「はじめて自作」第3回 ハードウェアだけでは、パソコンは使えない!
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ハードウェアだけでは、パソコンは使えない!
前回は、パソコンを構成する個々のパーツと周辺機器、それらの役割について簡単に述べました。このハードウェアだけでパソコンを起動して、任意のキー*を押すと、マザーボードにあらかじめ組み込まれている、『EFI(またはBIOS)』と呼ばれるプログラムが起動します。この『EFI(またはBIOS)』では、ハードウェアの状態を確認したり、基本的な入出力の制御などを行うことが可能です。*マザーボードのメーカによって異なります。
が、これだけでは、「パソコン」の役割を果たすことができません。ソフトウェアを使ってこそ、パソコンの本領が発揮されます。このハードウェアとソフトウェアの間で重要な働きを担っているもの、それが『OS』です。
OSって何をしているの?
OSはソフトウェアの一種で、ハードウェアの基本的な制御や、数多くあるアプリケーションが共通して使う基本的な機能(メニューの項目やファイルの管理など)を提供するものです。私たちの多くは、「パソコンを使う=アプリケーションを利用する」ことで、OSを意識して操作する機会はあまりありませんが、このOSを介して、私たちはハードウェアを使うことができ、異なるアプリケーションを同じような操作性で利用することができるのです。
OSの代表格。それがWindows
自作パソコンにおいて、なくてはならないOS、それが『Windows』です。けれど、そもそも、なぜ『Windows』なのでしょうか?
現在販売されているパソコンは「PC/AT互換機」と呼ばれ、パソコン業界の標準となっています。この元となった「PC/AT」という、IBM社が過去発売したパソコンは、内部の仕様が多く公開されたため、いろんな企業から、互換性のある製品が多く登場することになりました。そのため、PC/ATと互換性のあるパソコン(=PC/AT互換機)とそのパーツが広く普及し、その標準のOSとして登場した『Windows』もまた、広く普及したのです。
Windowsは、OSとして様々な利便性と機能を私たちに提供してくれます。第一にあげられる利便性は「デバイスドライバー」です。Windowsは、個々のハードウェアや周辺機器を使えるようにしてくれるプログラムです。Windowsは、あらかじめこのデバイスドライバーをOSの中に持っており、パソコンを起動したときに即読み込んでくれます。そのおかげで、私たちはすぐにマウスやキーボードを使って、パソコンを操作することができるのです。(最新のハードウェアはこのデバイスドライバーがOSの中にないこともあり、その場合は自分でデバイスドライバーをOSにインストールする必要があります。)
そして、機能としては、インターネットへの接続やハードウェアの状態の監視や管理、画像や文書などに代表されるファイルの管理などがあります。普段何気なく行っている、フォルダーの作成や整理、ファイルの確認やコピーなども、すべてWindows OSが私たちにわかりやすく提供しているのです。
最新のOS、Windows 10
Windowsの最新バージョンは、2015年7月末に登場した『Windows 10』です。
パソコンに特化した操作性を持ったWindows 7、タブレット向けの操作性を強化したWindows 8/8.1でしたが、このWindows 10でそれを融合し、パソコンでもタブレットでも、操作しやすいOSとなりました。また、これまでのWindowsには無かった、音声検索の「Cortana」と、生体認証「Windows Hello」も実装し、マウスでなくとも、パソコンを操作することができるようになりました。
Windows 8/8.1で、姿を見なかった「スタートメニュー」も、Windows 10では再び実装され、Windows 7以前のユーザーも、直感で操作できるようになっています。逆にWindows 7では、利用するためにいくつかのステップが必要だった、Microsoftのクラウドサービス「OneDrive」も、あらかじめ組み込まれており、Microsoftアカウントの設定のみで、パソコンへのログインも、クラウドサービスへのログインも一括して行うことができます。
重要なデータなどは、このOneDriveに保存しておくことで、パソコン上にもクラウド上にもそのデータが保存され、万が一パソコン上のデータを消してしまっても、クラウド上からバックアップできます。
これまでのWindowsの「いいとこどり」をした『Windows 10』を、ぜひ自作パソコンにも導入しましょう!
自作パソコンに最適なWindowsの購入方法は?
通常パソコンは、OSであるこのWindowsが既にインストールされた状態で販売されています。ですが、自作パソコンでは、このWindowsを、ハードウェアと同じように用意する必要があります。Windowsは、「パッケージ版」、「ダウンロード版」、「DSP版」という3つの形態で販売されています。パッケージ版は、Windowsのインストールファイルが入ったUSBメモリが、その名の通り箱に入った状態で販売されています。ダウンロード版は、Windowsのインストールファイルを、その名の通りインターネットサイトからダウンロードして購入する方法です。
そして最後のDSP版が、自作パソコンに一番おすすめなWindowsの販売形態です。自作パソコンを構成する主要なパーツ*と一緒に購入することができ、価格がパッケージ版やダウンロード版と比べ安いのが特徴です。パッケージ版やダウンロード版と異なり、サポート先が購入した販売店になり、一緒に購入したパーツと必ずそのDSP版のWindowsを同時に使わなければならない以外は、パッケージ版やダウンロード版と異なる点はありません。また、WindowsのインストールはDVD-ROMからになり、紙スリーブに入っている状態で販売されています。*CPU、メモリ、マザーボード、SSD、HDD、CPUクーラー、CD/DVD/Blu-rayドライブ、グラフィックカードなどの拡張カードなど
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自作パソコンに必要なものは分かったところで…どこで買う?
ここまで、色々なパーツとOSを紹介してきましたが、それらは一体どこで買えばいいのでしょう?特殊だし、機械だし…売っているところって限られてるんじゃないの?と思っている方もいらっしゃると思います。確かに、売っているところは限られていますが、昔と比べて、かなり買うことのできるお店は増えたのです。
次回は、「パーツを買うことのできるお店」を紹介します。