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    今回はインテリアとしても秀逸な楽しいカスタムキーボードの伝道者である人気ゲーミングデバイス専門店「ふもっふのおみせ 」の代表・松本さんに、キーボードカスタマイズの魅力や手軽に実践する方法について教えてもらいました!
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初めての自作

人気ショップ「ふもっふのおみせ」に聞いた!手軽でおしゃれなキーボードの作り方

  • DATE
    2021.03.10
  • WRITTEN BY
    DIGITAL DIY編集部

ふもっふのおみせ_キーボードカスタマイズ記事のアイキャッチ

PCの自作といえば、マザーボードやグラフィックボードなどのパーツを自分で選んでハイスペックな一台を作ったり、使用目的に合った性能のパソコンをリーズナブルに作ったりと、本体の組み立てはパソコンが誕生した70年代から連綿とおこなわれてきたのはご存知のとおり。

さらには様々なPCの楽しみ方が広がるにつれて、実用性だけでなく見た目も重視したカスタマイズも普及してきましたが、ここ数年の間にそのカスタマイズのブームはキーボード界隈にも波及しています。

そこで今回はインテリアとしても秀逸な楽しいカスタムキーボードの伝道者である人気ゲーミングデバイス専門店「ふもっふのおみせ」の代表・松本さんに、キーボードカスタマイズの魅力や手軽に実践する方法について教えてもらいました!

 

松本 努さん

ゲーミングデバイス専門サイト「ふもっふのおみせ」を運営する株式会社フェルマーの代表取締役。世界各国から選び抜いた様々なゲーミング用PC周辺機器の日本総代理店として製品の普及に努めている他、アパレル越境ECのサイト「フェルマート」も運営。

 

 

どんなキーボードがカスタムに向いている?

キーボードの種類や構造の違いを説明する画像

 

──最近は自作キーボードに挑戦する人も増えてきたそうですね。これからキーボードカスタムをやってみたいと思っている人たちに向けて、まず「キーボードにはどんな種類があるのか」から、教えてください!

松本:まず、キーボードはメンブレン式とメカニカル式に大別されます。メンブレン式キーボードとは内部に1枚のシートが貼ってあり、そのシートとスイッチが接触することで通電し、入力信号が発せられる仕組みです。安価でキーボード本体を薄く作ることが可能ですが、すべてのキーが接点シートで物理的に繋がっているため、キーひとつひとつを分解して交換することができません。

メカニカルキーボードはその名のとおり、キーひとつずつに「軸」と呼ばれる機械式のスイッチが組み込まれており、それを押すことで通電して入力信号が発せられる仕組みです。複雑な構造のためメンブレン式よりも初期費用が掛かりますが、たとえばキーが反応しなくなった時に壊れたキーだけ修理することも可能ですし、軸を変えることで打鍵感(キーの押し心地)を変えることも可能です。

メンブレン式でキーボードカスタムをおこなうことは構造上難しいため、自作キーボード界隈やキーボードカスタムではメカニカル式を使います。

 

キーキャップを取り外し、キーボード の内部構造を見せている画像

キーキャップを外してみると、構造の違いがよく分かる

 

松本:左側がメンブレン式、右側がメカニカル式のキーボードです。メカニカル式は打鍵感の調整がしやすく耐久性も高いため、プログラミングやゲーミングなどのヘビーユーザーに好まれてきた経緯があります。

──なるほど。他にもパンタグラフ式というキーボードがあるそうですが、さきほどの2つと構造が異なるキーボードなのでしょうか?

松本:基本的な構造はメンブレン式と同じでスイッチが異なるだけです。パンタグラフ式はノートパソコンで採用されることが多く、軽いキータッチが特徴です。

メカニカル式キーボードの中で、軸に静電容量無接点方式(電極が接することなく、一定レベルに近づけば回路が接続されてキー押下を認識する仕組み)という通電方式を採用したものもあり、こちらは理論上は無限回のタイピングに耐えるとされています。

 

メカニカルキーボードの打鍵感を握る鍵は「軸」

キーボードの打鍵感を左右する「軸」について紹介する画像

 

──これが軸なんですね。それぞれ色が違いますが、なにか理由があるんでしょうか?

