自作PC作成に必須の見積もりの手順とポイント~パーツ選びのコツも紹介
自作PCの見積もりの手順
自作PCの見積もりを作成するために最初に行うことは、自作PCの用途と、どれだけの予算を組めるかの明確化です。PCの使用目的によっては、必ずしも必要ではないパーツも出てきます。どのようなPCを作るのか、できるだけ具体的に考えましょう。
①予算をイメージする
スペックにこだわらないのであれば、3~5万円ほどで自作PCの構築自体は可能です。ただし、低コストを最重視する場合は、どうしてもパーツの質は下がります。ゲームや動画編集を楽しみたい場合であれば、パーツには高いスペックが求められるため、少なくとも10万円前後は必要となります。
②お店で選んだパーツの総費用を確認する
希望するPCの仕様を伝え、まずは必要となるパーツをショップスタッフと相談してリストアップしましょう。必要なパーツの中から、スタッフがおすすめするスペックの製品を見繕ってもらい、総費用を一度確認してください。そのうえで予算と照らし合わせ、個別に購入を検討しましょう。
③譲れない条件と比較してパーツを選ぶ
さらに、希望するスペックの中で譲れない条件、こだわりたい項目を明確化することも大切です。
これらの項目が一例となりますが、自作PCの構築で何を重視するのか?これはPCの使用目的に応じて異なります。妥協できない部分を見積もりの中心に据えて考えることで、パーツ選びに迷うことが少なくなります。
見積もりで確認する項目と選び方のコツ
構成するパーツの選び方ひとつで、自作PCの出来上がりは変わってきます。パーツの選び方を正しく理解することで、重要な部分のスペックをアップさせたり、相性の良いローコストのパーツと入れ替えたりと、見積もり作成の幅が広がり柔軟に対応できるようになるのです。
自作PCの構築に必要な代表的なパーツは以下です。それぞれの特徴と選び方のコツを見ていきましょう。
- OS
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OS
PCを動かす基本システムであるOSには、パッケージ版とOEM版、そしてDSP版が存在します。
パッケージ版は量販店などで手に入れることができる、光学ドライブでインストールするタイプです。OEM版はストレージにあらかじめプリインストールされているタイプで、導入の手間はありません。
DSP版とは、CPUなどほかパーツと合わせてOSを購入する際に適用される販売形式のことを指し、コストダウンが図られています。なお、同時に購入するパーツを制御するプログラムであるBIOSが対応していなければ、DSP版は正常に作動しません。
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マザーボード
CPUやメモリ、ストレージをつなぐ重要なパーツがマザーボードで、大小さまざまなサイズがあります。ケースによっては、大きなサイズのマザーボードが収納できない事があるので注意してください。また、マザーボードは使用するCPUによって使える製品が限定されます。
- ケースサイズ
この3点を考慮したうえで、最適なものを選んでください。
CPU
CPUはPCの演算処理を行う重要なパーツで、PCの頭脳にあたります。このCPUの性能が高くなるほどに、PCそのものの性能も上がります。安いもので数千円、高いもので10万円オーバーと、非常に価格差が大きいパーツでもあります。
CPUにはCoreシリーズなどで知られるインテル社製と、RyzenシリーズなどのAMD社製があります。性能面ではインテル製に優位性がありますが、AMD社製はコストパフォーマンスが高く、それぞれに異なる長所があります。
CPUクーラー
CPUはかなり発熱するため、CPUクーラーを用いて、直接風を当てて冷やさなければなりません。標準付属のCPUクーラーを使う方法もありますが、より冷却効率の良いクーラーへ換装することで、熱トラブルを確実に解消できるようになります。
特にハイスペックなCPUの場合は発熱量が多いため、性能の高いCPUクーラーが必要です。なお、冷却効率が上がるとクーラー自体が大型化されるため、ケースとの干渉に注意が必要です。
>> 関連記事 :「はじめて自作」第22回 これさえ見ておけばお店でも安心!初めての自作で知っておくべきパーツのポイント – CPUクーラー編
