスペックのPCを使ってゲームをしていると絶対に不満が出てくるはずです。
あとは、ゲーム配信をしたい人も高スペックなものを揃えた方がいいと思います。動画編集、動画配信はCPUとメモリの性能が低い場合、作業中にPCがすごく重くなってしまいます。なので、プロゲーマーを目指している方は、自分の実力・用途に合わせてPCをカスタムしていくのがいいと思います。
ーーありがとうございます! それでは最後に、今後ご自身が加えていきたいPCのカスタマイズを教えてください。
Nyanpi:実は近々PCを新しく組み替える予定なんです。すべてのパーツを今よりさらに高性能、速いものに交換しようと考えています。
取材後に頂いたNyanpiさんの新作自作PC!
また、今後もむき出しでインテリアのように置こうと思っているので、見た目にも意識していきたいですね。ASRockさんのライブミキサーやマザーボードなど、今までのものより派手な色合いやカッコいいデザインのものを揃えて、“むき出し”を活かしていこうと思っています。
ーー本日はありがとうございました!
ゲームもPCも飽くことなく突き詰めていく姿、「デザイン度外視、性能重視」という突き抜けた考え方、20歳でありながらも自分をしっかり持っているNyanpiさんはとてもカッコいい人だなと思いました。そんなNyanpiさんだからこそ、どこまでも高みを見せてくれそうな予感がします。
ゲーマーとして、会社経営者として、自作erとして、さらにワクワクさせてくれるであろうNyanpiさんの活躍に目が離せません。