予算3万円で組む自作PCのパーツ選び~構成例とスペック性能
目次
予算3万円で自作PCをつくることは可能!
結論からいうと、予算3万円台でPCを自作することは可能です。ただし、パーツの選択肢はかなり制限されてしまいます。
実用に耐えうるPCを組もうとすれば、CPUやマザーボードだけで1万円以上の予算が必要で。残り2万円程で他のパーツを購入することになりますので、ストレージやメモリ、電源ユニットやケースは、安価なものを第一に選ぶほかありません。
予算3万円の自作PCに必要なパーツ選び
PCを自作するためには下記のようなパーツが必要となります。それぞれのパーツについて、さらに予算3万円台で組む場合にはどのような製品を選ぶべきか解説します。
- CPU
- ストレージ
- GPU(グラフィックボード)
- メモリ
- マザーボード
- CPUクーラー
- 電源ユニット
- PCケース
- OS
CPU
CPU(Central Processing Unit)は「中央演算処理装置」と呼ばれる、PCの頭脳にあたるパーツです。このパーツの性能が高ければ高いほど、PCの処理能力が向上するため、できるだけ高性能なものを用意したいところです。
しかし、予算3万円台でPCを組む場合は、性能のほかにGPU(グラフィック処理装置)が内蔵されているかどうかも確認する必要があります。GPU内蔵のCPUを選ぶことで、グラフィクックボードを購入する必要がなくなり、予算を節約できます。
予算3万円台で平均的なスペックのPCを構築する場合、CPUにかけられる予算目安はおおむね5,000円ほど。2021年1月現在、5,000円台で購入できるGPU内蔵CPUは、IntelのCeleron G5925やAMDのAthlon 200GEなどが挙げられます。また、Athlon 200GEは既に二世代前のモデルですが、低価格帯のGPU搭載モデルとしては現在でも有力な選択肢です。
ストレージ
ストレージは、データをPC内に保存するためのパーツです。転送速度が早く、比較的高価なSSDと、転送速度は遅めながらも安価なHDDがあります。転送速度はPCの起動速度にも影響しますので、後からストレージを買い足すことを前提に、小容量でも転送速度の速いSSDを選択しましょう。
GPU(グラフィックボード)
グラフィックボードは、3Dなどの描画処理を行うためのパーツです。動画の編集を行う場合や、高解像度のPCゲームをプレイする場合には必要となりますが、3万円台のPCに搭載するのは予算的に難しいのが実情です。どうしてもゲームを遊びたいので無理やり搭載する、といった場合以外は気にしなくてもOKです。
メモリ
メモリは、CPUが情報を処理するためのデータを一時的に保存しておくためパーツです。メモリの容量が多ければ多いほど、同時にたくさんのアプリケーションを立ち上げて使用することができます。
PCにとって最も重要なソフトであるOS(Windows10など)を快適に扱うためには、最低でも4GB程度のメモリは欲しいところですが、Microsoft Officeなどのアプリケーションを使用することも考えると、できれば8GBは欲しいところです。予算を上手くやりくりして、8GBのメモリを搭載するようにしましょう。
マザーボード
マザーボードは、CPUやメモリなどを接続するためのパーツです。接続された各パーツが相互にデータをやり取りするための基板であり、各パーツは受け取ったデータをもとに制御、処理を行います。
マザーボードを選ぶ時に気をつけて確認しなければならないのが、CPUを搭載するためのソケットとチップセットです。ソケットとチップセットがCPUに対応していないと、せっかく購入したCPUを搭載することができません。購入したCPUが対応しているソケットとチップセットを確認してから、マザーボードを選びましょう。
また、マザーボードには、ATXやMicro-ATXといったサイズ(規格)があり、サイズごとに搭載できるケースが限られてきます。一般的には、よりサイズの大きいATXのほうが拡張性にすぐれていますが、予算3万円台でPCを組む場合には、サイズは気にせず5000円~7000円ぐらいの価格帯で、CPUに対応したものを選びましょう。
CPUクーラー
CPUクーラーは、データを処理し高温を発するCPUを冷却するためのパーツです。CPUは発熱により性能が低下するだけでなく、場合によっては破損してしまうこともあるので、CPUクーラーは必ず取りつけましょう。
ファンの回転でCPUを冷やす空冷式のもののほかに、チューブに入った液体を循環させCPUを冷やす空冷式のものなどもあり、高価なものほど冷却性能が高く、CPUのパフォーマンスを安定して引き出してくれます。
しかし、予算3万円台でPCを自作する場合は、個別にCPUクーラーを購入する予算を準備することは難しいため、CPUにあらかじめ付属しているものをそのまま使いましょう。
電源ユニット
電源ユニットは、その名の通りPCに電力を供給するためのパーツです。電力を必要とするすべてのパーツの電力をこの電源ユニットでまかなうことになるので、ストレージを複数搭載したり、光学ドライブを搭載したり、グラフィックボードをはじめとする拡張ボードを搭載する場合は、より出力の高い電源ユニットが必要となります。
しかし、予算3万円台でPCを自作する場合には、グラフィックボードなどの搭載は現実的ではありません。400W程度の安価な電源ユニットを選ぶとよいでしょう。
PCケース
PCケースは、CPUやメモリを搭載したマザーボード、電源ユニット、ストレージなどを収納するケースです。
選ぶ際に注意しなければならないのは、マザーボードのサイズ(規格)です。一般的に大きなATXサイズを収納できるPCケースなら、MicroATXのマザーボードも収納できますが、逆に小さなMicroATX 対応のケースにATXサイズのマザーボードは収納できませんので、確認してから購入してください。
予算3万円台でPCを自作する場合、ケースはサイズだけ確認して、あとはとにかく安価なものを選びましょう。
OS