松本:それぞれ色によってストローク量(キーが沈み込む距離)やアクチュエーションポイント(入力信号が発せられる距離)、押下圧(キーを押すのに必要な圧力)などが異なります。また静音タイプもラインナップしていて、それらはタイピング時の音が静かなので、動画配信をしている人たちに人気がありますね。

 

キーボードの軸の例。チェリー MX社の「赤軸」の画像

キーボードカスタムで最もベーシックな軸とされているのが、チェリー MX社の「赤軸」。ドイツで創業した同社はメカニカル式の特許を有していたキースイッチの老舗で、信頼性も非常に高い。赤軸は押下圧が軽く押し心地も引っ掛かりがなく、キー入力の多い人でも自然なタイピングが可能

 

キーボードの軸の例。チェリー MX社の「茶軸」の画像

同じくチェリー MX社の「茶軸」。押下圧は赤軸よりもやや強く、タクタイルと呼ばれる弱めのクリック感を備えており、しっかりとした押し心地が味わえる

 

キーボードの軸の例。チェリー MX社の「銀軸」の画像

チェリー MX社のなかでも比較的新しい「銀軸」。押下圧は「赤軸」と同じ45gながらキーストロークが3.5mm(赤軸は4mm)、アクチュエーションポイントが1.2mm(赤軸は2mm)。高速タイピングやゲーミング向けのかなり敏感なセッティングのため、慣れるまでは誤入力も多くなりがちだそう

 

キーボードの軸の例。カイル社のキースイッチの画像

中国メーカー・カイルのキースイッチ。軸部分がボックス状に囲ってあるため、キーキャップがぐらつきにくいのが特徴とされている。写真はクリック感がしっかりと感じられる「青軸」と呼ばれるタイプで、リズミカルにタイピングがしたい人におすすめ

 

キーボードの軸の例。VARMILO(アミロ)の静電容量無接点方式の軸の画像

人気メーカー・VARMILO(アミロ)の静電容量無接点方式の軸。無接点方式の耐久性を備えつつ、メカニカル式に近い押し心地が特徴

 

──軸によって使い心地が大きく左右されるんですね。つまり、これらの軸を買って自分のキーボードに組み込むというのが、カスタムキーボードの入門編ということでしょうか?

松本:ホットスワップというタイプのキーボードであれば軸の交換は可能なのですが、実は今のところ「ふもっふのおみせ」ではホットスワップキーボードや軸の単品販売はおこなっていないんです。ですが、それよりもっと手軽に実践できる方法をご提案していますよ!

 

まずは手軽に見た目を替えるなら、キーキャップ&ケーブルの交換がオススメ

キーボードのカスタム例。キーキャップを「ZOMO kitty Paw」に取り替えた画像

 

──では、実際にどんなキーボードカスタムが可能なんですか?

松本:最も手軽なのが、キーキャップのカスタマイズですね。こちらは左端のescキーを猫の肉球を模したVARMILO(アミロ)の「ZOMO Kitty Paw」というキーキャップに取り替えています。肉球部分にシリコンを使っているので、ホントに猫の足の裏みたいな触り心地なんですよ。

──ホントだ(笑)。キーを押すたびにニヤけてしまいそうですね。

松本:PCを使ってるとキーボードに猫が座ってくることって多いものですが、このキーキャップを使っているユーザーが猫ちゃんと一緒に撮った写真がSNSでバズったこともあります(笑)。

 

ケーブルのカスタム例。スウィフトケーブル社の「Artisan Custom Cable」の画像

スウィフトケーブルというブランドのケーブル「Artisan Custom Cable」

 

松本:その他に見た目のカスタムで言うと、ケーブルを変えるのも人気です。自作好きな人はパラコードを使ってケーブルまでDIYで作ったりしていますが「ふもっふのおみせ」では、より手軽に楽しめるように完成品を販売しています。写真のスウィフトケーブルのほかにも「クラーケン」というブランドの替えケーブルも取り扱っています。

──エレキギターのシールドみたいでカッコいいですね。確かにカスタムしていけばいくほど、より愛着が湧きそうです。

松本:おっしゃる通りで「他の人とは違う、世界にひとつだけのものが欲しい」という人たちがキーボードカスタムを実践しています。それから、男性ユーザーがほとんどだと思われがちですが「ふもっふのおみせ」では女性のお客様が3割近くいるので実は女性にも人気なんです。

もともと自作キーボード界隈は機能性だけでなく「こんな面白い形のキーボードを作ったから、みんな見て!」という欲求からはじまって盛り上がった側面があるので、機能を追求するだけでなく、見た目をカスタムして楽しむのはある意味で正解なんです。

キーキャップの例。Tai-Haoの「RUBBER DOUBLESHOT BACKLIT KEYCAPS」の画像

 

──それから、パンタグラフ式だとキーキャップを外す時に中のパーツを折ってしまったりしがちですが、メカニカル式だと簡単に外せて交換できるのもいいですね。

松本:はい。たとえば、このTai-Haoの「Rubber Gaming Backlit Keycaps」のようにキーキャップをセットで販売しているアイテムにはキープラー(キーキャップを外すための専用工具)も付いているので、取り替えもより簡単です。こちらは「W」「A」「S」「D」の各キーはじめゲーミングで頻繁に使われるキーをセットしにしたもので、表面にラバーコーティングと滑り止め加工をおこなうことで、押し間違えを予防しています。

──機能性を盛り込んだキーキャップもあるんですね。ちなみに、ルックスやデザイン重視のユーザーと機能性重視のユーザーでは、どのぐらいの比率ですか?