メモリ
アプリケーションのデータを一時的に保管して、PCを効率よく動作させるためのパーツです。
複数のアプリケーションを同時稼働させる場合や、演算処理の多い作業を並行する場合、メモリにかかる負荷は大きくなります。現在では、最低でも8GBのメモリが必要とされていますが、ゲームなど高負荷がかかる用途の場合は、16GB以上のメモリを準備しなければ、スムーズな動作は望めません。
>> 関連記事 :「はじめて自作」第10回 組み立てその⑤ -メモリ編-
HDD
データを一時的に保管するものがメモリなら、長期的に保管するのがストレージであり、HDDはこのストレージの一種になります。
画像や音楽などのデータを保管できるHDDは、後述するSSDより1GB当たりの価格も安めです。しかし、読み込みや書き込みのスピードはSSDに劣ります。現在では、大きなサイズのデータの保管庫として利用されることが一般的です。
SSD
SSDもストレージの一種であり、HDDよりも高速なデータ読み込み・書き込みを実現します。スピードが求められるソフトウェアの起動などにSSDを利用し、データの保管はHDDが担う、デュアルストレージの採用がハイエンドPCなどでは主流になっています。
SSDは、HDDと比較して導入コストは高くなりますが、ゲーミングPCとして利用する場合など高負荷作業を行う場合には不可欠ともいえるパーツです。用途に応じて搭載を検討しましょう。
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グラフィックボード
グラフィックボードとはPCの描画力を向上させるパーツであり、そのスペックは映像の美しさを大きく左右する要素となります。CPUやディスプレイ自体にもグラフィックボードは搭載されていますが、より高解像度の映像を求める場合などには、マザーボードに増設します。ゲームや動画編集が目的の場合、グラフィックボードは必需品です。
グラフィックボードはローエンドからハイエンドまで価格差が大きく見られるパーツで、自作PCの見積もりにおいて重要な部分といえます。
>> 関連記事 :NVIDIA GeForce と AMD Radeon グラフィックスカード比較どちらがおすすめか
光学ドライブ
DVDやBDドライブの事を指し、ディスクの読み込みと書き込みを行います。メディアディスクの作成や、旧OSメディアの利用の際などに必要なパーツとなりますが、クラウドサービスの充実などにより、現在では光学ドライブの重要性は下がってきています。
PCケース
PCケースには、大小さまざまなサイズがあります。サイズが大きくなるほどに大型のマザーボードを設置できるほか、搭載できるパーツも増えます。ハイエンドのPCを構築するなら、大きなケースがおすすめです。
一方、大きなPCケースはそのぶん設置スペースが必要となり、高いクーリング性能も求められます。自作PCの初心者の場合であれば、一般的なミドルタワー型で十分のサイズといえるでしょう。
電源
自作PCでは、設置するパーツから必要な電力値を計算し、電源容量に余裕を持たせなければなりません。電力不足はパーツの故障の原因にもなります。必要電力値の2倍が選ぶ際の目安です。
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見積もりのポイント
自作PCは構築パーツを選び終わらなければ見積もりが立たないという事実があります。PCの用途から、どこまでのスペックを求めるかを具体化し、注力すべきポイントを定めましょう。
PCを自作するということは、既成商品では満足できない部分を解消できるということです。スペックを重視するのかコストを重視するのか、この選択により最終的な見積額は大幅に変わってきます。自分自身が自作PCに何を求めているのか、いま一度再確認してみましょう。
まとめ
自作PCの見積もりは、PCに求めるスペックと使用目的の明確化から始まります。スペックダウンもスペックアップも思いのままで柔軟にマシンを構築できる分、見積り額にも大きな幅が生まれます。予算に応じたパーツ選びを組み合わせ、最適な見積もりを作成しましょう。
組み上がったPCは後からでもカスタマイズが可能です。見積もりの際には、中長期的な目線も持ち合わせておくとよいでしょう。