OS(Operation System)とは、様々なハードウェアやアプリケーションを動作させるための、基本となるソフトウェアです。PC向けのOSとして主にWindowsとmacOSがありますが、自作PCで使用するのはWindowsになります。Windows7は2020年1月14日、Windows8.1は2023年1月10日に延長サポートが終了となりましたので、Windows10を購入しましょう。
また、Windows10には、個人向けの Homeとビジネス向けのProというバージョンが存在しますが、3万円台の自作PCでできることは限られているので、安価のHome版で十分でしょう。
その他
上記で紹介したパーツのほかにも、PCの映像を表示させるモニタや、マウス、キーボードは必須です。また、CDやDVD、Blu-rayに記録されたデータを読み書きするための光学ドライブや、PCの音源を高音質化してくれるサウンドボード、音源を再生するためのスピーカーなども搭載したいところですが、3万円台での自作の場合は予算的に難しいところがあります。
予算3万円でつくる自作PCのおすすめ構成例
それでは、予算3万円台で組めるPCの構成例を実際に見ていきましょう。最低限実用に耐えうるPCをテーマに、まずはコスト面を重視した初心者向け自作PCとしての構成を考えてみました。
また、予算に合わせるために、モニタやキーボード、OSなどは構成から省いています。流用が効く手持ちのパーツと相談しながら、構成を考えるようにしましょう。
オフィスでの使用や動画視聴を目的とした自作PC
オフィス用途や動画視聴を想定し、限られた3万円からバランス良く予算を振り分けた構成です。
パーツ | 製品名 | 参考価格(税込) |
---|---|---|
CPU | Celeron G5925 BOX | 5,800円 |
ストレージ | MX500 CT500MX500SSD1/JP | 6,480円 |
マザーボード | H410M S2H [Rev.1.0] | 7,973円 |
メモリ | KLEVV KD48GU88C-26N1900 | 2,990円 |
電源ユニット | KRPW-L5-500W/80+ | 4,246円 |
PCケース | Versa H17 CA-1J1-00S1NN-00 | 2,973円 |
総額 | 30,462円 |
※2021年1月現在の参考価格です。価格は販売店によって異なっている可能性があります。
実用には十分に耐えうる構成ではありますが、ストレージ容量が500GBと少なめな点に不安が残ります。SSDは起動頻度の高いアプリケーションのインストール先として運用し、データを集積するストレージとしてHDDの増設をおすすめします。
<自作PCの性能>
基礎性能は高くありませんが、当初想定した運用方法であれば問題なく動作します。Celeron G5925のソケットであるLGA1200は上位のCPUにも換装可能で、マザーボードにはグラフィックボードを接続するスロットがあり、電源容量にもある程度の余裕をもたせているため、後々に機能を拡張することも可能です。
<パーツ購入ページ>
CPU:Celeron G5925 BOX
ストレージ:MX500 CT500MX500SSD1/JP
マザーボード:H410M S2H [Rev.1.0]
メモリ:KLEVV KD48GU88C-26N1900
電源ユニット:KRPW-L5-400W/80+
PCケース:Versa H17 CA-1J1-00S1NN-00
フォートナイトも遊べる自作ゲーミングPC
フォートナイトを最低設定で動作させるためには、Intel Core i3 2.4GHz以上のCPUと、Intel HD 4000以上のグラフィック表示能力が必要とされています。そこで、3.6GHzのクロック周波数と内蔵GPU(Intel UHD Graphics 630)を持つCore i3 10100を採用し、それをベースにPCを構成しました。
パーツ | 製品名 | 参考価格(税込) |
---|---|---|
CPU | Ultimate SU650 ASU650SS-120GT-R | 12,958円 |
ストレージ | MX500 CT500MX500SSD1/JP | 2,200円 |
マザーボード | H410MH | 6,980円 |
メモリ | KLEVV KD48GU88C-26N1900 | 2,990円 |
電源ユニット | KRPW-L5-400W/80+ | 3,397円 |
PCケース | Versa H17 CA-1J1-00S1NN-00 | 2,973円 |
総額 | 31,498円 |
※2021年1月現在の参考価格です。価格は販売店によって異なっている可能性があります。
1万2958円のCore i3 10100を採用している関係で、それ以外のパーツにかかる費用を限界まで絞っています。こちらもストレージ容量に不安が残るので、後の追加を検討しましょう。
<自作PCの性能>
最低動作環境を満たしたうえでメモリも8GB確保しているので、最低設定であればフォートナイトも遊ぶことが可能なマシンです。ただし、電源ユニットの値段を絞っているため、長期的な運用には耐えられないかもしれません。電源ユニットは後に交換を検討、SSDのUltimate SU650 ASU650SS-120GT-Rは発熱量が多いため、放熱用ヒートシンクの採用なども考える必要があります。
<パーツ購入ページ>
CPU:Core i3 10100 BOX
ストレージ:Ultimate SU650 ASU650SS-120GT-R
マザーボード:H410MH
メモリ:KLEVV KD48GU88C-26N1900
電源ユニット:KRPW-L5-400W/80+
PCケース:Versa H17 CA-1J1-00S1NN-00
まとめ
予算が3万円程度あれば、実用に耐えうるPCを自作することは十分可能です。インターネットの閲覧やMicrosoft Officeの使用など用途は限定されますが、一般的なビジネスシーンでの利用には問題ない性能のPCを組むことができるほか、組み合わせによってはゲームのプレイも可能です。
できるだけ安くPCを手に入れたという方は、ぜひ3万円台での自作にチャレンジしてみてください。