松本:WASDだけ色や仕様を変えている人は「ゲーミング用だろうな」とわかるのですが….、肌感覚としては見た目7割、ゲーミング用3割という印象でしょうか。

──てっきり機能性重視の人が多いと思っていたので、意外でした!

 

見た目も使い心地も抜群のキーボードをオーダーメイドで簡単に手に入れる

VARMILO(アミロ)のキーボードのケース

 

──しかし、キーボードカスタムをやりはじめると、やはり打鍵感にこだわりたくなると思うのですが、先ほどのお話では軸の販売はおこなっていないとのことでした。好みの打鍵感を手に入れるには、どうしたら良いでしょう?

松本:弊社が取り扱っているVARMILO(アミロ)というメーカーなら、キーひとつずつにどの軸を使うかを指定して、自分だけのキーボードをオーダーメイドできます。チェリーMXやカイルなど、様々なメーカーの軸を指定できるほか、軸の中に様々な色合いのLEDを仕込むこともできますよ。LEDの色もキーごとに変えて指定できます。

 

VARMILO(アミロ)のオリジナルキーボードのカスタム注文画面のイメージ

「ふもっふのおみせ」のWEBサイトの注文画面。キーひとつずつに対してカスタムが可能というアレンジ幅の広さが魅力

 

松本:ウェブ上で仕様を指定すれば、すぐにモニター上に反映されてと価格が表示されるので、今までプラモデルを作ったことすらないという人でも、簡単にカスタムキーボードを手に入ります。

 

VARMILO(アミロ)のキーボードの例の画像

こちらは実際に『アミロ』でオーダーしたキーボードの例。キースイッチだけでなく、キーキャップの色や印字、キーボード本体のトップや裏面まで細かくオーダーが可能

 

──自作だとここまでキーキャップひとつひとつまで細かな色味の調整はできないので、むしろVARMILO(アミロ)でオーダーしたほうが見た目の自由度が高いかもしれませんね。

松本:確かにそうかもしれません。また、キーの印字も昇華印刷というキーの内部に染み込む手法でプリントしているので、使い続けても印字が消える心配はありません。

 

VARMILO(アミロ)のキーボードのサイズの違いを表した画像

キーボードのサイズもラインナップ豊富。100%はテンキー付きで、80%はテンキー無し、65%はテンキーとファンクションキーが無いという風にキーの数が異なる

 

松本:現在、ご用意があるキーボードのサイズは、110%、80%、65%ですが、今後は、100%や40%、20%といったサイズからも構成が可能になる予定です。また、キー配列もUS配列、日本語配列、ISO配列とラインナップしています。

キーボードのサイズも110%から20%までラインナップしています。こちらは上から110%、80%、40%の構成で、キー配列もISO、US、日本語とラインナップしています。

VARMILO(アミロ)のキーボードのロゴプリントの例の画像

 

──好きなアニメキャラをイメージした配色にしたり、ゲームでよく使うキーを目立つカラーにしたりと、色々なオーダーの仕方ができそうですね!

松本:実際にそういったオーダーを受けたこともあります。いまは矢印キーの上部分か本体側面のみロゴのプリントが可能なのですが、将来的にはデザインデータを入稿してもらえればスペースキーに印刷したりといったサービスも可能にしたいと思っています。

 

誰でも簡単にオンリーワンで世界一の周辺機器が手に入る環境を作りたい

キーボードの自作について説明する松本さん

 

──これまでPCの自作は「Digital DIY」でも多数取り上げてきましたが、キーボードの自作はほとんど聞いたことがありませんでした。なぜ、最近になって盛り上がりはじめたんでしょう?

松本:もともとPC本体はキットとして販売されてきた経緯があるため、90年代の日本でも「最新の既製品のPCを買うと30万円を軽く超えるけれど、自作すれば半額で同じスペックのPCが手に入る」といった理由や「快適にゲームを動かすために、値段を気にせずハイスペックなPCが欲しい」といった動機からPCを自作する人はたくさん存在していました。

一方でキーボードは私が知る限りキットは存在していませんでしたし、キット無しで自作するには基板設計の知識が必要なこともあって、そこまで一般的ではなかったようです。それが2010年代半ばからITエンジニアを中心にキーボードの自作が盛り上がりはじめ、海外でも個性的なキーボードの自作キットが発売されるようになって一気にハードルが下がったように思います。

いろいろなキーキャップの例の画像

 

