目指せ脱初心者!PCパーツごとの役割を知ってスペックを読み解こう【CPU編】
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CPUはPCの頭脳!ほぼすべての処理に影響する重要パーツ
- CPUはわずか3cm×3cm程度の小さいパーツ
CPUはPC全体の性能に与える影響がもっとも大きいPCパーツです。わずか3cm四方のサイズに数十億ものトランジスタが集まっている、PCパーツの花型とも言える存在です。PC向けではIntelとAMDの2メーカーがしのぎを削っています。
- ほぼすべての処理はCPUを通して行われる重要なPCパーツ
一部の例外はあるにせよ、PC上のほぼ全ての処理はCPUを通して実行されます。CPUの性能が低いと、他のパーツがいくら高性能でも全体の処理速度は上がりません。ゲームのために10万円近くするハイエンドなグラフィックボードを積んでも、CPUがエントリーモデルでは意味がありません。グラフィックボードの性能の半分も引き出せないでしょう。自分のPCの使い方にはどの程度の性能のCPUが必要なのか、主要なスペックを読み解けるようになっておきましょう。
CPUの性能を決める3つの主要スペックとは
- クロック周波数:高いほど速く計算できる
クロック周波数は、CPUの性能を表現するもっとも基本となるスペックです。デジタルの世界は電気信号の「オン」と「オフ」を切り替えることで、情報を表現しています。クロック周波数とはこのオンとオフの切り替えを、どのぐらい高速にできるかを表現した数値で、現在はGhz(ギガヘルツ)という単位がよく使われています。1Ghzのクロック周波数は、1秒間に1億回オンとオフが切り替えられるということです。このクロック周波数が高ければ高いほど、そのCPUの計算速度は速くなります。
実際のCPUのクロック数を見てみましょう。Intel Core i9 9900Kは2019年8月時点で最高峰に近いCPUで、i9-9700Kはi9-9900Kの弟分みたいな存在です。
・Intel Core i9-9900K
8コア16スレッド
ベースクロック周波数:3.6GHz
ターボブーストクロック周波数:5.0GHz
・Intel Core i9-9700K
8コア8スレッド
ベースクロック周波数:3.6GHz
ターボブーストクロック周波数:4.9GHz
※ベースクロックは通常時、ターボブーストクロックは高い負荷を処理する際の周波数
クロック周波数だけ見るとターボブースト周波数がわずか0.1GHz異なるだけで、2つのCPUにほとんど性能の差はないように見えます。しかし実はこの2つのCPUには大きな性能差があります。クロック周波数だけでは、CPUの性能を正確に測ることはできないのです。CPUの性能はクロック周波数に加えて、次で解説する「コア/スレッド数」も絡みあって決定されます。
- コア/スレッド数:多いほど大量の計算を分割(並列)して計算できる
「コア/スレッド数」はCPUの性能を表現する上で、最近ではクロック周波数以上に重視されることが多くなってきています。
「コア」は中央処理ユニットと呼ばれる、実際に計算を担当するパーツがいくつ搭載されているかを表したものです。中央処理ユニットが多ければ多いほど、大量の計算を分割して処理できます。1つの中央処理ユニットだけで処理するのに比べ、8つの中央処理ユニットで処理した場合は理論的には8分の1の時間で計算が終わります。4コアよりも8コアの方が、同じクロック周波数でも2倍のペースで計算を処理できるために高速になるというわけです。
「スレッド」とは1つのコアを仮想的に2つのコアに分散する技術のことで、主にIntelのCPUで使われています。8コア16スレッドというCPUのスペックであれば、物理的に中央処理ユニットは8つしか搭載されていないけれど、実際には16の中央処理ユニットに近い性能を持っている、ということになります。
先ほどの2つのCPUのスペックをもう一度見てみましょう。ベースクロック周波数は全く同じですが、スレッド数が異なることがわかります。
・Intel Core i9-9900K
8コア16スレッド
ベースクロック周波数:3.6GHz
・Intel Core i9-9700K
8コア8スレッド
ベースクロック周波数:3.6GHz
最高峰のCPUであるi9-9900Kは「8コア16スレッド」ですが、その弟分のi9-9700Kは「8コア8スレッド」とスレッド数が半分となっています。スレッド数が多いほど重い処理を分散して計算できて高速になるため、i9-9900Kの方が高性能のCPUということになるのです。
このように、CPUの基本的な性能を分析にするには「クロック周波数」と「コア/スレッド数」をどちらも見る必要があります。
- キャッシュメモリ:CPU内部の超高速メモリ
キャッシュメモリはCPU内部に設けられた、容量は少ないけれど非常に高速なメモリ(記憶容量)のことです。CPU内部の中央計算ユニットで処理するデータを一時的に貯めておく用途に使われ、容量は6MBや8MBなど数MBが一般的です。キャッシュメモリは多いほど性能が高くなりますが、クロック周波数やコア/スレッド数と比べれば、そこまで劇的に性能に直結するものではありません。自作PC初心者はキャッシュメモリよりも、まずはクロック周波数などの基本スペックに注目してCPUを選ぶようにしてください。
自作PCでCPUを選ぶならこのスペックも理解しておこう
- ソケット規格:マザーボードとの接続規格
ソケットとはCPUをマザーボードにつなぐ際に装着する箇所のことです。ソケットの規格はIntel/AMDのメーカー間に互換性は存在しません。そのため、例えばIntel用のソケットを備えたマザーボードにAMDのCPUは使えません。
また同じメーカーでも、CPUの世代が変わるとソケット規格に互換性が無くなることがあります。Intelの現在のソケット規格は「LGA1151v2」が主流ですが、数年前までは「LGA1150」という全く別の規格が使われていました。LGA1151v2向けのマザーボードに、LGA1150のCPUは装着できません。自作PCを組む際にはソケット規格の適合性に注意しましょう。
- 消費電力/TDP:電気代や発熱に直結するので地味に重要
CPUは電力をかなり消費するPCパーツです。長時間PCを起動させたままにする人は、CPUの消費電力にも気を使いましょう。
CPUでは「TDP」というスペックが消費電力にほぼ該当します。TDP自体はCPUの発熱量を表すものですが「発熱量が高い=消費電力も高い」という図式が成り立つため、TDPが事実上の消費電力のスペックとして使われている背景があります。
・90W前後…消費電力が高い・ハイエンドCPU
・60W前後…消費電力は普通・ミドルレンジCPU
・30W前後…消費電力が低い・エントリーCPU
30Wを下回る省電力CPUは自作PC向けにはあまり使われず、ノートPC向けと言えるでしょう。
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CPUのスペック表を読み解ければあなたもPC初心者脱却!
PCの頭脳とも言うべき重要なパーツ「CPU」のスペックについて解説してきました。CPUのスペックを正しく読み解けるようになれば、あなたも立派な自作PCユーザーと言えるでしょう。PCの性能はCPUによってかなりの部分が決まります。いくら他のグラフィックボードやいくらグラフィックボードやSSDなどの他のパーツを強化しても、CPUの性能が悪ければ全体の足を引っ張ってしまいます。自作PCを組む時は、CPUへの予算配分をケチりすぎないようにしましょう!