──自作キットの発売がきっかけだったんですね。

松本:そうですね。ハードルが下がったと言っても当初は海外からキットを取り寄せる必要がありましたし、国内で買えるようになった今でも組み立てには電子工作の基礎的な知識が必要です。

「他人とは違うキーボードが欲しいけど、自分で作れるかどうか自信がない」という人たちこそ、まずはキーキャップの交換やVARMILO(アミロ)のサービスを使ってキーボードカスタムの楽しさを知ってもらいたいです。

──女性の顧客が多いのも、工作しなくても気軽に可愛いカスタムキーボードが手に入るという点が大きいのかもしれませんね。

 

「Ultralight 2」の商品画像

(画像提供:ふもっふのおみせ)

 

松本:気軽に手に入ることって、非常に重要だと思うんです。キーボードから少し話は逸れますが、たとえば2019年にFORTNITE WORLD CUPで優勝したBugha選手が使用して話題になったFinalmouseの「Ultralight 2」というe-sports向けの超軽量マウスがあります。その後に出たe-sports向けの穴あき軽量マウスはすべて「Ultralight 2」に影響を受けたと言っても過言ではない名作なのですが、国内で発売されていなかっためユーザーはわざわざ海外から取り寄せていたんです。そのため、誰でも気軽に買えるように「ふもっふのおみせ」で取り扱うことを決めました。

ダッキーのキーボードの画像

 

──ある意味でこだわりの強い分野だからこそ、ハードルを下げたいという思いがあるんですね。これから自作PCや周辺機器のカスタムはどのように変化すると思いますか?

松本:コロナで巣ごもりが続くなかで、みなさん自宅や身の回りのものにすごく気を使うようになったと実感しています。今までは単なる仕事の道具として捉えていなかった人も自宅でPC作業をするようになって「PCもインテリアの一部だな」と思いはじめた人もいますし、机に座ってPCと向き合う時間が増えたぶん、せっかくなら気に入ったものを使いたいと思う人が増えたように思います。

VARMILO(アミロ)のキーボードの画像

 

松本:「ふもっふのおみせ」はマウスやヘッドセットやキーボードといったそれぞれの分野で世界で一番良いと思っているものを集めるようにしているので、PC周辺機器を全部同じメーカーの製品で揃えた時のような統一感は出しにくいかもしれません。ですが、PCと周辺機器にだけ統一感を求めるのは、ある意味で固定概念ではないかとも思うんです。

インタビューに応える松本さん

 

松本:これからはミニマルな部屋にしたいと思っているなら真っ白なボディに印字無しをオーダーしたり、ピンクを部屋のキーカラーにしている女性はピンクのキーボードを作ったりと、PC単品でコーディネートが完結するのではなく、インテリアの要素のひとつとしてPCと周辺機器のカスタムを楽しむ人が増えると良いなと思っています。

 

【番外編】キーボードの世界は奥が深い!自作キーボードの一例を紹介

キーキャップの交換やアクセサリーのカスタムを楽しむようになると、もう一歩踏み込んだカスタムにチャレンジしたくなる人も多いのでは。そんな方におすすめなのが、自作キーボード。使い勝手を追求したり、デザイン性を求めたりと、目的や用途に応じて様々なカスタムを施すことができます。

これまで自作キーボードに必要なパーツは海外から個人輸入したり、通販で入手するのが一般的でしたが、2019年に日本初となる自作キーボード専門店「遊舎工房」がオープン。海外の自作キーボードキットやパーツを気軽に入手できるようになった他、実際に商品を確かめた上で購入ができるようになり、全くの初心者にとっても自作キーボードの敷居が下がりつつあります。

 

遊舎工房の自作キーボードキットの画像

(画像提供:遊舎工房)

 

自作キーボードは主に必要なパーツがセットになったキットを用いて作ることが多いのですが、その種類は多種多様。例えばこちらのキーボードは「Corne Cherry v3」というキットを使用したもの。横6×縦3キーのcolumn staggered配列(列方向にずらした配列) に、親指3キーの左右分離型キーボードです。左右それぞれが独立しているため姿勢を変えながら打鍵することができ、肩こりなどに悩まされている人がたどり着くことも多いといいます。

 

初心者でも簡単に作れる、遊舎工房のキーボードキットの画像

(画像提供:遊舎工房)

 

こちらは「遊舎工房」の人気商品である「meishi2キット」。自作キーボード初心者でも2時間程度で作成可能。キーボード作りに必要な工程を一通り体験できるお手軽なキットです。

これらのキーボードは作業として「はんだ付け」などが必要となりますが、「遊舎工房」では個人利用できる工作室も用意しています。キーボードの奥深い世界を体験したい人は、ぜひお店を覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

PHOTO BY 長野 竜成

 

 


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